この本は最近の医学生物学分野の出版物の中では出色の面白さである。以前という本が出たとき(1991年)、これは面白いと思ったが(このケビンというのはNature geneticsの元編集長)、自分自身のベンターへの評価をこの本と新しい本で比較して、それほど間違っていなかったことが再確認できた。つまりしたたかだったのだベンターは。それとともに公的ゲノムプロジェクトの主要メンバーに対する評価が僕のなかでどんどん落ちていくことに気づく。フランシス・コリンズは素晴らしいヒトだと思っていた。エリック・ランダーは天才だと思っていた。ジェームス・ワトソンへの敬意はいささかも揺るがないが、しかしこの節操のなさはどうしようもないな。みな、ベンターに翻弄されている。しょうがないのだ、あの当時を生き延びるためには。なんせ超巨大プロジェクトであり、失敗するわけにはいかない。政府の予算を何年にもわたって手に入れなければいけない。しかしベンター法が上手くいけば、すべて水の泡である。確かにあの当時ショットガンへの風当たりは強烈だった。絶対無理だと言われていた。しかしコンピューターの進歩とシークエンステクノロジーの進歩はすさまじかった。丁度良い時期に最もすぐれた人間が(ベンター)が殴り込みをかけてきたわけだ。
面白い時代だったなあ。
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