2010年3月7日日曜日

mtヘテロプラスミーについて

mtヘテロプラスミーの論文で最も面白いデータは下の表だ。(ダブルクリックで読める大きさになるだろう。)

なぜヘテロプラスミーがおこるか?3つの仮説をまず立てる。

(1)父親由来のmtゲノムが理由(これは従来の定説に真っ向から反する)
    下の表の上から6行がこの仮説を棄却する、父のアリル2は子供に全く移行していない。

(2)母親由来のゲノムが理由
    7行目〜8行目は綺麗に伝わっている

  ただこれだけではない
(3)母親由来のゲノムが理由・・・胚発生期の分配のアンバランス
     9行目以下はどうやって起こったのか?











この論文は面白い!気が利いた中学生なら理解できるくらい明晰な書きぶりである。いつも思うがVogelsteinのところから出る論文はどうしてこんなに読みやすいのだろうか?今思えば癌のゲノムシークエンスの論文が2〜3年前にいろんな研究室からでたが、いずれもひどく読みにくい論文であった。特にサンガー系のイギリスからでる論文はデータが多すぎて理解するのが大変であった。一方、Vogelsteinのそれはいつも読みやすい。これはやはり誰に論文を読ませたいのか、どのレベルの読者まで想定しているのか、その意識の差としか思えない。臨床系の医者にも読めるような、あるいは気の利いた中学生なら読めるような工夫。余計なデータを捨象しなければ出来ない技であるが、いい加減にはできない技でもある。易しくすることは難しいのである。

実はまだ読み終わっていない。後半には何がかかれているのか?アブストラクトにある「癌患者の血清診断」あるいは「法医学」という言葉に惹かれる。うずうずする。朝の回診が終わったので、これから珈琲でも飲みながら、琵琶湖マラソンでも診ながらよみませふ。

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