2010年8月25日水曜日

夏休みの効能

随分長い間ブログを書いていない。これは一つは夏休みをとっていたことがある。もう一つは臨床的にストレスが余りに重なっていたこともある。この二つは書いてしまえば恥のさらけ出しということになる。順番から言えばストレスがたまり、敵前逃亡し夏休みをとっていたということになる。そうなのだろうか?結果的に夏休みをとったことで、ストレスは軽減し、患者周りの難問も解決した。敵前逃亡というのは自分でも書きすぎだと思うが、夏休み前にちゃんと下ごしらえをして、仕事の相方に患者を任せたわけだ。いつもの休みなら、携帯オンでいつでも対応するが、今回は対応出来ない場所に行ったので、完全に連絡を絶った。これが良かった。

とにかく8月上旬は異常だった。とんでもなく複雑な事情を抱えた患者が、小生の断りもなく(笑い)続々と入院してくるわけだ。おまけに入院患者に奇妙な症状が突発したりする。具体的には書かないが、これは判断ミスとか医療のミスではないことは断言できる。運が悪いとしか思えない。患者も笑っている。「なんででしょうね〜〜」とか言いながら。しかし家族は笑えない。笑わない。当たり前だ。待つしかない場合、待つのだが、好転してくるまでに時間がかかるとストレスである。目処がたったので、しばらく逃亡した(4日間である)。気になるが、病院には敢えて連絡しなかった。連絡も来なかった。これが良かった。

この間温泉に行ったり、墓参りをしたり、遙か高山の神社にお参りに行ったり(パワースポット)、いろんな「いいこと」をしたのだった。「竜馬が行く」を全巻読んだ。面白かったぞ。「東京島」を読んだが、感心しなかった。「蠅の王」並を期待した私は愚かだったということだ。

治療者として身も心も病んでいるわけにはいかない。早めに解決しなくては患者にも悪い。流石に「痩せた」。心は病んではいないが、随分すり減った。こんな時は、ヒトに指摘される前に自分から行動することだ。疲れていたのかな、小生。

2010年8月13日金曜日

朝日新聞社のWEB新書

朝日新聞社がWEB新書なる媒体を始めたが、値段の高さに驚いた。馬鹿にしている。たったの4700字の内容で210円はひどいのではないか!!210円が高いと言っている訳ではない。4700字が少なすぎるといっているのだ。相対的に210円は超絶高すぎる。本当に馬鹿にしている。
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著者        朝日新聞社
ジャンル    スポーツ
出版社      朝日新聞社
出版媒体  朝日新聞
発行日      2010年08月04日
価格         210円(税込)
探球心 香田誉士史の野球 駒大苫小牧、あの夏の感動の源

夏の甲子園での激闘を制し、深紅の大優勝旗を2度、北海道に持ち帰った駒大苫小牧。闘将とい われた当時の監督、香田誉士史さんは、横浜市にある鶴見大の職員となり、同大硬式野球部コーチとして選手を指導している。駒苫監督時代は、ほとんど語らな かった強さや選手育成の秘密などを聞いた。[掲載]朝日新聞(4700字、特別版210円【税込】)

サンプルを読む 購入する
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このあいだメモした週刊現代の現代ビジネスなるHP、本日は「加賀乙彦[作家] 自分らしく幸福に死ぬために必要なこと軽井沢の自然に抱かれて生と死を想うというエッセイ風の記事が載っているが、この総量は6932字であり、しかも無料である。加賀乙彦の随想が読めるのでうれしい。これでも値段を付けるとすればせいぜい100円であろう。もっと言わせてもらえば、80円くらいが至適であろう。210円なんてどこから出てきた値段だ。印刷/製本/配送もしないくせになにを考えているのだろう、朝日は。

それより朝日は

The Asahi Shimbun GLOBE

を全面に出せば良いのに。この週一回のシリーズは何度も言うが素晴らしい!。

2010年8月12日木曜日

シークエンス技術について2010年現在の実力と将来像をまとめてみたい。
より大量に、より速く、より安くシークエンスを行う技術が求められていた時代が5〜6年前なら、今はいささか様相が変わってきたといえる。
     1) 根本的な技術革新があったこと
     2) シークエンスの対象が多様化してきたこと

以上二つは今後のシークエンスを考える上で大きな要素であろうと小生は考える。

どのように論点を持っていくと良いのだろう?まず温故知新してみようか・・・・

2003年5月頃の現状把握と将来展望として徳島大学周辺のレポートがあったので当時の論考を振り返ってみたい。

DNA塩基配列決定技術に関する最近の研究


1.サンガー法をさらに進めた技術の例
     (1)質量分析シークエンシング
     (2)マイクロチップ・シークエンシング


2.サンガー法によらない技術の例
     (1)顕微鏡直読シークエンシング
     (2)ナノポアシークエンシング
     (3)DNAチップを用いる方法

 
3.DNA解析技術を支える手法
     (1)DNA1分子シークエンシング

過去7年間が教えるとおり、現在もっとも活躍しているシークエンサーは  (1)DNA1分子シークエンシングであろう。

2010年8月9日月曜日

検査なしの痛風診断

痛風の患者というのは以前どこかで痛風の診断を下された患者が多い。その診断が信用できるかどうかだが、単関節炎の鑑別診断をあれこれ考えることも大事だが。取り敢えず痛みを取ることも大事である。

以下はオランダからの報告らしい。

 医師が痛風と診断した328人の患者をスコア合計が4以下、4超8未満、8以下の3群に患者を分けると、各グループの結晶陽性患者の割合は2.2%、31.2%、82.5%となった。


 さらに受診者381人全員を対象にこの方法でROC曲線下面積を求めると、0.87(0.84-0.91)になった。臨床スコア4以下、4超8未満、8以下の3群に患者を分けると、各群の結晶陽性患者の割合は2.8%、27.0%、80.4%となった。

 したがって、スコアの合計が4以下であれば痛風の可能性はほとんどないと言える。一方、8以上なら痛風治療を開始してもよいだろう。スコアが4から8の間の患者については必要に応じて関節滑液の分析を行うべきだ、と著者らは述べている。

 なお、この診断用スコア表はhttp://www.umcn.nl/goutcalcに掲載されており、各項目にチェックを入れれば診断用スコアの合計が即座に得られる。

2010年8月8日日曜日

卵巣腫瘍の分類

発生母地による分類

1 表層上皮性腫瘍 中高年以降に好発する

◦ 漿液性
▪ 良性漿液性嚢腫
▪ 漿液性乳頭状腺癌 serous papillary cystoadenocarcinoma

◦ 粘液性
▪ 粘液性嚢胞腺腫 mucinous cystadenoma
▪ 粘液性腺癌

◦ 類内膜腫瘍 endometrioid tumors
◦ 明細胞癌 clear cell carcinoma
◦ ブレンナー腫瘍 brenner


2 性索間質性腫瘍    gonadal stroma tumors

◦ 良性セルトリ・間質細胞
◦ 顆粒膜細胞腫
◦ 線維腫
◦ 莢膜細胞腫 thecoma

3 胚細胞腫瘍       胚細胞に由来するもので、一般に幼少期を含めた若年層に好発する。

◦ 奇形腫
▪ 成熟嚢胞性奇形腫
▪ 成熟充実性奇形腫
▪ 未熟奇形腫

◦ 卵黄嚢腫瘍 yolk sac carcinoma
◦ 絨毛癌 choriocarcinoma
◦ 未分化胚細胞腫 dysgerminoma
◦ 胎児性癌 embryonal carcinoma

2010年8月6日金曜日

最近の外来より・・・

外来患者が最近急増して困っている。2年前のあののどかな外来が懐かしい。ここ半年、印象に残る患者さんたち・・・
  1. 当直中にやってきた尿閉患者:まだ若い55歳くらい。今朝からおしっこが出ないと外来で導尿600ml、夜私の外来で導尿450ml、別に急に普段使わない薬を飲んだというわけではないようだ。バルーン入れて入院が普通なのだろうが、激しく拒否された。水分を控えめにして明日は泌尿器に朝一番で行かなければね、と紹介状を書いた。朝一番で導尿にやってきた。550ml。そして昼過ぎ泌尿器科から連絡があり、前立腺癌とのこと。本人も私も話が唐突で驚いた。こんな経過もあるんだな。

  2. 17歳女子高校生。15歳ころはいまより20kg体重が重かったらしい。登校拒否も癒え今年はダイエットに励んだが、お腹だけが減らない、小さくならないという。触診するに、腹部に大きなしこりが・・・上端から下端まで(といっても下端は恥骨の下だ。)で30cmはあるだろう。エコーとCTを直ちに撮るが多房性嚢胞性後腹膜腫瘍であり40cmある。まずは卵巣腫瘍であろう。直ちに大学に連絡したら入院となり私の初診から一週間で手術されてしまった。奇形種だったとのこと。悪性成分がなくてよかったね。

  3. 50歳女性そろそろ閉経。2日前に下腹部のしこりに気がつく。触診するに単なる「しこり」どころではない。堂々たる腫瘍である。エコーするに余りの大きさに卵巣か子宮かわからない。性状からはこれも多房性嚢胞性後腹膜腫瘍である。これ以上の検査は当院では無益。直ちに大学の婦人科に紹介したら、即入院で受けて手術待ちとなる。こちらはおそらく粘液性卵巣腫瘍で癌であろう。それにしても2日前に気がついたというのは奇異である。きわめてまともな主婦のように見えたが。

  4. TietzeやMondorが少なくなったなあ・・・・と寂しい思いをしていたら、こないだ24才の女性で典型的なTietzeがやってきた。このひとも3週間くらいで自然に痛みが消退したよ。

  5. 最近気が付くのは初診のXpで骨折がないと判断し、3日から一週間後に骨折が発見されるケース。そんなにあるわけではないが、決してゼロにはできないのが臨床の実際だ。これに気が付くというのは、ちゃんと外来フォローが続くようにしてあることと、初診でのムンテラでしっかり骨折の可能性を説明してあることにつきる。ただし他所の病院で診て貰ってよくならないと来られるケースもあって、これには苦慮する。下手なことは言えないしなあ。

  6. この半年の最大のピンチは「化膿性脊椎炎」が数多い腰痛症患者のなかに紛れ込んできたことであった。60台の女性であり入院後2日で排尿困難になったのをきっかけに「大病院の整形外科」に転送としたが、あとでいただいた返事が馴染みのない化膿性脊椎炎ということであった。調べると一番訴訟の多い(診断が遅れ後遺症が残るため医者が敗訴することの多い)疾患の一つらしく冷や汗ものである。この方3ヶ月の入院ののち無事自宅に帰られたと最近連絡があった。患者の娘さんが法曹関係者であることを後で知り、更に冷や汗も凍る思いであった。腰痛のレッドフラグ(赤旗)の一つに「発熱のある急性腰痛」というのがあるが、今後も気をつけよう。それと整形に紹介するとき多少大げさでも『発熱・尿閉を伴う急性腰痛症』と訴えれば(これは嘘ではない。この発熱と膀直障害を示唆する腰痛というニュアンス)でこちらの思いは通ずる・・・・と思う。実際、土曜日の夕方なのに急いで取ってくれた。

癌細胞はどこからやってくるのか?:前立腺癌が基底細胞由来??

組織学と病理学:癌細胞はどこからやってくるのか?

腺組織というのは「縮み上がると汁が出る」という仕組みになっている。乳腺では乳汁を作る乳腺細胞の周りに「籠」のような細胞が取り囲んでおり(図↓)、この籠が縮むと乳が出る。前立腺も同様である。正常の前立腺は「褐色に染まる基底細胞」が「管腔細胞」を取り囲んでいる。


ところが前立腺がんの顕微鏡像(図↓)を見ると、この籠状の基底細胞は見られなくなる。このことより前立腺がんの起源(癌幹細胞)は管腔細胞であり、また病理組織検査での『籠状の基底細胞が認められなくなること』が癌の診断の大きな根拠とされてきた。




ところが今回その病理学者達を困らせる報告がサイエンスに掲載されたのじゃ。前立腺を細かく細胞レベルで分離し、「基底細胞」と「管腔細胞」分画にわけネズミに打ったのじゃと。するとなんたること「基底細胞」を打った群から前立腺癌が出来てきたのじゃと。これは驚きである。



Science 30 July 2010:
Vol. 329. no. 5991, pp. 568 - 571
DOI: 10.1126/science.1189992

Reports

Identification of a Cell of Origin for Human Prostate Cancer

Andrew S. Goldstein,1 Jiaoti Huang,2,3,6 Changyong Guo,2,4 Isla P. Garraway,2,4 Owen N. Witte1,5,6,*

Luminal cells are believed to be the cells of origin for human prostate cancer, because the disease is characterized by luminal cell expansion and the absence of basal cells. Yet functional studies addressing the origin of human prostate cancer have not previously been reported because of a lack of relevant in vivo human models. Here we show that basal cells from primary benign human prostate tissue can initiate prostate cancer in immunodeficient mice. The cooperative effects of AKT, ERG, and androgen receptor in basal cells recapitulated the histological and molecular features of human prostate cancer, with loss of basal cells and expansion of luminal cells expressing prostate-specific antigen and alpha-methylacyl-CoA racemase. Our results demonstrate that histological characterization of cancers does not necessarily correlate with the cellular origins of the disease.

1 Molecular Biology Institute, University of California, Los Angeles (UCLA), Los Angeles, CA 90095, USA.
2 Jonsson Comprehensive Cancer Center, UCLA, Los Angeles, CA 90095, USA.
3 Department of Pathology and Laboratory Medicine, UCLA, Los Angeles, CA 90095, USA.
4 Department of Urology, UCLA, Los Angeles, CA 90095, USA.
5 Department of Microbiology, Immunology and Molecular Genetics; Department of Molecular and Medical Pharmacology; Howard Hughes Medical Institute, David Geffen School of Medicine, UCLA, Los Angeles, CA 90095, USA.
6 Eli and Edythe Broad Center of Regenerative Medicine and Stem Cell Research, UCLA, Los Angeles, CA 90095, USA.

2010年8月5日木曜日

癌と突然変異について:Natureの最新論文

Natureのオンラインで乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌の変異遺伝子リスト論文が出た。論文提出から一年以上経つが、よくnatureの査読に耐えたものだね・・・・というようなことが話題になる論文。Laura D Woodの論文以来、この類いの論文は実はそうたくさん出ている訳でない。いくつかたまると教科書が書き換えられることになる。

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2007年11月29日木曜日

Laura D.Woodの大腸癌遺伝子解析
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Letter

Nature advance online publication 28 July 2010 |Received 23 July 2009; Accepted 27 May 2010; Published online 28 July 2010

Diverse somatic mutation patterns and pathway alterations in human cancers

Zhengyan Kan1,2, Bijay S. Jaiswal1, Jeremy Stinson1, Vasantharajan Janakiraman1, Deepali Bhatt1, Howard M. Stern3, Peng Yue2, Peter M. Haverty2, Richard Bourgon2, Jianbiao Zheng4, Martin Moorhead4, Subhra Chaudhuri1, Lynn P. Tomsho5, Brock A. Peters1, Kanan Pujara1, Shaun Cordes1, David P. Davis1, Victoria E. H. Carlton4, Wenlin Yuan1, Li Li2, Weiru Wang6, Charles Eigenbrot6, Joshua S. Kaminker2, David A. Eberhard3, Paul Waring3, Stephan C. Schuster5, Zora Modrusan1, Zemin Zhang2, David Stokoe1, Frederic J. de Sauvage1, Malek Faham4 & Somasekar Seshagiri1

  1. Department of Molecular Biology, Genentech Inc., 1 DNA Way, South San Francisco, California 94080, USA
  2. Department of Bioinformatics, Genentech Inc., 1 DNA Way, South San Francisco, California 94080, USA
  3. Department of Pathology, Genentech Inc., 1 DNA Way, South San Francisco, California 94080, USA
  4. Affymetrix Inc, 3420 Central Expressway, Santa Clara, California 95051, USA
  5. Pennsylvania State University, Center for Comparative Genomics and Bioinformatics, 310 Wartik Lab, University Park, Pennsylvania 16802, USA
  6. Department of Protein Engineering, Genentech Inc., 1 DNA Way, South San Francisco, California 94080, USA

Correspondence to: Somasekar Seshagiri1 Email: sekar@gene.com

The systematic characterization of somatic mutations in cancer genomes is essential for understanding the disease and for developing targeted therapeutics1. Here we report the identification of 2,576 somatic mutations across ~1,800megabases of DNA representing 1,507 coding genes from 441 tumours comprising breast, lung, ovarian and prostate cancer types and subtypes. We found that mutation rates and the sets of mutated genes varied substantially across tumour types and subtypes. Statistical analysis identified 77 significantly mutated genes including protein kinases, G-protein-coupled receptors such as GRM8, BAI3, AGTRL1 (also called APLNR) and LPHN3, and other druggable targets. Integrated analysis of somatic mutations and copy number alterations identified another 35 significantly altered genes including GNAS, indicating an expanded role for Gα subunits in multiple cancer types. Furthermore, our experimental analyses demonstrate the functional roles of mutant GNAO1 (a Gα subunit) and mutant MAP2K4 (a member of the JNK signalling pathway) in oncogenesis. Our study provides an overview of the mutational spectra across major human cancers and identifies several potential therapeutic targets.

2010年8月3日火曜日

「現代ビジネス」というHP;しょうもないが面白い。

ついつい読んでしまうHPの一つが「現代ビジネス」という週刊現代のインターネットサイトHPである。
田原総一郎や高橋洋一のインタビュー記事が載っており、

  1. 税務署は狙っている! ある朝、マルサがやってきた(前編)   http://gendai.ismedia.jp/articles/-/858
  2. 田原総一朗×上杉隆vol.1
「私が体験した『政治とカネ』のすべて」    http://gendai.ismedia.jp/articles/-/657
  3. 民主党政権も明かせなかった「政界とメディア」最大のタブーに挑戦する   http://gendai.ismedia.jp/articles/-/959?page=4
  4. 堀江貴文インタビュー vol.1 「ホリエモンにネットでお金を儲ける方法を聞く」  http://gendai.ismedia.jp/articles/-/908

なんていう記事もあったが、堀江貴文なる人物が意外に面白いことに初めて気がつかされた、。面白いけど、遠巻きに眺めての話であり、謂わば動物園で動物を眺めているようなものであり、まあ直ぐそばに居たとすれば愉快ではないだろう。ネットの仕組みやメデイアの仕組みの枠組みのなかだけでお金を稼ぐ人たちには違和感があるのだ。
楽天の三木谷さんはまだ実態があるので違和感がないが、堀江さんには違和感しか感じない。なにが楽しくて生きておられるのだろうか、彼は。まあ余計なお世話であろうがね。



テレビではそう見えないが、雑誌や週刊誌の世界では民主党のアンチキャンペーンが、現在のトレンドのようである。このサイトなどもアンチは相当なものである。であるから、余り真面目には読まないようにしているのだが、それでも時々は面白い記事があるので困るのである。

こういうのもあった。

     5. スタジオジブリ 宮崎駿監督をどう評価するのが正しいのか・・・村上春樹と並ぶ国民作家
  『借りぐらしのアリエッティ』も大ヒット

・・・・・評論家の宇野常寛氏が村上春樹との違いを分析する。

宮崎さんは天才型、村上春樹は秀才型。村上春樹は冷静に落ち着いて計算、分析することで、私たちの日常生活の世界を把握して記述していく。二人は 国民作家として並び称されますが、実は好対照だと思います。村上春樹さんは計算で書く人。消費社会が浸透していくと人間の世界観がどう変わっていくかにつ いて書いている。
 それに対し、宮崎さんは大江健三郎さんに近いと思います。自分の肥大したエゴというものを歴史的な問題意識にぶつけている」・・・・・

宮崎さんは天才型、村上春樹は秀才型というのはそうなのだろうか?  こないだどなたかが言っていた。北野武は秀才型、タモリは天才型だからしょうがない・・・なにがしょうがないかは、この際どうでもよいが、これは当たっていると思った。

2010年8月2日月曜日

前立腺がんとGWA:理研と東大による

東大と理研による前立腺癌にかかりやすい多型:最新号のNature Genetics

Nature Genetics | Letter

Genome-wide association study identifies five new susceptibility loci for prostate cancer in the Japanese population


Ryo Takata, Shusuke Akamatsu, Michiaki Kubo, Atsushi Takahashi, Naoya Hosono, Takahisa Kawaguchi, Tatsuhiko Tsunoda, Johji Inazawa, Naoyuki Kamatani, Osamu Ogawa, Tomoaki Fujioka, Yusuke Nakamura & Hidewaki Nakagawa

Journal name: Nature Genetics
Received 26 February 2010
Accepted 06 July 2010
Published online 01 August 2010
  • Prostate cancer is one of the most common malignancies in males throughout the world1, and its incidence is increasing in Asian countries. We carried out a genome-wide association study and replication study using 4,584 Japanese men with prostate cancer and 8,801 control subjects. From the thirty-one associated SNPs reported in previous genome-wide association studies in European populations, we confirmed the association of nine SNPs at P 10−7 and ten SNPs at P <> 0.05). In addition, we report here five new loci for prostate cancer susceptibility, at 5p15 (λ-corrected probability PGC = 3.9 × 10−18), GPRC6A/RFX6 (PGC = 1.6 × 10−12), 13q22 (PGC = 2.8 × 10−9), C2orf43 (PGC = 7.5 × 10−8) and FOXP4 (PGC = 7.6 × 10−8). These findings advance our understanding of the genetic basis of prostate carcinogenesis and also highlight the genetic heterogeneity of prostate cancer susceptibility among different ethnic populations.
  • 欧米の研究で前立腺がんとの関連が知られる31カ所のSNPのうち、19カ所が日本人と関係していることが判明。また、日本人にのみ関連する5 カ所の新たなSNPを見つけ、うち1カ所は、性ホルモンを作る遺伝子に関連していた。これら計24カ所のSNPのいずれかを持つ人は、通常の人より 1.13~1.75倍前立腺がんにかかりやすいとのこと (やはり低いなこの値)

2010年8月1日日曜日

膵癌FOLFIRINOXでOSmedianが11.1ヶ月

今年のASCOでの報告のひとつ。

膵癌でGemよりよさそうなレジメンがあるというもの。


膵癌では、特にフランスCentre Alexis VautrinのThierry Conroy氏が発表したフェーズ3試験であるProdige 4-ACCORD 11/0402試験の結果が驚きでした。この試験は、転移性膵腺癌を対象にファーストライン治療として標準療法であるゲムシタビンを投与する群とFOLFIRINOXレジメンを投与する群を比較したものです。

 FOLFIRINOXは、2週間を1サイクルとして、オキサリプラチン85mg/m2、ロイコボリン400mg/m2、イリノテカン180mg/m2、5-FU 400mg/m2のボーラス投与、5-FU 2400mg/m2の46時間持続点滴を行うレジメンでした。ゲムシタビンは1000mg/m2を最初の8週のうち7週は毎週投与し、その後は4週のうち3週を毎週投与する方法で投与されました。主要評価項目は全生存期間(OS)でした。FOLFIRINOX群、ゲムシタビン群にそれぞれ171例が割り付けられました。

  本試験は中間解析でFOLFIRINOX群の有効性が確認されたため、登録中止になりました。OS中央値はFOLFIRINOX群が11.1カ月(95% 信頼区間:9-13.1)、ゲムシタビン群は6.8カ月(95%信頼区間:5.5-7.6)となり、FOLFIRINOX群において大幅な生存期間の延長 が見られました

 ゲムシタビン単独投与に対してこれだけ生存期間が大きく上回る結果が得られた試験は初めてです。FOLFIRINOXの副作用に耐えられるような患者に対しては、今後の標準療法としてもよいと考えられる成績でした。