↑のような人がやってきた。これは「粘液嚢胞」だ。よく見るようで、余りみない。問題はこいつの治療だ。
口唇には「小唾液腺」が数多くあるのだそうだ。この腺ごと切除するのが基本らしい。
すでに破れた状態で来る患者もいる。こいつは厄介だ。破れた状態から更に切除を追加するという発想がなかなか湧かないからだ。
でも追加切除しないと治らない。よくわからないときは、信頼できる皮膚科(場合によっては歯科)の先生にお願いしよう。いつまでもなかなか良くならないまま、信用を失うのはつらいからね。
ちなみに手術の保険点数は
K421-1 口唇腫瘍摘出術変更なし.
1 粘液嚢胞摘出術 910点 9,100円(3割負担では 2,730円)
- この点数には異議ありである。だって露出部の皮膚腫瘍切除術は2cm以下でも1660点(16600円)なんだよ。口唇の外側部を皮膚露出部と解釈するのは無理かしら。なんとなく歯科の現状を暗示する点数配分のような気がする。
参考文献
粘液嚢胞
五百蔵一男, 小笠原健文
町田市民病院歯科・歯科口腔外科
歯界展望, 107(4) : 773-777, 2006.
この5ページの論文は素晴らしい!歯科医のお医者さんが書かれたものだが、非歯科、非口腔外科、非耳鼻科、非皮膚科の医者(すなわち一般の外科医や整形外科医)にも、充分役に立つ。
↓のイメージくらいの切除は必要と言うことだ。
なお「粘液嚢胞」というと全身どこにでもできる、余りにもありふれた一般的な名前に思われるかもしれないが、これが大いなる間違いなのである。これは口腔に限定されるかなりかたよりのある病気のようである。
すなわち 粘液嚢胞=口腔・口唇(しかも口唇にできるならほとんどが下口唇)
ついでにいえば口腔内にできるものに「がま腫」がある。
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