The 8q24 cancer risk variant rs6983267 shows long-range interaction with MYC in colorectal cancer
ここでの多型はTCFモチーフの中にあるらしい。G多型であるとその発現レベル(これはエンハンサー)が恒常的に上がっており、sis-acting(だってさ、そこからmycは350kbしか離れていない!)にmycを活性化させているようだ。ただし、これまでの膨大な研究で、 癌でmycがmRNAレベルで発現向上しているという確固たる証拠は少ないし、蛋白レベルでもその上昇は上がっているとするもの、そうではないとするもの諸説あってconsistentではない。つまりこの場合の「活性化」が何を意味しているのかがよくわからん。話はG多型ーTCF-mycという一直線の単純な話ではなさそう。実はこの論文と二本目のアールトーネンの論文は通底していて、お互いにデータを見せ合っているようだ。間違いではないのだろうが、話は今ひとつすっきりしない。
第一この単一多型による大腸癌の発症危険率は確か1.6程度と、ナンバーワン・チャンピオンとはいえ、通常の外因に比べると極端に低いのだ。この低さは不確かさではない。確かさというレベルでは、過去の臨床材料を用いたあらゆる研究のなかでも段違いに正確な評価なのであり RRが1.6程度であることが10000人を越える「遺伝子検査」を用いて、多型頻度が異なることが知られている人種ごとの違いを超えて、しかも複数の大規模研究で確かめられてる・・・ということなのだ。こんなに確かな研究成果も臨床研究では珍しい。ただし、それだけにRRの1.6には深い失望を覚える。
これ位の寄与率しかないものを、いったいいくつ見つければ(いくつ組み合わせれば)、癌になりやすいヒトの遺伝子多型ハプロタイプを見出すことができるのだろう? 数が多ければ多いほど、当然該当するヒトの絶対数は極端に少なくなっていく。疫学的・事前検診的スクリーニングの手法としてのパワーが落ちていくことが懸念されるわけだ。
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