さてこの3週間の出来事。
- ワーファリン服用中の患者がカッターナイフでぐさっと掌を切る。来院時止血で押さえたバスタオルが派手に出血で濡れている。さすがにバイタルサインまでは変化していないが、駆血帯2本で出血をコントロールし、麻酔が効くか効かぬかという内に縫い上げる。悠長にやる余裕なし。ワーファリンを中止してもしょうがない(間に合わない)のでそのままにしたが、oozingが3日くらい続いた。幸い麻痺等々の合併症はなかったが、抜糸は10日目にそ〜っとやりました。
- ワーファリン服用中の患者が閉塞性黄疸(総胆管結石)で外来に現れる。ある時期まではINRコントロールされていたのだろうが、黄疸が急激に現れ(外来ではT-Bil 18だった)凝固系も急激に悪化したのだろう、外来でTTを測ると3.5(35%ではない!!)である。ERCでステントが入ったからよかったものの、減黄出来なかったとして、ESTで乳頭を切り上げたり、PTCDに移行するのは非常に恐ろしいではないか。もちろんワーファリンは直ちに中止じゃ。
- S状結腸癌のIさんはワーファリンをのんでいたので、7日前からワーファリンをヘパリンに切り替え、INRを見ながら万全の状態で手術に臨んだが、やはり腹壁からはでるのだな。術中の出血コントロールは全く問題なかったが、術後皮切創からoozingが3日くらい続く。もちろん、ワーファリンをヘパリンに切り替えても全く問題ないmajor opeの方が多いのだが、一例でも出血傾向があるといやなものだ。
- これだけではない。消化管の内視鏡では「さらさら系」をのんでいるヒトはかなり多い。勤める病院は循環器が売りの一つであり、なんでもO先生だけで「心房細動」患者が300人いるそうである。大部分はワーファリンをのんでいるのだろうな。この辺りは昔の外来・病棟とはかなり違うので、気を遣うことが多いのだ。
- そんなわけで「さらさら系」について少しは勉強をしているのだが、これがなかなかでしてね〜。コンセンサスがあるようなないような。なかなか微妙なさじ加減の世界なので、非循環器系としては判断が難しい世界である。
- ちなみに下のグラフはTTとINRの関係をグラフ化してみたものだ(自作)。TTは〜100%のレンジでは誤差が大きくて当てにならないという。しかし下のグラフのレンジでは極めて信頼できるはずだ。このグラフだとTT3.5はINRでは7以上である。なかなか怖い数字である。
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