2011年1月23日日曜日

腹部動脈炎:悩ましい患者殿が・・・

60歳男性、主訴は1月9日に始まる腹痛・腰背部痛。一昨日21日に初診時38度の発熱。小生が診たのは昨日夕方からであるが、白血球20000、CRP> 21.0、血沈105mm(1時間値)、CT所見として腎動脈より下の腹部大動脈周辺の浮腫・脂肪織炎。これ以外に有意な所見無し。血圧120/80(左右の上肢・下肢で測定するが血圧に有意な差を認めない)。脈は左右橈骨動脈、左右大腿、足背動脈で差を認めない。気になるヒトなので本日も外来に来てもらったが、自覚症状はこの2日で随分改善し食事も良好にとれている。ちなみに初診医は初診時の所見から憩室炎等を疑い点滴・抗生剤を処方したがこれはこれで有効だった。

本日は日曜日で一応の診察を行い点滴等を行ったが、明日以降基幹病院に紹介したいものだと考えている。
簡単にまとめると
  1. 2週間続く腰背部痛
  2. 白血球、CRP、血沈が極めて高値
  3. CTで腹部大動脈炎の有意な所見(大動脈瘤は明らかではない)
  4. 末梢動脈に有意な所見(少なくとも左右差、上下肢差、脈の消失)を認めない。
  5. 眼症状や循環器症状は認めないようだ(本日、一応takayasuの臨床所見診断基準をためしてみたのだ)
この方の病態をどう理解したらいいのだろうか?

それより何科に紹介したらいいのだろう?

  • aortitis syndromeの関連で内科? 循環器内科?(takayasuは考えにくいがなあ・・・)

    それとも
  • 炎症性大動脈瘤の関連で血管外科?(動脈瘤はなさそうだが・・・)

    それとも

  • 慢性動脈周囲炎(Chronic Periaortitis: CP) (これの初期像?)

    あるいは

  • 特発性後腹膜線維症(Idiopathic retroperitoneal fibrosis (Ormond病) )の関連?

    それとも単なる一過性の炎症であり・・・・

  • 当院で継続観察?
最後の可能性が高いが、それでも診断はやはり餅は餅屋でやってもらおう。小生があれこれするのはここまでだ。

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