9番というのは始まりと最後がとても印象的である。一楽章の始まりはよく聞こえにくいハープのトレモロで始まる。最初の主旋律はなんと第二バイオリンなのだ。ボクはこの始まりがこよなく好きだ。あらゆる交響曲のなかで9番というのは5指に入るmy favoriteである。こんな美しい曲をよく作ってくれたものだと(世のマーラー好きと同様)感謝したい。そして最後である。最後の音は実は怖い。「まだ音は残っているよね。」というと音が一つ。「まだ音は残っているよね。」というと音が一つ。・・・・・でもやはり最後は音がついえてしまうのである。
金 聖響さんは神奈川フィルの演奏でこの9番の最後でホールの光をフェードアウトしていく工夫をしたらしい。最後の最後はバイオリン奏者の楽譜に翳された小さな光源のみ。最後の音とともにdim out。このあと2分くらい会場は漆黒・無音の中、しわぶきひとつしなかったという。やがて拍手がはじまる。実に感動的な音楽だったという。こんな音楽体験をしてみたいものですね!
ペーパーバック: 192ページ
出版社: Dover Publications; Reprint版 (1993/3/18)
言語 英語, ドイツ語
ISBN-10: 0486274926
ISBN-13: 978-0486274928
発売日: 1993/3/18
商品の寸法: 27.8 x 21.4 x 1.1 cm
この新書もなかなか良い。お二人ともマーラーが好きなんだよね。とってもよくわかるが、マーラー好きというのは時に同じマーラー好きを持ってしても理解不能のところがあって、たとえば下記。
- 聴いたことのない人向けの著者による最初の推薦曲が8番であること
- 4番が食えない作品であるとの評価
私がもっとも馴染めない8番を最初の一枚にするところなんて、破格だわ。
一方、とてもよくわかるのが
- 9番が死に行くヒトへの楽曲だということであり、これが超人ではなく全くの凡人の死をおそらく想定しているだろうということ
- 7番の創作意図が全くわからんとの金 聖響さんのご意見 (最近7番が好きになっていく小生ではあるが・・・・)
- マーラーは創作家としては天才だが、人間としては私らと変わらないなかなか解脱できない凡人であっただろうということ
マーラーの交響曲 (講談社現代新書) [新書]
金 聖響 (著), 玉木 正之 (著)
価格: ¥ 903
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