2012年6月27日水曜日

味覚の科学:近未来のノーベル賞はこれだ

今週号のnatureには「味覚」の特集が載っている。「味の素」の提供であるが、なかなか優れものでタイムリーな特集である。

90年代の嗅覚レセプター研究がノーベル賞に輝いたことは記憶に新しい。
味覚もきっと近いうちにノーベル賞を取ることになるだろう。

  1. 今 世紀になって味覚の科学はのりに乗っている。当時ようやく入手可能となったゲノムマップによりまず「苦み」に対するレセプターが見出された。それ以来、 「甘味」「しょっぱ味」「酸味」「うま味」に対するレセプターが次々に発見された。以上がいわば厳格な「味覚の基本クラブ」であるが、最近では新メンバー の加入を考え始めている。「炭水化物味」「金っ気味」そして「脂味」である。

  2. 最 近さらに面白いことがわかり始めている。味というのは舌ばかりでなく、どうやら全身で感じるものだということみたいなのだ。まず味覚レセプターは腸管にも 存在するし、気道にもあるし、なんと精子にもあるのだ。もっともこいつらの機能はまだわかっていない。文化について香りの持つ意味は言うまでもないことで あり科学者、シェフそして食品業界はなんとか新しくて魅力的な味を作りたいものだと駆り立てられてきた。

  3. 一方味覚についても個人差があるが、これが肥満と関連しているとの研究もある。更にこれまで主観的だった味覚の科学にも新しいテクノロジーが入り込み味覚を客観的に測定する技術も進んできた。








苦み、甘味、うま味、酸味そしてからさ(しょっぱ味)のレセプター構造である。
















2000年に苦みレセプターが、2001年に甘味
レセプターが見つかる。

2002年には苦みレセプターが消化管に確認された。

2002年には更にうま味レセプターの発見
2005年には甘味レセプターがこれも
消化管に確認された。

2006年には酸味レセプターの発見

2009年には炭酸飲料を飲んだときの炭酸に対するレセプターが酸味細胞に見つかる。

2010年にはしょっぱ味に対する
レセプターの発見




3. Chandrashekar, J. et al. Cell 100, 703711 (2000).
4. Boyd, W. C. Science 112, 153 (1950).
5. Nelson, G. et al. Cell 106, 381390 (2001).
6. Nelson G. et al. Nature 416, 199202 (2002).
7. Huang, A. L. et al. Nature 442, 934938 (2006).
8. Chandrashekar J. et al. Science 326, 443445 (2009).
9. Chandrashekar, J. et al. Nature 464, 297301 (2010).

UCSDにZukerラボというのがある。このホームページを参考にしてもよいかも。

チャンドラセカールやネルソンというのはこのラ・ホーヤの研究室に属している。


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