以前、「現代のラヴェル弾き(1)」を書いた。最近更に何枚か手に入れたので、その(2)を書いてみる。
(1)まぼろしのラヴェルを一枚発掘した。それは永井幸枝さんという方の1983年の録音であり、小生がラヴェルでは大変お世話になっているホームページ(音楽図鑑CLASSIC)で「こんなに上手い日本人がいたことを知らなかった自分を恥じます」とまで評価されているのです。小生の大好きな「クープランの墓」に「鏡」である。ずっと欲しかったのだが、なかなか手に入らなかった(手に入らないものと思っていた)。最近、アマゾンのページで輸入版が手に入ることを知る。早速購入したところである。
(2)これも最近知ったラヴェルのピアノ全集。スティーブン・オズボーンというピアニストである。小生には全く馴染みがなかった。アマゾンのレビューを書いたひとの一言「ロルティを越える一枚」という評価に驚いた次第。本当に驚いた。わたしラヴェルのピアノは数多く聴いているが、ロルティを越えるラヴェル弾きとなんて、そうそうはいないと思っているからだ。わずかにアビー・シモンくらいしか思いつかない。アビー・シモン、ルイ・ロルティ、エル・バシャが今の小生にとって、もっとも心地よいラヴェル弾きなんだが、スティーブン・オズボーンがこれに匹敵するなら・・・と早速購入。最近アマゾンは並行輸入を扱うので、国内の代金(3235円)よりも安い値段(2760円)で手に入ってしまった。
(3)最後はアルフレッド・パールである。前にも書いたがNaxosの音楽サイトで聴いたクープランが素晴らしかったのだ。これはまだ未購入である。
2013年4月30日火曜日
最近読む雑誌と雑感
最近読む雑誌といっても、医学生物学に限ってのことである。読むというのは正確ではない。browsingである。ざっと眺めて、面白そう記事、論文をつまみ食いして読む。多くは眺めるだけ。これが小生の勉強である。小生の興味は、(1)がんとゲノム変異、(2)反復配列(特にLINE-1)、(3)Lgr5から見た幹細胞生物学が主であることを述べておこう。
この一年でbrowsingしている雑誌は「Cell』『nature』『Science』『New England Journal of Medicine』『PNAS』だ。この5冊は欠かさずbrowsingしている。browsingしなくなった雑誌は「nature genetics」であろうか。最近全く興味を引かなくなってしまった。5年前くらいまでは、一番好きな雑誌の一つだったのだが、最近はほとんどpdfを落とさなくなってしまった。この雑誌のscopeは随分変わってきたと思う。
がんに関していえば、20年くらい前(いや10年前もかな)までは「Cell』『nature』『Science』には臨床医や臨床研究をやる人間に興味を惹かせる論文はそうそう掲載されなかった。そんなのは「Cancer Research」「Oncogene」の独壇場だったと思う。臨床研究であれば「Journal of Clinical Oncology」か「Cancer Research」あるいは「Clinical Cancer Research」であり、それ以外の雑誌にはあまりいい論文は出なかったと思う。「Gastroenterology」にがんの良い論文が載るなど昔はあまりなかったと思う。
状況は様変わりしたと思う。今ではがんに関するあらゆる論文をトップジャーナルが引き受けるようになった。 「Cell』『nature』『Science』『New England Journal of Medicine』に臨床医でも面白いと思える研究がどんどん載る。最近は「Cancer Research」「Oncogene」を見ることがほとんどないので、これらの雑誌がどんな論文を載せているのか小生、分からないが、トップジャーナルが引き受ける分、随分割を食っているのではないかと思うのだ。
さて「Cell』『nature』には姉妹誌というのがあり、昔はbrowsingするのが大変だったが 、今ではほとんど見ないので(潔く眺めるのをやめた)、楽にはなった。姉妹紙で小生の独断で面白くなってきたと思うのは「Cancer Cell」である。昔は面白かったけど、今はどうかなと思うのが「nature genetics」やnatureのレビュー誌群。レビューも最近では数が多すぎて目に留まらない。
がんのレビューについてはLander、Vogelstein、Weinbergの3人を追いかけていれば良いかなという気もする。この人たちが3大誌に数年に一回書くレビューで充分ではないだろうかと思うのだ。それじゃscopeが狭すぎる、このヒトにも注目しなきゃ!という方を知っていたら、是非教えてほしいと思う。
それと「がんとゲノム変異」を丹念に追いかけて、日本語の総説を書いている人がいたら是非教えてほしい。ここ数年、小生が最新情報に日本語で触れることが減って来ているのは、ワタシがアカデミックを離れているせいでしょうか?
ドライバーやパッセンジャーすらも教科書には書いていない。国内二大誌も余り特集を組んでいない。この話題地味なのかしら。
ようやくがん遺伝子もがん抑制遺伝子もその全貌が見えて来たと思える時代が訪れたというのに、残念なことである。なんとかしたいと思って、ブログにメモを貼付けている。
この一年でbrowsingしている雑誌は「Cell』『nature』『Science』『New England Journal of Medicine』『PNAS』だ。この5冊は欠かさずbrowsingしている。browsingしなくなった雑誌は「nature genetics」であろうか。最近全く興味を引かなくなってしまった。5年前くらいまでは、一番好きな雑誌の一つだったのだが、最近はほとんどpdfを落とさなくなってしまった。この雑誌のscopeは随分変わってきたと思う。
がんに関していえば、20年くらい前(いや10年前もかな)までは「Cell』『nature』『Science』には臨床医や臨床研究をやる人間に興味を惹かせる論文はそうそう掲載されなかった。そんなのは「Cancer Research」「Oncogene」の独壇場だったと思う。臨床研究であれば「Journal of Clinical Oncology」か「Cancer Research」あるいは「Clinical Cancer Research」であり、それ以外の雑誌にはあまりいい論文は出なかったと思う。「Gastroenterology」にがんの良い論文が載るなど昔はあまりなかったと思う。
状況は様変わりしたと思う。今ではがんに関するあらゆる論文をトップジャーナルが引き受けるようになった。 「Cell』『nature』『Science』『New England Journal of Medicine』に臨床医でも面白いと思える研究がどんどん載る。最近は「Cancer Research」「Oncogene」を見ることがほとんどないので、これらの雑誌がどんな論文を載せているのか小生、分からないが、トップジャーナルが引き受ける分、随分割を食っているのではないかと思うのだ。
さて「Cell』『nature』には姉妹誌というのがあり、昔はbrowsingするのが大変だったが 、今ではほとんど見ないので(潔く眺めるのをやめた)、楽にはなった。姉妹紙で小生の独断で面白くなってきたと思うのは「Cancer Cell」である。昔は面白かったけど、今はどうかなと思うのが「nature genetics」やnatureのレビュー誌群。レビューも最近では数が多すぎて目に留まらない。
がんのレビューについてはLander、Vogelstein、Weinbergの3人を追いかけていれば良いかなという気もする。この人たちが3大誌に数年に一回書くレビューで充分ではないだろうかと思うのだ。それじゃscopeが狭すぎる、このヒトにも注目しなきゃ!という方を知っていたら、是非教えてほしいと思う。
それと「がんとゲノム変異」を丹念に追いかけて、日本語の総説を書いている人がいたら是非教えてほしい。ここ数年、小生が最新情報に日本語で触れることが減って来ているのは、ワタシがアカデミックを離れているせいでしょうか?
ドライバーやパッセンジャーすらも教科書には書いていない。国内二大誌も余り特集を組んでいない。この話題地味なのかしら。
ようやくがん遺伝子もがん抑制遺伝子もその全貌が見えて来たと思える時代が訪れたというのに、残念なことである。なんとかしたいと思って、ブログにメモを貼付けている。
2013年4月27日土曜日
血管およびリンパ管の内皮細胞性腫瘍
WHO 2006
VASCULAR TUMOURS
Benign
Haemangiomas of
subcut/deep soft tissue: 9120/0
capillary 9131/0
cavernous 9121/0
arteriovenous 9123/0
venous 9122/0
intramuscular 9132/0
synovial 9120/0
Epithelioid haemangioma 9125/0
Angiomatosis
Lymphangioma 9170/0
Intermediate (locally aggressive)
Kaposiform haemangioendothelioma 9130/1
Intermediate (rarely metastasizing)
Retiform haemangioendothelioma 9135/1
Papillary intralymphatic angioendothelioma 9135/1
Composite haemangioendothelioma 9130/1
Kaposi sarcoma 9140/3
Malignant
Epithelioid haemangioendothelioma 9133/3
Angiosarcoma of soft tissue 9120/3
WHO 2002に準拠した邦訳
6.血管およびリンパ管の内皮細胞性腫瘍
Endothelial Tumors of Blood and Lymph Vessels
ここでは血管とリンパ管を同じ項目で扱う。良性病変は正常の血管、リンパ管に類似した脈管の増殖性病変で、その脈管の種類により分類。
毛細血管腫 Capillary hemangioma、海綿状血管腫Cavernous
hemangioma、静脈性血管腫 Venous hemangioma、類上皮血管腫(血
管リンパ組織過形成、組織球様血管腫)、Epithelioid hemangioma
(angiolympoid hyperplasia、histiocytoid hemangioma)に分類。
2. 膿原性肉芽腫 Pyogenic granuloma
肉芽組織型血管腫 granulation tissue type hemangiomaとも呼ばれる。
3. リンパ管腫 Lymphangioma : 先天性。
4. グローム腫瘍 glomus tumor
1) 紡錘形細胞血管内皮腫 Spindle cell hemangioendothelioma
血管内乳頭状内皮腫 Endovascular papillary angioendothelioma
(Dabska)
2) 類上皮血管内皮腫 Epithelioid hemagioendothelioma
良悪性中間群の病変で、肺で最初に報告され、軟部、骨、肝、脳
などで報告。組織学的に腫瘍細胞は上皮様形態を示し、血管内皮
マーカー陽性。
3) カポジ肉腫様血管内皮腫 Kaposiform hemangioendothelioma
1. 血管肉腫 Angiosarcoma
高齢者に好発する皮膚型血管肉腫は予後不良。
2. リンパ管肉腫 Lymphangiosarcoma
乳房切断術などの慢性リンパ鬱滞に合併
3. カポジ肉腫 Kaposi sarcoma
アフリカの熱帯地方に多く、近年、後天性免疫不全症候群acquired
immunodeficiency syndrome(AIDS)に合併。多発性で皮膚や内部臓器。
紡錘形細胞の増殖と間質血管の増殖。
---------------------------------------------------------------
血管内乳頭状内皮細胞増殖症
Intravascular papillary endothelial hyperplasia (IPEH)
こないだ足底部の皮下腫瘍を切除したところ、返ってきた病理がこの病気だったよ。全く馴染みのない病気である。反応性の腫瘍のようだ。再発さえなければいいのだが・・
この腫瘍右足の一指の基部にあり、25 mm皮膚の変化は無し。触診では脂肪腫のような柔らかさ、奇妙なのは形状がダンベル状というか、曲玉様というか、単純な膨張性腫瘍ではないこと。辺縁は見事にクリア。エコーでは充実性の低エコー性腫瘤で辺縁はクリア。唯一奇妙なのは、深部にやけに血行が豊かなことである。血管様構造の集族も見える。で取れそうだったので取ってみたらこの病理である。
この病態はMasson先生が90年くらい前に提言したもので、日本でも30年くらい前にまとめて91例の報告がある。 軟部腫瘍病理学者よりは皮膚科の方が馴染みがあるentitiyのようだ。ところで2006年のWHOではどのようなあつかいなのだろうな
VASCULAR TUMOURS
Benign
Haemangiomas of
subcut/deep soft tissue: 9120/0
capillary 9131/0
cavernous 9121/0
arteriovenous 9123/0
venous 9122/0
intramuscular 9132/0
synovial 9120/0
Epithelioid haemangioma 9125/0
Angiomatosis
Lymphangioma 9170/0
Intermediate (locally aggressive)
Kaposiform haemangioendothelioma 9130/1
Intermediate (rarely metastasizing)
Retiform haemangioendothelioma 9135/1
Papillary intralymphatic angioendothelioma 9135/1
Composite haemangioendothelioma 9130/1
Kaposi sarcoma 9140/3
Malignant
Epithelioid haemangioendothelioma 9133/3
Angiosarcoma of soft tissue 9120/3
WHO 2002に準拠した邦訳
6.血管およびリンパ管の内皮細胞性腫瘍
Endothelial Tumors of Blood and Lymph Vessels
ここでは血管とリンパ管を同じ項目で扱う。良性病変は正常の血管、リンパ管に類似した脈管の増殖性病変で、その脈管の種類により分類。
A. 良性Benign
1. 血管腫 hemangioma毛細血管腫 Capillary hemangioma、海綿状血管腫Cavernous
hemangioma、静脈性血管腫 Venous hemangioma、類上皮血管腫(血
管リンパ組織過形成、組織球様血管腫)、Epithelioid hemangioma
(angiolympoid hyperplasia、histiocytoid hemangioma)に分類。
2. 膿原性肉芽腫 Pyogenic granuloma
肉芽組織型血管腫 granulation tissue type hemangiomaとも呼ばれる。
3. リンパ管腫 Lymphangioma : 先天性。
4. グローム腫瘍 glomus tumor
B. 中間群 Intermediate
1. 血管内皮腫 hemangioendothelioma1) 紡錘形細胞血管内皮腫 Spindle cell hemangioendothelioma
血管内乳頭状内皮腫 Endovascular papillary angioendothelioma
(Dabska)
2) 類上皮血管内皮腫 Epithelioid hemagioendothelioma
良悪性中間群の病変で、肺で最初に報告され、軟部、骨、肝、脳
などで報告。組織学的に腫瘍細胞は上皮様形態を示し、血管内皮
マーカー陽性。
3) カポジ肉腫様血管内皮腫 Kaposiform hemangioendothelioma
C. 悪性Malignant
1. 血管肉腫 Angiosarcoma
高齢者に好発する皮膚型血管肉腫は予後不良。
2. リンパ管肉腫 Lymphangiosarcoma
乳房切断術などの慢性リンパ鬱滞に合併
3. カポジ肉腫 Kaposi sarcoma
アフリカの熱帯地方に多く、近年、後天性免疫不全症候群acquired
immunodeficiency syndrome(AIDS)に合併。多発性で皮膚や内部臓器。
紡錘形細胞の増殖と間質血管の増殖。
---------------------------------------------------------------
血管内乳頭状内皮細胞増殖症
Intravascular papillary endothelial hyperplasia (IPEH)
こないだ足底部の皮下腫瘍を切除したところ、返ってきた病理がこの病気だったよ。全く馴染みのない病気である。反応性の腫瘍のようだ。再発さえなければいいのだが・・
この腫瘍右足の一指の基部にあり、25 mm皮膚の変化は無し。触診では脂肪腫のような柔らかさ、奇妙なのは形状がダンベル状というか、曲玉様というか、単純な膨張性腫瘍ではないこと。辺縁は見事にクリア。エコーでは充実性の低エコー性腫瘤で辺縁はクリア。唯一奇妙なのは、深部にやけに血行が豊かなことである。血管様構造の集族も見える。で取れそうだったので取ってみたらこの病理である。
この病態はMasson先生が90年くらい前に提言したもので、日本でも30年くらい前にまとめて91例の報告がある。 軟部腫瘍病理学者よりは皮膚科の方が馴染みがあるentitiyのようだ。ところで2006年のWHOではどのようなあつかいなのだろうな
2013年4月25日木曜日
Nature Digestによる最近のシークエンス事情:100万塩基読むのに5円!
Nature Digest
May 2013, Volume 10 No 5
成熟期に入りつつある「ゲノム解読」技術は、 医療診断に使える十分な価格と精度を持つようになった。
2013 年のゲノム生物学&テクノロジー会議(Advances in Genome Biology and Technology、以下AGBT)が、2月20 ~ 23日にマルコ島(米国フロリダ州)で開催された。この会議では毎年、次世代シーケンシングに関する最新技術が発表される。
現状使えるDeep Sequence機器であるが、最近のランニングコストには驚いた。安い!
この中ではイルミナのHiSeqという機器が先頭を走っているらしい。5円で100万塩基である。我が目を疑う。30億塩基で1万5千円ということ。ゲノムシークエンスで今どれくらいのredundancyで読んでいるのか? 信頼できるデータとして先のランダーの論文を一部引用してみよう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大量並行シークエンス法(MPS)の出現はがんゲノム研究を革命的に変化させた。当初実験一回で1ギガ塩基読んでいたものが、2012年末までに600ギガ塩基にスケールアップした。MPSはフレキシブルであり、現在では単一遺伝子変異、ゲノムコピー数変化、転座、転写レベルの変異、スプライシング変異の検出、メチレーション、クロマチン構造変異など、ほとんど全てのゲノム変異に対応出来る技術である。
MPSによる最初のがんゲノム報告は2008年Leyらによってなされた。細胞遺伝学的には異常を認めないAML患者の全ゲノム解析である。最初の報告は一症例報告であったが、ほどなく数百症例解析が標準となる。解析コストが劇的に下がったため、データが爆発的に出だしたのである。 MITのBroad研究所だけでも2012年までに16000以上の症例がゲノムあるいはエクソン解析を施行された。
MPS技術の到来とともに新しい解析技術も必要となってきた。正常とがんが混在したサンプルから正確に変異シークエンスと健常シークエンスを選び抜く技術がまず必要とされた。DNAにせよRNAにせよそれぞれの変異を捕まえるには独自の技術が必要とされた。これには単一遺伝子変異、ゲノムコピー数変化、転座、転写レベルの変異、スプライシング変異の検出、メチレーション、クロマチン構造変異検出技術が含まれる。多くの症例DNA検索で変異候補が見つかると、正常シークエンスと比較してその蓋然性を検討して変異遺伝子と確定するアルゴリズムが開発された(Meyerson 2010)。正確に変異を検出する技術は驚くほどトリッキーであることも明らかになった。がんの体細胞変異は1Mbに一回くらいの希な頻度でしか起こらないので、これを間違いなく異常ととらえる為に要求されるシークエンスのバックグラウンドエラー条件は極めて厳しいものとなる。加えて偽陽性の問題がある。すなわちシークエンスエラーでありシークエンス解析技術のエラーであり、サンプル中の癌と正常細胞の比率であり、染色体異常(ploidyの問題)でもあり、がん組織に複数のクローンが存在することも原因となろう。
シークエンス深度(同じ配列を何回読むかということ)の回数が増えることにより、特異性も感度もともに上昇してきた。エクソーム解析では100から150回、ゲノムでも30回から60回は読むのが現在の状況であるが、コストさえ許せばゲノムのシークエンス回数を増やしたいと考えられている。 ・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
というわけで、従来の回数とは比較にならないほど深く読んでいるのだ。ゲノムで60回である。先のイルミナのHiSeqなら90万円くらいということになる。1000ドルシークエンスの10倍であるが、それでも凄いよね。
May 2013, Volume 10 No 5
加速する「遺伝子解析」の医療利用 - pp20 - 21
Erika Check Hayden
成熟期に入りつつある「ゲノム解読」技術は、 医療診断に使える十分な価格と精度を持つようになった。
2013 年のゲノム生物学&テクノロジー会議(Advances in Genome Biology and Technology、以下AGBT)が、2月20 ~ 23日にマルコ島(米国フロリダ州)で開催された。この会議では毎年、次世代シーケンシングに関する最新技術が発表される。
現状使えるDeep Sequence機器であるが、最近のランニングコストには驚いた。安い!
クリックで大きくなります。!
この中ではイルミナのHiSeqという機器が先頭を走っているらしい。5円で100万塩基である。我が目を疑う。30億塩基で1万5千円ということ。ゲノムシークエンスで今どれくらいのredundancyで読んでいるのか? 信頼できるデータとして先のランダーの論文を一部引用してみよう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大量並行シークエンス法(MPS)の出現はがんゲノム研究を革命的に変化させた。当初実験一回で1ギガ塩基読んでいたものが、2012年末までに600ギガ塩基にスケールアップした。MPSはフレキシブルであり、現在では単一遺伝子変異、ゲノムコピー数変化、転座、転写レベルの変異、スプライシング変異の検出、メチレーション、クロマチン構造変異など、ほとんど全てのゲノム変異に対応出来る技術である。
MPSによる最初のがんゲノム報告は2008年Leyらによってなされた。細胞遺伝学的には異常を認めないAML患者の全ゲノム解析である。最初の報告は一症例報告であったが、ほどなく数百症例解析が標準となる。解析コストが劇的に下がったため、データが爆発的に出だしたのである。 MITのBroad研究所だけでも2012年までに16000以上の症例がゲノムあるいはエクソン解析を施行された。
MPS技術の到来とともに新しい解析技術も必要となってきた。正常とがんが混在したサンプルから正確に変異シークエンスと健常シークエンスを選び抜く技術がまず必要とされた。DNAにせよRNAにせよそれぞれの変異を捕まえるには独自の技術が必要とされた。これには単一遺伝子変異、ゲノムコピー数変化、転座、転写レベルの変異、スプライシング変異の検出、メチレーション、クロマチン構造変異検出技術が含まれる。多くの症例DNA検索で変異候補が見つかると、正常シークエンスと比較してその蓋然性を検討して変異遺伝子と確定するアルゴリズムが開発された(Meyerson 2010)。正確に変異を検出する技術は驚くほどトリッキーであることも明らかになった。がんの体細胞変異は1Mbに一回くらいの希な頻度でしか起こらないので、これを間違いなく異常ととらえる為に要求されるシークエンスのバックグラウンドエラー条件は極めて厳しいものとなる。加えて偽陽性の問題がある。すなわちシークエンスエラーでありシークエンス解析技術のエラーであり、サンプル中の癌と正常細胞の比率であり、染色体異常(ploidyの問題)でもあり、がん組織に複数のクローンが存在することも原因となろう。
シークエンス深度(同じ配列を何回読むかということ)の回数が増えることにより、特異性も感度もともに上昇してきた。エクソーム解析では100から150回、ゲノムでも30回から60回は読むのが現在の状況であるが、コストさえ許せばゲノムのシークエンス回数を増やしたいと考えられている。 ・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
というわけで、従来の回数とは比較にならないほど深く読んでいるのだ。ゲノムで60回である。先のイルミナのHiSeqなら90万円くらいということになる。1000ドルシークエンスの10倍であるが、それでも凄いよね。
2013年4月23日火曜日
chromothripsisとmicronucleiとchromoplexy:時代はどんどん進展しているぞ。
がんのゲノムシークエンス報告で衝撃的だったのがchromothripsisであったことは記憶に新しいが、時代はどんどん進んでいる。
最近では染色体崩壊(?)(chromothripsisとmicronucleiとchromoplexy)なる現象が次々知られて来た。
クロモスリプシスは骨腫瘍、小児の髄芽腫、神経芽細胞腫に認められ、一本かせいぜい二本の染色体が一挙にバラバラになる。再構成の過程で、欠失や転座などが起こるというイベントである。カタストロフィックな変化と記述されているが、細胞分裂のときに更にmicronucleiというものができ、不均等分裂につながったり、さらには今年のCellにchromothripsisがらみで、いくつもの遺伝子ゲノムが輪っかを作りこれをchromosome chainとよび、この現象をchromoplexy(plexyというのはギリシャ語で「紡ぐ」という意味)と呼ぶというイベントが報告されている。
これらの用語は少なくとも3年前の教科書には存在しない。時代はどんどん進んでいる。
以上はこの春のランダーの総説からのトピックであるが、この総説はワクワクするくらい面白いよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(1)まずはセル誌によるEric S. Landerの21ページの総説
Cell, Volume 153, Issue 1, 17-37, 28 March 2013
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
を今読んでいるが、これが実に面白い。
クロモスリプシスは骨腫瘍、小児の髄芽腫、神経芽細胞腫に認められ、一本かせいぜい二本の染色体が一挙にバラバラになる。再構成の過程で、欠失や転座などが起こるというイベントである。カタストロフィックな変化と記述されているが、細胞分裂のときに更にmicronucleiというものができ、不均等分裂につながったり、さらには今年のCellにchromothripsisがらみで、いくつもの遺伝子ゲノムが輪っかを作りこれをchromosome chainとよび、この現象をchromoplexy(plexyというのはギリシャ語で「紡ぐ」という意味)と呼ぶというイベントが報告されている。
Cell, Volume 153, Issue 3, 666-677, 25 April 2013
Sylvan C. Baca et al
これらの用語は少なくとも3年前の教科書には存在しない。時代はどんどん進んでいる。
以上はこの春のランダーの総説からのトピックであるが、この総説はワクワクするくらい面白いよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2013年4月1日月曜日
春は総説が目白押し:Science & Cell
Cell, Volume 153, Issue 1, 17-37, 28 March 2013
Lessons from the Cancer Genome
Levi A. Garraway, Eric S. Lander
Summary
Systematic studies of the cancer genome have exploded in recent years. These studies have revealed scores of new cancer genes, including many in processes not previously known to be causal targets in cancer. The genes affect cell signaling, chromatin, and epigenomic regulation; RNA splicing; protein homeostasis; metabolism; and lineage maturation. Still, cancer genomics is in its infancy. Much work remains to complete the mutational catalog in primary tumors and across the natural history of cancer, to connect recurrent genomic alterations to altered pathways and acquired cellular vulnerabilities, and to use this information to guide the development and application of therapies.ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
を今読んでいるが、これが実に面白い。
2013年4月21日日曜日
2013年4月14日日曜日
NEJMはPneumatosis Intestinalisがお好き
NEJMはPneumatosis Intestinalisがお好きなようで、小生がこの雑誌を積極的に眺めだしてから、すでに3回目の掲載である。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
(1)2011年8月25日木曜日☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
再度「腸管気腫症」:α‐グルコシダーゼ阻害剤による医原病
Pneumatosis Cystoides Coli
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
(3)Pneumatosis Intestinalis
Tomer Adar, M.D., and Kalman Paz, M.D.
N Engl J Med 2013; 368:e19 April 11, 2013症例としては前回の糖尿病薬の副作用で起こった腸管気腫症のほうがインパクトがある。今回の症例ではCFの動画がついていて、つついてしぼませることで診断に役立ったとしているが、さて、はてなの茶碗だな。
まあ、このあと無治療・無症状であったということである。
2013年4月13日土曜日
不機嫌なイチゴゼリー
不機嫌なイチゴゼリーといえば腸重積である。赤ん坊は泣くしかないので、間歇的な腹痛は「機嫌の悪さ」泣くことでしか表現できない。そして下血はよくイチゴゼリー状と表現される。
もし「腸重積」を治療しなくてはいけなくなったとしたら、どうするか
もし「腸重積」を治療しなくてはいけなくなったとしたら、どうするか
- まず親に了解を得る。手術の前に試みるべき「高圧浣腸」という手段があるが、やってもいいかな?上手くできれば、手術しなくてもすむ。ただし破れて腹膜炎を起こす可能性がある。この場合は直ちに手術です。もっとも、 「高圧浣腸」であっても、上手く整復できなければ手術するしかないのですな。
もう一度いう。「高圧浣腸」は成功率高いが、破れる可能性がゼロではない。 - 了解がとれたら透視室で「高圧浣腸」を試みよう。この際、必ず16 or 18Gのエラスター針を用意しておくこと。
- いまどきの「高圧浣腸」は「空気」でやるべし。120mmHgまでかけて良い。透視下だと空気が造影剤の働きをする。先進部が見える。整復されると、空気は一挙に回盲部へ至り、回腸も写るよ。
- ところが破れたら一挙に状況が変わる。free airは派手に写る。このとき慌てないこと。ほっとくと「緊張性気胸」のように、呼吸が困難になることがあるのですって。だから次の一手を間髪を入れずに忘れずにね。
- つまりその場合には、急いで腹壁にエラスター針を刺すこと。脱気を図って、ヒトを集めて手術場に直行することだ。
「曜変天目」国宝3点と卯花墻(うのはながき)など・・
陶磁器の国宝は13点あるが、そのそれぞれが国宝たる由縁はなかなかに難解である。とはいうものの、さはさりながらだよ、それでも「曜変天目」と呼ばれる3つの茶碗の凄さ、特に(1)の静嘉堂所蔵の一品の素晴らしさはボクにもわかる。曜変というは窯変のことであり、この油滴状の文様は意図せざる自然の玄妙な造作であり、多くの陶工が試みるものの、実は過去800年、世界中の誰にも再現できないのだそうだ。
(1)曜変天目茶碗(静嘉堂所蔵)
(2)曜変天目茶碗(藤田美術館所蔵)
(3)曜変天目茶碗(大徳寺龍光庵所蔵)
もうひとつ油滴天目と呼ばれる一品がある。これも国宝だ。
(4)油滴天目茶碗(東洋陶磁美術館)
あと9品あるわけだが、その中の3品を記す。真ん中のは「志野茶碗 『卯花墻(うのはながき)』」といい相当に有名な茶碗であるが、確かに悪くないがなぜ国宝に値するのか残念ながらわかりません。 昔からわからなかったが、今に至るもわかりません。
(1)曜変天目茶碗(静嘉堂所蔵)
(2)曜変天目茶碗(藤田美術館所蔵)
(3)曜変天目茶碗(大徳寺龍光庵所蔵)
もうひとつ油滴天目と呼ばれる一品がある。これも国宝だ。
(4)油滴天目茶碗(東洋陶磁美術館)
あと9品あるわけだが、その中の3品を記す。真ん中のは「志野茶碗 『卯花墻(うのはながき)』」といい相当に有名な茶碗であるが、確かに悪くないがなぜ国宝に値するのか残念ながらわかりません。 昔からわからなかったが、今に至るもわかりません。
2013年4月9日火曜日
抗がん剤治療中にliquid biopsyを行うと・・・・・
liquid biopsyというのは造語である。あたかも採血で腫瘍マーカーを測るように、血清からDNAシークエンスにより腫瘍遺伝子変異を検索する技術のことをいう。
5症例に19回 liquid biopsyを試み、以下の薬剤で新たな変異遺伝子出現を見つけたとのレポートである。
以下の変異例は、これは症例報告であるから、絶対的なものではないが、抗がん剤治療に対し抵抗性のクローンが出現し始めるのを検出するのにいい指標にはなるかもしれない。Vogelsteinによる liquid biopsy研究では、画像イメージで再発が検出される前少なくとも6ヶ月には liquid biopsyは変化を示しているとのことであった。
こんなグラフがいくつも紹介される。この例は乳癌でエピルビシンからパクリタキセルに変えた前後のliquid biopsyプロフィル
Nature(2013)
Non-invasive analysis of acquired resistance to cancer therapy by sequencing of plasma DNA
Muhammed Murtaza, Sarah-Jane Dawson & others, & Nitzan Rosenfeld
Received 05 October 2012
Accepted 11 March 2013
Published online 07 April 2013
Cancers acquire resistance to systemic treatment as a result of clonal evolution and selection1, 2. Repeat biopsies to study genomic evolution as a result of therapy are difficult, invasive and may be confounded by intra-tumour heterogeneity3, 4. Recent studies have shown that genomic alterations in solid cancers can be characterized by massively parallel sequencing of circulating cell-free tumour DNA released from cancer cells into plasma, representing a non-invasive liquid biopsy5, 6, 7. Here we report sequencing of cancer exomes in serial plasma samples to track genomic evolution of metastatic cancers in response to therapy. Six patients with advanced breast, ovarian and lung cancers were followed over 1–2 years. For each case, exome sequencing was performed on 2–5 plasma samples (19 in total) spanning multiple courses of treatment, at selected time points when the allele fraction of tumour mutations in plasma was high, allowing improved sensitivity. For two cases, synchronous biopsies were also analysed, confirming genome-wide representation of the tumour genome in plasma. Quantification of allele fractions in plasma identified increased representation of mutant alleles in association with emergence of therapy resistance. These included an activating mutation in PIK3CA (phosphatidylinositol-4,5-bisphosphate 3-kinase, catalytic subunit alpha) following treatment with paclitaxel8; a truncating mutation in RB1 (retinoblastoma 1) following treatment with cisplatin9; a truncating mutation in MED1 (mediator complex subunit 1) following treatment with tamoxifen and trastuzumab10, 11, and following subsequent treatment with lapatinib12, 13, a splicing mutation in GAS6 (growth arrest-specific 6) in the same patient; and a resistance-conferring mutation in EGFR (epidermal growth factor receptor; T790M) following treatment with gefitinib14. These results establish proof of principle that exome-wide analysis of circulating tumour DNA could complement current invasive biopsy approaches to identify mutations associated with acquired drug resistance in advanced cancers. Serial analysis of cancer genomes in plasma constitutes a new paradigm for the study of clonal evolution in human cancers.
5症例に19回 liquid biopsyを試み、以下の薬剤で新たな変異遺伝子出現を見つけたとのレポートである。
以下の変異例は、これは症例報告であるから、絶対的なものではないが、抗がん剤治療に対し抵抗性のクローンが出現し始めるのを検出するのにいい指標にはなるかもしれない。Vogelsteinによる liquid biopsy研究では、画像イメージで再発が検出される前少なくとも6ヶ月には liquid biopsyは変化を示しているとのことであった。
- an activating mutation in PIK3CA:paclitaxel8
- a truncating mutation in RB1:cisplatin9
- a truncating mutation in MED1 (mediator complex subunit 1): tamoxifen and trastuzumab10, 11and following subsequent treatment with lapatinib12, 13
- a splicing mutation in GAS6 (growth arrest-specific 6) in the same patient
- a resistance-conferring mutation in EGFR (epidermal growth factor receptor; T790M) : gefitinib14
こんなグラフがいくつも紹介される。この例は乳癌でエピルビシンからパクリタキセルに変えた前後のliquid biopsyプロフィル
Nature(2013)
Non-invasive analysis of acquired resistance to cancer therapy by sequencing of plasma DNA
Muhammed Murtaza, Sarah-Jane Dawson & others, & Nitzan Rosenfeld
Received 05 October 2012
Accepted 11 March 2013
Published online 07 April 2013
Cancers acquire resistance to systemic treatment as a result of clonal evolution and selection1, 2. Repeat biopsies to study genomic evolution as a result of therapy are difficult, invasive and may be confounded by intra-tumour heterogeneity3, 4. Recent studies have shown that genomic alterations in solid cancers can be characterized by massively parallel sequencing of circulating cell-free tumour DNA released from cancer cells into plasma, representing a non-invasive liquid biopsy5, 6, 7. Here we report sequencing of cancer exomes in serial plasma samples to track genomic evolution of metastatic cancers in response to therapy. Six patients with advanced breast, ovarian and lung cancers were followed over 1–2 years. For each case, exome sequencing was performed on 2–5 plasma samples (19 in total) spanning multiple courses of treatment, at selected time points when the allele fraction of tumour mutations in plasma was high, allowing improved sensitivity. For two cases, synchronous biopsies were also analysed, confirming genome-wide representation of the tumour genome in plasma. Quantification of allele fractions in plasma identified increased representation of mutant alleles in association with emergence of therapy resistance. These included an activating mutation in PIK3CA (phosphatidylinositol-4,5-bisphosphate 3-kinase, catalytic subunit alpha) following treatment with paclitaxel8; a truncating mutation in RB1 (retinoblastoma 1) following treatment with cisplatin9; a truncating mutation in MED1 (mediator complex subunit 1) following treatment with tamoxifen and trastuzumab10, 11, and following subsequent treatment with lapatinib12, 13, a splicing mutation in GAS6 (growth arrest-specific 6) in the same patient; and a resistance-conferring mutation in EGFR (epidermal growth factor receptor; T790M) following treatment with gefitinib14. These results establish proof of principle that exome-wide analysis of circulating tumour DNA could complement current invasive biopsy approaches to identify mutations associated with acquired drug resistance in advanced cancers. Serial analysis of cancer genomes in plasma constitutes a new paradigm for the study of clonal evolution in human cancers.
2013年4月4日木曜日
Vogelsteinが提唱するがん関連遺伝子:最後は融合遺伝子25個
25個の融合遺伝子が登場である。肺癌のALKはどこだ?(これはがん遺伝子として登録されているよ)
Gene Fusion* | Gene 1 | Gene 2 | Characteristic tumor type | |
1 | TMPRSS2:ERG | TMPRSS2 | ERG | prostate |
2 | CRTC1:MAML2 | CRTC1 | MAML2 | salivary gland |
3 | PAX8:PPARG | PAX8 | PPARG | thyroid |
4 | SLC45A3:ERG | SLC45A3 | ERG | prostate |
5 | TPM3:NTRK1 | TPM3 | NTRK1 | colon |
6 | TMPRSS2:ETV1 | TMPRSS2 | ETV1 | prostate |
7 | BRD4:C15orf55 | BRD4 | C15orf55 | midline organs**** |
8 | CD74:ROS1 | CD74 | ROS1 | lung |
9 | CRTC3:MAML2 | CRTC3 | MAML2 | salivary gland |
10 | MYB:NFIB | MYB | NFIB | salivary gland |
11 | PRCC:TFE3 | PRCC | TFE3 | kidney |
12 | FGFR1:PLAG1 | FGFR1 | PLAG1 | salivary gland |
13 | TMPRSS2:ETV4 | TMPRSS2 | ETV4 | prostate |
14 | SLC45A3:ELK4 | SLC45A3 | ELK4 | prostate |
15 | HMGA2:WIF1 | HMGA2 | WIF1 | salivary gland |
16 | TPR:NTRK1 | TPR | NTRK1 | thyroid |
17 | PTPRK:RSPO3 | PTPRK | RSPO3 | large intestine |
18 | SLC34A2:ROS1 | SLC34A2 | ROS1 | lung |
19 | CHCHD7:PLAG1 | CHCHD7 | PLAG1 | salivary gland |
20 | LIFR:PLAG1 | LIFR | PLAG1 | salivary gland |
21 | TFE3:ASPSCR1 | TFE3 | ASPSCR1 | kidney |
22 | VTI1A:TCF7L2 | VTI1A | TCF7L2 | large intestine |
23 | NDRG1:ERG | NDRG1 | ERG | prostate |
24 | SDC4:ROS1 | SDC4 | ROS1 | lung |
25 | SFPQ:TFE3 | SFPQ | TFE3 | kidney |
Vogelsteinが提唱するその他のがん関連遺伝子 13遺伝子:Gene Amplification & Homozygous deletion
下の13個はゲノム両アリルが欠失するか、あるいはゲノムコピー数が増幅することで抑制遺伝子になったり、がん遺伝子としての機能が発現するもので、myc, MDM, skp2など有名な遺伝子はこちらにカテゴライズされる。
-->
Gene Symbol | Genetic alteration | Classification | |
1 | CCND1 | Amplification | Oncogene |
2 | CDKN2C | Homozygous deletion | TSG |
3 | IKZF1 | Homozygous deletion | TSG |
4 | LMO1 | Amplification | Oncogene |
5 | MAP2K4 | Homozygous deletion | TSG |
6 | MDM2 | Amplification | Oncogene |
7 | MDM4 | Amplification | Oncogene |
8 | MYC | Amplification | Oncogene |
9 | MYCL1 | Amplification | Oncogene |
10 | MYCN | Amplification | Oncogene |
11 | NCOA3 | Amplification | Oncogene |
12 | NKX2-1 | Amplification | Oncogene |
13 | SKP2 | Amplification | Oncogene |
2013年4月3日水曜日
Vogelsteinが提唱する がん抑制遺伝子71個の表
Gene Symbol | # Mutated Tumor Samples** | Ocogene score* | Tumor Suppressor Gene score* | Classification* | |
1 | ACVR1B | 17 | 0% | 42% | TSG |
2 | APC | 2561 | 2% | 92% | TSG |
3 | ARID1A | 234 | 1% | 83% | TSG |
4 | ARID1B | 17 | 0% | 50% | TSG |
5 | ARID2 | 45 | 0% | 56% | TSG |
6 | ASXL1 | 442 | 5% | 87% | TSG |
7 | ATM | 242 | 24% | 30% | TSG |
8 | ATRX | 50 | 4% | 47% | TSG |
9 | AXIN1 | 117 | 20% | 27% | TSG |
10 | B2M | 30 | 18% | 39% | TSG |
11 | BAP1 | 99 | 8% | 70% | TSG |
12 | BCOR | 21 | 0% | 70% | TSG |
13 | BRCA1 | 62 | 0% | 69% | TSG |
14 | BRCA2 | 67 | 0% | 30% | TSG |
15 | CASP8 | 21 | 0% | 52% | TSG |
16 | CDC73 | 45 | 4% | 78% | TSG |
17 | CDH1 | 200 | 14% | 52% | TSG |
18 | CDKN2A | 968 | 32% | 49% | TSG |
19 | CEBPA | 448 | 30% | 54% | TSG |
20 | CIC | 47 | 12% | 31% | TSG |
21 | CREBBP | 151 | 24% | 34% | TSG |
22 | CYLD | 26 | 0% | 85% | TSG |
23 | DAXX | 28 | 7% | 61% | TSG |
24 | EP300 | 88 | 12% | 32% | TSG |
25 | FAM123B | 55 | 4% | 66% | TSG |
26 | FBXW7 | 312 | 55% | 18% | TSG |
27 | FUBP1 | 9 | 0% | 70% | TSG |
28 | GATA1 | 203 | 8% | 84% | TSG |
29 | GATA3 | 33 | 9% | 66% | TSG |
30 | HNF1A | 126 | 29% | 55% | TSG |
31 | KDM5C | 26 | 0% | 62% | TSG |
32 | KDM6A | 66 | 0% | 72% | TSG |
33 | MAP3K1 | 11 | 0% | 63% | TSG |
34 | MEN1 | 290 | 7% | 68% | TSG |
35 | MLH1 | 61 | 18% | 37% | TSG |
36 | MLL2 | 165 | 1% | 70% | TSG |
37 | MLL3 | 111 | 5% | 44% | TSG |
38 | MSH2 | 37 | 0% | 65% | TSG |
39 | MSH6 | 135 | 3% | 68% | TSG |
40 | NCOR1 | 35 | 11% | 32% | TSG |
41 | NF1 | 362 | 2% | 73% | TSG |
42 | NF2 | 609 | 4% | 89% | TSG |
43 | NOTCH1 | 661 | 44% | 27% | TSG |
44 | NOTCH2 | 51 | 0% | 27% | TSG |
45 | NPM1 | 2471 | 2% | 98% | TSG |
46 | PAX5 | 49 | 42% | 26% | TSG |
47 | PBRM1 | 171 | 0% | 83% | TSG |
48 | PHF6 | 57 | 18% | 61% | TSG |
49 | PIK3R1 | 88 | 14% | 37% | TSG |
50 | PRDM1 | 46 | 0% | 64% | TSG |
51 | PTCH1 | 318 | 7% | 60% | TSG |
52 | PTEN | 1719 | 30% | 55% | TSG |
53 | RB1 | 208 | 4% | 80% | TSG |
54 | RNF43 | 27 | 7% | 43% | TSG |
55 | RUNX1 | 304 | 34% | 41% | TSG |
56 | SETD2 | 47 | 3% | 47% | TSG |
57 | SMAD2 | 16 | 0% | 41% | TSG |
58 | SMAD4 | 207 | 24% | 39% | TSG |
59 | SMARCA4 | 68 | 22% | 22% | TSG |
60 | SMARCB1 | 247 | 16% | 74% | TSG |
61 | SOCS1 | 41 | 15% | 46% | TSG |
62 | SOX9 | 9 | 0% | 70% | TSG |
63 | STAG2 | 21 | 0% | 33% | TSG |
64 | STK11 | 220 | 24% | 52% | TSG |
65 | TET2 | 864 | 14% | 70% | TSG |
66 | TNFAIP3 | 136 | 1% | 80% | TSG |
67 | TRAF7 | 123 | 61% | 9% | TSG |
68 | TP53 | 14438 | 73% | 20% | TSG |
69 | TSC1 | 20 | 0% | 45% | TSG |
70 | VHL | 1287 | 27% | 60% | TSG |
71 | WT1 | 312 | 10% | 79% | TSG |
Vogelsteinが提唱する がん遺伝子54個の表
Gene Symbol | # Mutated Tumor Samples** | Ocogene score* | Tumor Suppressor Gene score* | Classification* | |
1 | ABL1 | 851 | 93% | 0% | Oncogene |
2 | AKT1 | 155 | 93% | 1% | Oncogene |
3 | ALK | 189 | 72% | 1% | Oncogene |
4 | AR | 23 | 54% | 0% | Oncogene |
5 | BCL2 | 45 | 27% | 1% | Oncogene |
6 | BRAF | 24288 | 100% | 0% | Oncogene |
7 | CARD11 | 74 | 30% | 1% | Oncogene |
8 | CBL | 168 | 57% | 9% | Oncogene |
9 | CRLF2 | 10 | 100% | 0% | Oncogene |
10 | CSF1R | 48 | 50% | 15% | Oncogene |
11 | CTNNB1 | 3262 | 92% | 1% | Oncogene |
12 | DNMT1 | 22 | 36% | 5% | Oncogene |
13 | DNMT3A | 788 | 74% | 12% | Oncogene |
14 | EGFR | 10628 | 97% | 0% | Oncogene |
15 | ERBB2 | 164 | 67% | 3% | Oncogene |
16 | EZH2 | 276 | 67% | 12% | Oncogene |
17 | FGFR2 | 121 | 49% | 6% | Oncogene |
18 | FGFR3 | 2948 | 99% | 0% | Oncogene |
19 | FLT3 | 11520 | 98% | 0% | Oncogene |
20 | FOXL2 | 330 | 100% | 0% | Oncogene |
21 | GATA2 | 45 | 53% | 4% | Oncogene |
22 | GNA11 | 110 | 92% | 1% | Oncogene |
23 | GNAQ | 245 | 95% | 1% | Oncogene |
24 | GNAS | 422 | 93% | 2% | Oncogene |
25 | H3F3A | 122 | 93% | 0% | Oncogene |
26 | HIST1H3B | 25 | 60% | 0% | Oncogene |
27 | HRAS | 812 | 96% | 0% | Oncogene |
28 | IDH1 | 4509 | 100% | 0% | Oncogene |
29 | IDH2 | 1029 | 99% | 0% | Oncogene |
30 | JAK1 | 61 | 26% | 18% | Oncogene |
31 | JAK2 | 32692 | 100% | 0% | Oncogene |
32 | JAK3 | 89 | 60% | 6% | Oncogene |
33 | KIT | 4720 | 90% | 0% | Oncogene |
34 | KLF4 | 61 | 80% | 4% | Oncogene |
35 | KRAS | 23261 | 100% | 0% | Oncogene |
36 | MAP2K1 | 13 | 67% | 0% | Oncogene |
37 | MED12 | 337 | 84% | 0% | Oncogene |
38 | MET | 159 | 61% | 4% | Oncogene |
39 | MPL | 531 | 96% | 0% | Oncogene |
40 | MYD88 | 134 | 92% | 1% | Oncogene |
41 | NFE2L2 | 102 | 74% | 1% | Oncogene |
42 | NRAS | 2738 | 99% | 0% | Oncogene |
43 | PDGFRA | 653 | 84% | 1% | Oncogene |
44 | PIK3CA | 4560 | 95% | 1% | Oncogene |
45 | PPP2R1A | 86 | 85% | 2% | Oncogene |
46 | PTPN11 | 410 | 90% | 0% | Oncogene |
47 | RET | 500 | 86% | 1% | Oncogene |
48 | SETBP1 | 95 | 25% | 4% | Oncogene |
49 | SF3B1 | 516 | 91% | 0% | Oncogene |
50 | SMO | 34 | 51% | 3% | Oncogene |
51 | SPOP | 35 | 66% | 3% | Oncogene |
52 | SRSF2 | 273 | 95% | 2% | Oncogene |
53 | TSHR | 301 | 86% | 0% | Oncogene |
54 | U2AF1 | 96 | 92% | 1% | Oncogene |
登録:
投稿 (Atom)