2014年12月31日水曜日

緊急時の気道確保について:何歳になってもできるようにね

気管切開についてまとめてみた。小生が気管切開をすることなどめったにないが、でも年に1〜2回くらいは頼まれる。この頼まれるような状況は、待機的であるから、きちんとやりさえすれば問題は無いし、第一患者さんは靜かである。

問題は緊急時なのだ。緊急の気切を最後にやったのはいつだろう?3年くらい前になるだろうか?緊急気切を日常におこなうような医師はそうたくさんはいないと思う。そんな環境にはいない平凡な温和な医療環境にいる今の私のような医師でも、ある日突然そんな状況に遭遇するからこまるのである。医師というのはいきなり修羅場に遭遇し、その修羅場を乗り越え患者さんの命を救わなければいけないこともあるので、そのためにある程度の収入を保障されている部分があると小生など考えている。

気切というのは現状どうとらえられているのだろうか?ネットでみると気が滅入ってくる。最近の話題は緊急時は気切はダメで輪状甲状靱帯穿刺もしくは輪状甲状靱帯切開にせよということみたいである。訴訟や裁判の世界でいろいろかまびすしいようだ。なおここでは気管切開と輪状甲状靱帯切開を区別している。輪状甲状靱帯は通常気管切開する高さより上方にある。ある年齢より上の医師には馴染みがない場所であるが、小生は日常的に患者の頚部を触診することがある場合はその人の輪状甲状靱帯の位置を確認する癖を付けている。ヒトによって雰囲気が違うしね。

気管切開は緊急で死が差し迫っている状態すなわちCICV(can’t intubate, can’t ventilate)には適応にならないとされる。CICVの時には輪状甲状靱帯穿刺もしくは輪状甲状靱帯切開を行うべきとされる。すなわち輪状甲状靱帯切開を行い気管チューブまたは気管切開用のカニューレを入れるのがベストチョイスのようだ。

ミニトラック、トラヘルパーという小道具もある。








上のミニトラックというのは、時々使うことがあったが、緊急時には下のトラヘルパーのほうが良いことになっている(換気量が違う)。こんな小道具も使えるようになっておいた方がよいが・・・・・・・

でも小生など緊急時であれば輪状甲状靱帯切開をいきなり行い、メスで靱帯に切り込み、ついでペアンを突っ込み横・縦・横に広げカニューレをつっこんだ方が、個人的には「楽」だと思う。メスとペアンとカニューレがあればできるので。

気管切開用のカニューレ(細いヤツ)が病院のどこにあるのか、緊急トレイに確実に積んであることをいつも確認しておこう。

経験者が多く語るように、こんな緊急時には消毒も、止血も、麻酔も、清潔さも不要である。一秒でも早く酸素を脳に届けることだけ考えておけば良い。


誰かが書いているが

「できなくてもやらねばならぬ時もあります。あとは腹をくくって、覚悟を決めるだけです。がんばってください。」

まさにその通りである。 

医師の中には「カッターナイフとペアンはポケットに常備している」と述べている方がいる。そんな環境で医業を続けられていることに敬服するとともに今の自分には無理だと思う。

しかしそんな小生であるが何歳になっても、必要とあれば遅れることなく緊急気道確保だけは一発でできるようにしておきたいと思いまとめてみた次第である。






https://www.youtube.com/watch?v=chBsYiza1ik


https://www.youtube.com/watch?v=_HAPbahHUAA
メスとペアン、気管チューブ。JATECで習う方法と同じ。





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