2022年5月6日金曜日

反復構造(2)セントロメアとペリセントロメアについて

 セントロメア構造であるが、概略は下図である。


その詳細には全く通じていないが、頑張って概説すると中央のαSatがアルフォイド反復配列である。下にrepeat unitとあるがここでは171塩基と表示。これが数Mベース続くのだ。この重層構造は更に解説が必要だ。(後日待たれい!)

次にその周囲をHSatと呼ばれる別の反復配列が取り囲む。この反復単位は42,62塩基〜と表示されている。この中に蛋白を作る遺伝子は埋もれているのであろうか?












クリックで拡大します↑


この図は総説であるが、次いで各染色体に移る。まず一番染色体を見てみよう。

下のシェーマは一番染色体である。具体的な番地が記されているが、最上位にこのセントロメアが一番染色体の端から1億2千350万塩基〜1億3千万塩基の間の拡大として見ていることがわかる。一番ではペリセントロメア・セントロメアの長さが20Mbあることがわかる。一番染色体は全長250Mbであるから8%程度である。αサテライトだけだと4.5Mbであり1.8%ということになる。

皆さん、この数字新鮮ではないでしょうか!僕などはこれだけでも目が覚めるのだ。臨床で核形分析(karyotype)を一回も見たことがない人はいないと思います。白血病や婦人科不妊外来などでは日常茶飯事の検査でしょうし、外科臨床でも時々は見る。その本体がついに、解き明かされたということです。数字が実にリアル。下の方の記述にに染色の縞が出てくるけど、ギムザなどによるこの「縞」がなぜできるか、その本体がなんなのか、ヘテロクロマチンとかユークロマチンの本体はなんなのか、そのような疑問を小生はずーっと思っていたわけです。今回その全てが解決したわけではないだろうが、それでも染色体がずっとリアルなものになっていくのが実感できているわけです。


下図にはD1Z7という表記がαサテライトに振られている。どうやらD1が一番染色体、そしてZ7というのがαサテライトのサブタイプに相当するようだ。そしてその外にHSatが取り囲むが、この一番ではとりわけ長腕側の13.2Mbに及ぶHsat2反復配列領域が巨大である。

上から3列目に注目してください。ここには遺伝子構造が表記されている。IncRNAや転写される偽遺伝子(昔はとんでもなく興奮したが、今では当たり前のように登場する)も多いが、この中には蛋白をコードする遺伝子(赤色)も確かに二個存在する。これ周辺のサテライト構造(HSat2)のど真ん中である。

クリックで拡大します↑

最後に染色体ごとのセントロメア(+ペリセントロメア)構造を比較的大きな(そして単純な)第2〜4染色体で紹介する。メタフェースでDAPI染色すると濃く染まっていたのはHsat1なのだろう。そしてαサテライトはこの3本の間でも随分異なることがわかる。2番や4番は長いのに対し3番はとても短い。

大きな染色体は単純である。このあと出てくる短腕の短い5本の染色体は相当複雑である。また9番も随分複雑である。シークエンスはさぞ大変だっただろうと推察される。






さて今回はこれくらいにさせていただく。

0 件のコメント: