サラゾピリン(SASP)とペンタサ(5-ASA)の比較
サラゾピリンからSPを取り除いたペンタサ(主成分5-ASA)は、副作用が少ないという点から、IBD治療薬としてより発展した薬として注目されています。我が国でも1996年の夏以降から、IBDの治療に5-ASAのみの薬(ペンタサ)が認可され、サラゾピリンに代わって使われるようになって来ています。英国の研究者グループが5-ASAとサラゾピリンの治療効果を比較したところ炎症性腸疾患(IBD)においての臨床効果は、ほとんど変わらないという報告 が出されました。サラゾピリンの一成分である5-ASAが抗炎症効果の中心であり、他の成分(SP)は、5-ASAを腸に運ぶためのキャリアであるとの考 え方が現在主流となっています(サラゾピリンにおける副作用の多くは、SP成分からのものが多く、5-ASA単体では少ないと考えられている)。しかし、その一方で、サラゾピリンからペンタサに移行した患者さんの中で(特に潰瘍性大腸炎)症状が悪化したという例もあり、この事から5-ASAの効果以外にもプラスαの臨床効果が認められるというような報告もされています。最近になって、SASP未変化体自体が血管内皮細胞に作用し、そこで産出されるアデノシンが抗炎症作用を発揮しており、このような作用は5-ASA単体で はみられないとの新しい報告が出されています。この説はサラゾピリン(SASP)とペンタサ(5-ASA)の臨床的効果に、違いのあることの一つの裏付け として考えられています。
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