先週の週末、嘔吐下痢症状の43才の男子が救急外来に救急車で現る。39.8度あり、目の前で吐きまくる。下痢もひどいんですと。ヒゲがぼうぼうで、見かけは最悪。足の裏は真っ黒であり、まともな生活をしているとはとても思えない。詳細は省くが、当日の緊急検査でAST/ALTが1000以上という数字にちょっと引っかかる。訊くと2〜3日前に一晩で二升飲んだという。やけ酒らしい。BSを初めとしてアンモニアくらいまでは測ったが、許容範囲であった。補液に久しぶりにビタミンを混ぜてみました。Wernicke脳症は起こりうる。Wernicke脳症おこされると病棟看護師が大変である。ボクは精神科救急を頼んだ経験がかつてあるしな。
翌日検査結果が緊急ファックスで送られてきた。AST/ALTが7000でありLDHが6000であった。浅学にしてこんな数字を見たことがないので、周りの内科のお医者さんに見せると「ほほー凄いですね」とか「なかなかですね、昨日がピークなんでしょうかね」とか、よくある話のような口ぶりである。
まあいいや。でも劇症肝炎はイヤだなと思い、flapping tremorを見たり、思い出したかのようにPTを調べたりした。 PTは60%に落ちていて、実にいやだったが、本人が「いや〜楽になりました。昨日は本当にきつくて死ぬかと思った」という。臨床症状は嘘をつかないと思うので、ボクはこちらを信用した。エコーで肝を診ると立派に腫れており安心した。腹水の中で、萎んでいく肝を何回もみているからな、これまで。
翌日もAST/ALTが6700でありLDHが5000であった。本当にボクが診ていいのかしらん・・・と思いつつ今日で一週間。すっかり元気になった。今日のAST/ALTは46/250であり退院させようかと思えるところまできた。
こんな数字になるんだねーAST/ALT。
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