大学に入った頃なにを読んでいたか
これはもうきちんと記憶されている。大学に入った年の4月の出来事というのはかなり鮮明に覚えている。いろんな覚悟をしたからな。
本を読もうと決意をした。
とはいえ何を読もうと決めたわけではない。手当たり次第でもない。周りが読んでいる本を何気なく手に取るそんな感じであろうか?最初に買った本は確か梅棹忠夫さんの「サバンナの記録」だったという記憶がある。これは良い本であり、当時確かに人類学やフィールドリサーチなどが全盛期だったことを思い起こさせる本の選択である。地方の一大学生にまでその影響は及んでいたと言うこと。ついで読んだのは辻邦生。ボクが大学に入った年に「背教者ユリアヌス」が中公文庫化されたのだった。これは浪人していることから「大学に入ったら読むぞ!」と楽しみにしていた本である。大学への数学という月刊誌の読者投稿欄にある灘髙生がその年のベストに挙げていた小説であり、紹介されていた中身も面白そうだった。ボクは世界史を選択していたしな。この「背教者ユリアヌス」は面白かった。親友のIともども私たちが辻フリークになったきっかけの小説であった。その後辻邦夫は次々に小説を発表していく。春の戴冠や仏革命のフーシュの物語などなど。
そのころ入学祝いでもらったお金で岩波の漱石全集を買った。それまで漱石は坊っちゃんやこころは読んでいたが、この全集で残りの半分くらいの作品を読んだように思う。三部作や道草などね。それでも40代になって初めて「夢十夜」を発見し感激したり、漱石の漢詩に目覚めたりすることもあり、やはり20台では気づけない世界があるのだね。数は多くないが三島由紀夫も10冊近く読んだ。好きだったな、当時は。美徳のよろめき等々。
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