バーマスは正直であり、この10年の成果はほとんど臨床に寄与するところ無かったと述べている。臨床に還元できる成果が出るのには数十年かかるだろうとの感想である。
コリンズの論考は1人の乳癌患者を仮想するところから始まりなかなか苦労しているが、どうだろう? それはそれとして、面白い10年だったと小生は思う。現に2010年も興味深いレポートは数多く出ている。小生の概観は「癌化に関連する遺伝子は予想されていた以上に多く、また臓器や個人に応じてその組み合わせは多彩である。それゆえ一つ一つの寄与率はそれほど高くない」というものである。
後半の寄与率が高くないというのは私の予想である。これから実証されていくべきことであろう。小生の予想が正しくなく、「やはりp53やrasのようにmajor playerがいるのだ。」ということが再度確認されればそれはそれでいいのだが、どうだろう最近どうも疑わしくてならん。
いずれにしてもこれからですよ・・・なのだろうが、ゲノムの実相は当初予想していたよりもはるかに複雑だというのが実感である。
W. G. Feero, A. E. Guttmacher, and F. S. Collins
Ten Years On — The Human Genome and Medicine
H. Varmus
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