2010年5月2日日曜日

基底細胞様乳癌なるものへのねじれたオマージュ

以下(昨日引用した2008年論文)のような論文が「基底細胞様乳癌」というものが「組織学的」にも存在するような誤解を誘導してきた元凶である。

世の中「かもしれない」ですまされることと、済ま してはいけないことがある。また「そうはいってもマイクロアレイはお金がかかるし、煩雑だし、現実的でないし、『臨床的ではない』から、それに替わる『誰でも出来る』方法を考案しなくてね・・・」という意見は一見正論に見える。

なるほど下の論文(5月1日分)もそ の論調である。研究して報 告した当人はそれでよいが、読んで応用する医者は余程注意深くならなければならない。免疫染色で代替することは時期尚早だと判断できる理性が求められる。まだまだ未熟なデータなのだよ。




何度も言うが「basal cell like」という概念は
分子病理研究者が、100年続 いた組織病理を凌駕するものとして初めて手に入れた至宝のような研究成果なのである。頼むから免疫染色などの安易な手垢にみちた手法で泥を塗らないで欲し いのだ。

やるべき事はオランダのグループを更に上回る方法として、

  1. 日本独自で、プロスペクティブに、5000例から10000例規模でマイクロアレイ解析 を行うこと・・・・これ第一グループ。
  2. 同じ症例の免疫染色をトリプルあるいはファイブマーカーで別の独立したグループが解析すること・・・これ第二グルー プ。
  3. 結果を独立した第三グループが比較する。
  4. そしてこれが大事なことであるが、結果を10年寝かせる。そうすると99%フォローアップ可能なカプラン・マ イヤーが描ける。ここで初めて真実がわかるのである。アジュバントはきちんと層別化しておくとよい。再発後もきちんと層別化できるとよいが、それはそれと して・・・。

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