入院中の骨盤骨折の患者殿(例のマルゲーヌ骨折とは別人)、手が痛いというので色々調べるがなかなかわからず、手根部のCTを撮ったところ、ようやく豆状骨骨折であることが判明した。受傷時(転落事故である)一緒に骨折していたのだね。最近ではレンドゲン技師殿がやる気満々で3D再構成画像を作ってくれるので小生のように非専門医でも一発で診断ができる。とはいえCTまで撮るのだからただ事ではない。例によって変位はほとんどない。すでに痛みはかなり引いている。整形外科の診察をお願いしたところ、骨盤骨折が良くなったら一度手の専門整形外科の診察を受けることになった。困ったことに松葉杖の荷重が一手にかかるのが当該手関節なのである。当該骨盤への荷重がようやく全荷重(体重分すべて片側の関節にかけても良い状態—ヒトは歩行する際の一歩一歩で右左にそれぞれ全荷重をかけている)許可が出たばかりであり、歩行訓練が軌道に乗ってきた矢先なのに手が使えないのは困る。困ったなあ。あちらが立てばこちらが立たない。手が大事か、歩行が大事か。
豆状骨骨折は手根骨骨折の中では比較的まれな骨折である。 豆状骨骨折の占める割合は 手根骨骨折の1%以下ではないかといわれているそうだ。
ネット上にも参考ページは少ない。北里整形の86年の論文の概要を下にまとめた。今の時代も余り変わらないようだ。
豆状骨骨折の3例
小林明正, 二見俊郎, 糸満盛憲, 南澤育雄, 小澤隆, 山本真
北里大学医学部整形外科
骨折, 8 : 206-209, 1986.
外固定期間は単独骨折例では4~6週間行えば充分である。豆状骨は種子骨の役目を果たしていることを考えると,保存療法後もなお長期にわたり疹痛が持続する場合には,豆状骨の摘出を行う方が良い。 豆状骨骨折の予後は通常良好であるが,関節面にまで骨折線がおよぶ例の中には,将来豆状・三角骨関節に変形性関節症の変化を生ずる例もあることから,長期にわたる経過観察が必要と思われる。
とのことである。
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