「シャガール──ロシア・アヴァンギャルドとの出会い」展
昨日は本当に天気が良く気持ちの良い日曜日であった。かみさんがどこかに行こうよというのでバスにのり公園を散歩し美術館に行った。こんな日が一年中続いたらこの街もどんなにいいだろうと思ったことだ。
さて美術館ではシャガール展をやっていた。あまり期待せずに入ったが、それでもシャガールだから悪くはないはずだとは思った。良い意味で裏切られた。こんなに実物が良いのかと驚いた次第である。
ポスターや写真画像と実物に差のある画描きというのがあって、なかなか写真では良さがわからない人がいる。小生にとって代表的なのはポロックである。写真で見る限りこの抽象画家の絵は全く訴えるものがない。ところがNYCの近代美術館で初めて目の当たりにした本物はすばらしい質感で迫ってくるのだった。逆に色味のきれいなクレーやシャガールは実物でなくても写真で十分堪能できる絵描きである。その証拠にこれでもかというくらいにポスターやカレンダーの絵柄になっているではないか。
そのシャガールである。ほとんどの絵は画集と同様に素晴らしかった。いくつかの絵は画集より数段素晴らしかった。そして2枚の絵には涙が出るほど感激してしまった。立ちすくんでしまった。一枚は「赤い馬」であり今一枚が「家族の顕現」という絵である。
特に「家族の顕現」の「赤」—これが基調色—は、これまで見たどんな画家の赤よりも素晴らしい色合いであった。
シャガールといえば青というのが私のイメージなのだが、違っていた。赤こそ素晴らしい。家族—すでに亡き家族も含めて—が自分の周りに現前するのを柔らかくも鮮鋭な赤みが空から包み込む絵柄とでもいえば良いのか。この展覧会では室温や照明をポンピドーセンターと同様に設定してあるとのことだ。どうか絵の前やや左側から絵を眺めて欲しい。右からのぞき込むより数段素晴らしい色合いを眼にすることだろう。
(ネット上のこの引用した絵を見て、「なんだそれ、つまらん」と言わないでほしい。本物はどきどきするぜ、きっと)
今年見た展覧会ではピカイチだと思うな。併設の(アバンギャルドであるから何人もの画描きが来ていた)カンディンスキーも良かった。
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