エコーをしてみたが、どの方向からみてもキレイに被包化された「脂肪腫」であった。ところが二個だけではないのだった。 上肢ー体幹だけで15個も脂肪腫があるのだった。まいったな。本人が気がついていないだけだ。で、どうしよう?
もともと営業マンで車のシートベルトが当たりこれが痛いので来院したという。なるほど。
で、速攻外来で切除した。痛みのある2個だけ。
この病理だけど、実は前回の病理は「血管脂肪腫」だったのだ。だいたい 血管脂肪腫を別扱いにする意味があるのであろうか? 調べてみた。
「外科病理学」(文光堂:向井清 他)によると「血管脂肪腫は一般の脂肪腫とことなるいくつかの特徴があるので区別して取り扱う方が良い」と記述がある。
- 一般に脂肪腫より小さく、普通1~2cmである。
- しばしば2個〜数個が集族してみつかる
- 思春期後に発症
- 上肢と胸腹壁に発症
- 鈍痛がある
鈍痛・自発痛のある小腫瘤が皮下に多発している場合「血管脂肪腫」である可能性はかなり高いと考えられる。
皮下に多発性腫瘤を認める場合(軟部腫瘍診断ガイドライン)
- 多発性血管脂肪腫
- 多発性脂肪腫
- 神経線維腫症 I 型(von Recklinghausen病)
- 多発性神経鞘腫
- 多発性血管腫
- 皮下平滑筋腫
- 弾性線維腫(肩甲部にしばしば両側性)
- 線維腫症
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