一昨年であったか偶然気がついた安住紳一郎のエッセイ(書き起こし)が面白かったので、ネットから消えてしまうのも面白くないんで、当ブログにもコピーしてしまう。
オリジナルは「miyearnZZ Labo」というところに保存されていますがコピーご寛恕の程を・・・。
安住紳一郎 切手収集を熱く語る
安住紳一郎さんが2011年6月にTBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』で話したトークの書き起こし。小学生の頃、切手収集をしていた安住さんが切手について熱く語っていました。
(安住紳一郎)さて、話はまったく変わりますけども。みなさんは切手を集めたことはありますか?私は小学生の頃に集めたことがあるんですけども。中澤さんはありますか?
(中澤有美子)ないです。
(安住紳一郎)ないですか。昭和30年から50年代くらいにかけて、切手大ブームになりましたので、ラジオを聞いてらっしゃる方で、60才代、50才代くらいのみなさんは経験があるという方が多いかもしれませんが。また私は、その世代よりも下。ベビーブームの世代なんですけれども。ちょうど、切手集めをしている大人たちが周りにいて、その影響を受けた、ちょっとおこぼれ世代ということがありまして。
(中澤有美子)うんうん。
(安住紳一郎)私たちの世代ですと、クラスに4・5人くらいいたかな?という。あまり声高には叫べないけども、切手を集めている人っていうのがクラスに何人かいて。見つけてはちょっと話をするという。そういうような世代なんですけれども。そして、私はその切手収集をしたことのある小学生だったんですけども。ちょうど私の母の妹。スミコおばさまですね。今回登場するのは。
(中澤有美子)ええ、ええ(笑)。
(安住紳一郎)お正月の流行語の挨拶でお馴染みなのは、あれはノブコおばさまなんですけども。母が4人姉妹なものですから、上から、タカコ、ノブコ、スミコ、カズコっているんですけども。今日はその3女ですね。スミコおばさまなんですけども。スミコおばさまが、税理士事務所のOLをしていた時期が非常に長くて。かならず月金で近くにあります郵便局にお使いに行くので、記念切手はかならず手に入れてくるという。
(中澤有美子)へー!
(安住紳一郎)私の身近にいた凄腕コレクターなんですけども。それで小学生の頃、スミコおばさんの切手コレクションを見せてもらうのがすごく楽しみで。また、遊びに行くとかならずアルバムを見せてもらって。赤い表紙とか、紺色の表紙なんですけども。中が黒くて。フィルムが8段くらい貼ってあって、そこに1枚ずつ入れていくというような、切手専用アルバムなんですが。そのうち、重複しているのをスミコおばさんが私に1枚、2枚とくれるようになり、結果図々しくも、相当の量をもらうという。
(中澤有美子)ええ。
(安住紳一郎)甥っ子の立場なんですけども。最後はお年玉の代わりに、前の年に発行された記念切手をスミコおばさんが郵便局で買っておいてくれて。それをお正月にまとめて受け取るという、大変便利なシステムを構築するに至り、私のコレクションの黄金期を迎えるということになるんですけども。
(中澤有美子)ええ。
(安住紳一郎)本当はね、発行日に郵便局に行って並んで、買った、または買い漏らしたというのがコレクションの醍醐味だったりするんですけども。それでも、1年に1度、まとめて渡されてそれを整理するだけでも相当の興奮があって。これはね、切手収集をしたことがある人とない人では全くたぶん思い入れ違うと思うんですけど。
(中澤有美子)へー。
(安住紳一郎)本当にあの、娯楽のなかったど田舎で育った小学生なので、記念切手の世界というのはとても眩しく映って。うん。いまでも、昭和50年代、60年代くらいの記念切手は、ひと目見ただけでなんの記念切手か、確実にわかります。
(中澤有美子)ええっ!?
(安住紳一郎)これは本当にやっぱり、三つ子の魂百までとは恐ろしいもので。本当にいまでもわかりますね。また、タイトルを言われただけでも、なんとなくデザインが思い浮かぶ。ええ。これね、なかなかすごいですね。国際児童年っていうと、『ああ、シートでも出てたね』みたいな。
(中澤有美子)へー!
(安住紳一郎)『ああ、あのオレンジ色と橙色。男の子がヘルメットをかぶって、右左ね』みたいな。ええ。結構すごいですね。『北新幹線開通、上越新幹線開通とかもすぐパパパッとわかる。都市対抗50年記念とか。ああ、あれね!みたいな。
(中澤有美子)ええーっ!?もうその頃、もらったものをじっくりじっくり見たから・・・
(安住紳一郎)もう日がな一日切手を眺めまくって。いろいろ並べ替えたり。シリーズごとに並べたり、発行年ごとに並べたり。ピンセットでつまんだり。しかも、救急箱のピンセットでつまんだので切手がヘコんだり、みたいな(笑)。
(中澤有美子)(爆笑)
(安住紳一郎)あれ、あの切手専用のピンセットじゃないとダメなの。
(中澤有美子)あ、そうなんですね!
(安住紳一郎)でも雰囲気出したくて、救急箱からピンセットを持ってくると、紙がヘコんじゃうの。
(中澤有美子)(笑)。えっ、それにショックを受けたり?
(安住紳一郎)ショックを受けたりね。あとこう、ラップで巻いたり。また、ほどいたり。そしてまた、巻いたり、みたいな。
(中澤有美子)へー!
(安住紳一郎)もう自然保護動物シリーズとか近代洋風建築シリーズとか。日本の歌、昔話3枚ものシリーズとかね。もう、次から次へと切手の思い出、出てくるんですよ。みなさんも集めたことある方は、『ああ、あれね!あれね!』って。
(中澤有美子)そうなんですね!
(安住紳一郎)ラジオ体操50年とかね。もうね、代表的ですよ。
(中澤有美子)へー!ひとつも、よくわからない(笑)。
(安住紳一郎)わからない?上野動物園開園100年4枚シリーズとか、わからないですか?
(中澤有美子)わからないですねー。
(安住紳一郎)ああ、そうですか。
(中澤有美子)そうなんだ。なんか、すごく残念な気がします。
記念切手大暴落
(安住紳一郎)ところがですね、ところが。いまから8年くらい前ですか?私は3年くらい前に知ったんですけども。ラジオをお聞きのみなさん、知ってますか?これ、知ってらっしゃる方、多いと思うんですけども。このいま、記念切手が大暴落してるんですよ。記念切手大暴落!(中澤有美子)切手って、値段が下がるんですか?
(安住紳一郎)下がらないと思うでしょ?普通、下がらないと思うよね。
(中澤有美子)そうですよ。お金と交換できる。等しく交換できるものというイメージがありますね。
(安住紳一郎)そうですよね。たとえば、昭和50年に発行された50円の記念切手。だいたい昔は発売された翌年にこの切手を手に入れようとしたら、だいたい売値は2倍の値段になっているっていうのが相場だったんですよ。
(中澤有美子)おお、2倍ですか!
(安住紳一郎)あの、切手ショップとかに行くとね。100円になってるんですよ。で、まあだいたいそういうものなんですよ。買いそびれると。2倍のお金が必要っていうのが収集家にとっては。
(中澤有美子)プレミアがつくイメージ、あります。
(安住紳一郎)そして10年たち、20年たち、30年たち、プレミアがつき、さらに価値が上がるという。それが記念切手のイメージですよね?普通。
(中澤有美子)はい。そうです。
(安住紳一郎)それで、そういうことを見越して、投資目的でシート買い。10枚シートとか5枚シートになっているシートで買っている大人たちもいて。それはもう本当に切手収集家からすると、とても羨望の眼差しで見られていた人たちなんですけども。
(中澤有美子)はい。
(安住紳一郎)ところがいまですね、昭和30年以降の記念切手。まあ、ほとんどの記念切手が昭和30年以降なんですけども。昭和30年以降の記念切手、いくらで売られているか?みなさん、ご存知ですか?衝撃を受けますよ。額面、割ってるんですよ!
(中澤有美子)うーん・・・あっ、郵便局ではもちろん、もう売ってないですよね?
(安住紳一郎)郵便局では売ってないですね。いわゆる切手ショップ。スタンプショップに行って買うと額面を割ってるんですよ。いわゆるその50円切手は45円とかで売ってるんですよ。で、まあ郵便局に持って行くとそれは50円で使えますから、まあ割安だということにはなりますけども。
(中澤有美子)ええ。
(安住紳一郎)でも、普通切手じゃなくて記念切手が額面割ってるんですよ。私たちはすごく羨望の眼差しで。私はこれ、コレクションできなかったんですけども。東京オリンピック寄附金付き記念切手16種かな?っていう、正方形の白地にアースカラーで彩られた、様々な競技種目が真ん中に書かれた5+5というね。5円の寄附金がついている5円切手があるんですけども。
(中澤有美子)ええ、ええ。
(安住紳一郎)これが、3円とか4円で売られてるんですよ。もう!これ、切手収集家ならもう!いま、身悶えしてますよ。
(中澤有美子)(笑)。なんと!
(安住紳一郎)なんと!ああーっ!という感じですよ。
(中澤有美子)へー。10円で売ってたわけでしょ?
(安住紳一郎)いやいや、もうあれは200円とか300円クラスですよ。もう大変。で、売るのでさえ、額面割れてるんだから、コレクターが切手商に買い取ってもらう時などは、たぶん額面の割れ方、酷いことになってると思いますよ。たぶん1枚とか2枚だったら買ってもらえないと思いますね。
(中澤有美子)あ、なるほど。
(安住紳一郎)よほど大口でない限り、買い取ってももらえないくらい。記念切手は、いま。
(中澤有美子)おおー!
(安住紳一郎)もうね、目を覆わんばかりの惨状。
(中澤有美子)本当に覆ってますね(笑)。頭抱えて(笑)。
(安住紳一郎)これね、本当。私たちが小さい頃、宝物のようにみんなで見せびらかしあったものだから。もう『額面割ってる!ええーっ!?』っていう。これ、だいたい8年ぐらい前に起き始めた現象らしいんですが。私、ちょっと遅れまして3年くらい前に気づいたもので。もうその時や、もうその衝撃たるや・・・でも、なかなかその気分を共有してくれる人がいないから、その気分を共有してくれる人を探すまで半年かかりましたもん。
(中澤有美子)そう・・・でしょうね。説明もね、長くかかりますもんね。
(安住紳一郎)長くかかるしね。ええ。更にですよ、額面割れはしてないものの、切手を集めたことがある人ならかならず知っているであろう記念切手。これはもう、踏み絵的な記念切手ですけども。日本の記念切手というえばこれ!なにかご存知ですか?もっとも価値が高いと言われていた記念切手ですね。
(中澤有美子)えー?
(安住紳一郎)切手趣味週間。昭和23年。1948年発売。5円切手ですけども。
(中澤有美子)あ、すいません。ギブアップです。
(安住紳一郎)知らない?ああー・・・
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)日本の代表的な記念切手といえば、かならずこれですよ。ドラマにもなりますし、殺人事件のテーマにもなりますし。
(中澤有美子)えっ?殺・・・そうなんですか?
(安住紳一郎)知らない。○○美人。
(中澤有美子)あっ、見返り美人?
(安住紳一郎)見返り美人ですよ!菱川師宣作。
(中澤有美子)あ、そんな・・・えっ、なに?
(安住紳一郎)菱川師宣じゃなかった?違ったかしら?
(中澤有美子)そうだ。菱川・・・いますね。はい。そういう浮世絵画家。はい。
(安住紳一郎)見返り美人、知らない?
(中澤有美子)あっ、わかると思います。絵はわかると思います。
(安住紳一郎)見返り美人の切手趣味週間を知らない?
(中澤有美子)そういうウィークは知りません(笑)。すいません。
(安住紳一郎)この見返り美人っていうのは、持っているか持ってないかで、もうウルトラマンのキン消しのドドンゴを持っているか持っていないかぐらいなステータス。
(中澤有美子)ふーん・・・
(安住紳一郎)まあ、わからないと思うけれども。これを持っているか持っていないかで、ぜんぜん違うの!切手収集家のステータスが!
(中澤有美子)すいません(笑)。そうなのかー。なんかこう、皇太子さまご成婚とか。そういうのも・・・
(安住紳一郎)あ、皇室シリーズもね、すごく人気がありますけれども。見返り美人。
(中澤有美子)見返り美人、そんなキーワードなんですね。もう忘れません。
(安住紳一郎)で、私が小学生の頃はたしかこれ、1枚12万円とか。
(中澤有美子)ええーっ!?(大声)
(安住紳一郎)いちばん高い時は20万円くらいまでいったんですよ。
(中澤有美子)すごーい!(笑)。
(安住紳一郎)いや、それぐらい高嶺の花だったんですよ。本当に。っていうかね、それで驚いている中澤さんを私は信じられない。
(中澤有美子)すいません(笑)。
(安住紳一郎)いや、見返り美人っていうと本当に、小さな美術品だったんですよ。すごかったんですよ。で、未使用の5連のシートがあるんだけれども。この未使用の5連シートが持っているコレクターがいて、展示会があるっていったら私、公民館まで自転車飛ばして見に行ったんですよ。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)それぐらい、切手収集家にとってはすごい、高嶺の花中の高嶺の花。もう海外のコレクターでも日本の記念切手っつったら見返り美人が出てくるから。
(中澤有美子)おお、そうですかー。
(安住紳一郎)あと、月に雁とかね。ありますけども。この、見返り美人。いいですか?ラジオを聞いてらっしゃる元切手収集家少年少女たちよ!見返り美人、あの見返り美人よ?いま、いくらで売られてると思う?びっくりするよ!俺が知っている見返り美人っていうのは12万円とか15万円の印象なのよ。
(中澤有美子)ええ。
(安住紳一郎)昨日、夜中インターネットで叩いてみたら、びっくりした!あの見返り美人が4500円だよ!バカか!?っていうんだよ。
(中澤有美子)高いですね、まだ。
(安住紳一郎)いやいやいやいやいや・・・!いやいやいやいやいや・・・!超格安だよ!
(中澤有美子)あ、そうですか(笑)。いや、原価割れ、原価割れっていうから(笑)。
(安住紳一郎)いや、さすがに見返り美人は原価割れしちゃいかん。
(中澤有美子)あ、そうですか(笑)。へー!
(安住紳一郎)4500円だよ。これはね、切手収集を知らない人はどれくらいか?っていうと、たぶん港区のマンション。新築マンション2LDKが1500万円くらいで売られている印象だね。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)安い!びっくりすると思う。ええ。魚肉ソーセージが3円で売られてるイメージ。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)安い!これは安い!それぐらいの印象ですよ。
(中澤有美子)安い(笑)。
(安住紳一郎)なんでこんなに価値が暴落したか?いろいろ言われてるんですけども。いちばんは記念切手を発行しすぎたというね。旧郵政省の間違った・・・
(中澤有美子)発行しすぎちゃったんだー。でも、手に入らなかったから。ねえ。
(安住紳一郎)あの、昭和30年以前くらいは記念切手っていうと1年に1枚とか3枚とか4枚の時期がずーっと続いてたんですけども。昭和30年以降ですね、コレクターが増えたのと同時に、切手の発行枚数がどんどんと増えまして。最近では、ふるさと記念切手とか、いろいろなコラボレーション企画みたいな。もうコレクターがついて行けなくなったので、ちょっと切手収集の熱が冷めてしまったということがあるんですけど。
(中澤有美子)あ、そうなんだ。
(安住紳一郎)でも、額面通りの値段はしばらく維持していたんですね。当然、いまでも使えますから。額面を割れるっていうことはちょっとね、ずいぶんと虐げられている存在になってきてますよね。
(中澤有美子)そうですよね。
(安住紳一郎)これ、実は追い打ちをかけましたのは2007年の郵政民営化の時に、大口別納郵便という業者の人がダイレクトメールで大量に郵便料金を支払う時に、これまでは切手で。2007年までは切手で支払うことができたので、そのダイレクトメール業者などが切手をそこで使ってたっていう経緯があって、額面割れをそこで阻止していたというか。まあ、額面通りに使う人たちがいるので、その人たち向けにというか。その需要があるので額面をキープしてたんですけども。
(中澤有美子)はい。
(安住紳一郎)実はその郵政の民営化の時に郵政サービスが一新されて、大口の別納郵便の場合には切手での支払いがダメ担ったんですよね。それで結局、業者も使わなくなったので、切手商の店先からピクリとも切手が動かない状態になって。それで、毎年毎年、値がどんどんどんどん下がっていくという状況にね、陥って。そしていま、この時間にも切手の値段は下がっているんですよ!
(中澤有美子)なんか、すごい(笑)。焦る・・・そうですか(笑)。
(安住紳一郎)で、この気分を共有してくれる方、いらっしゃると思うんですけども。かつてね、自分が宝物のようにピンセットで扱い、そして傷をつけね。指紋がつかないようにラップで巻いて、そして、ほどき、また巻き、そして指紋がつき。友達に見せびらかしていたものがいまや古雑誌のように店先に積まれ、二束三文で売られている。本っ当に切手収集を経験したことのある人なら、この光景は耐えられない!
(中澤有美子)そうなんですねー(笑)。
(安住紳一郎)そして、ちょっと難しい話になりますが。この事態は切手収集家の悲しみだけでは終わらないんですよ。過去に郵便局が発行した記念切手。ものすごい量があるんですよ。特に昭和40年以降。この切手、どのくらいが使われずに世の中に残っているのか、みなさんご存知ですか?まあ、コレクターの方が必死になって集めて、大事に大事にコレクション。まあ実際にハガキ、封書に貼って使うことはなかったケースが多いんですけども。郵便局が発行した記念切手、どのくらいが未使用の状態のまま世の中に残っているのか、ご存知ですか?
(中澤有美子)ええー?
(安住紳一郎)実はこれ、誰もわからない。
(中澤有美子)そうか。そうですねー。
(安住紳一郎)でも、相当残っていることは想像がつくんですよ。一説には、私の調べではないので、聞いた話だけですけども。一兆円超えてるんじゃないか?って言われるぐらいの額が未使用のまま出回ってるんですよ。
(中澤有美子)国家予算規模ですね。
(安住紳一郎)うん。それはどういうことか?というと、これは日本郵政の負債なんだよね。で、バランスシートには載ってない、簿外負債なんだよね。まあスミコおばさまがね、税理士事務所に勤めていたので今日はこういう話になりますが。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)これは、日本郵政が収集家に借りている借金だよね。だって、先に現金払って切手買って、収集家は切手を家に置いて使ってないんだから。でも、帳簿には載せてないわけだ。負債として載せなきゃいけないんだよね。まあ後日、そのサービスを提供しなくちゃいけないから。
(中澤有美子)そうですよね。
(安住紳一郎)私、ちゃんとその日本郵政になんの恨みもないし、むしろ郵便局の人は大好きですけども。意地悪なことを言いますと、みんな明日から示し合わせて、郵便局から切手を買わずに、利用者が全員家にある昔の記念切手、あるいはスタンプショップに行って額面割れしている切手を買って、ハガキ、封書、小包出せば、郵便局の現金収入は明日からゼロになっちゃうわけだ。
(中澤有美子)そうですね!
(安住紳一郎)で、郵便局は現金収入がゼロになるし。しかも、出回ってる未使用の切手を使うと、たぶん数年続けられるぐらい切手は出番を待っているわけだよね。これは民営化とかでいろいろ黒字、累積黒字どうのこうのとか言ってたけど、そんなのは簡単に吹っ飛ぶ話なんだよね。
(中澤有美子)へー。
(安住紳一郎)話半分としても、これはたぶん近々結構大きな問題になってくると思うけれども。マニアの怒りを甘く見るなよ!ということだね。さて、話は元に戻りますけども。
(中澤有美子)そうそうそう。額面割れしてても、切手を貼って使うという意味では同じ50円なら50円で使えるわけですからね。
(安住紳一郎)むしろ、ですから利用者としては郵便料金を安く済ませる方法が1つできたと考えてもいいんだよね。
(中澤有美子)本当、そうですよね。
(安住紳一郎)私はこれを3年前、千葉のスタンプショップで、切手が好きなのでちょっと久しぶりにのぞいてみようかなと思っていたら、額面割れしていて。もう足元から崩れ去ったんだけども。私が少年時代だった時に高嶺の花だったスター切手ね。これが額面割れしている。で、ショックだったんだけど。
(中澤有美子)うん。
(安住紳一郎)すぐ私は立ち直って、買い漁ってしまいました。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)あはははは!なんつって。すげーじゃん!なんつって。
(中澤有美子)(爆笑)
(安住紳一郎)『オリンピックの記念切手、えっ?これ、4円でいいんですか?』なんて言って。買い漁ったよ。慌てて。
(中澤有美子)大人買い、しましたか(笑)。
(安住紳一郎)うん。もう、あれもこれも、これもそれも。これも、あれも、それもだ!
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)だってさ、かつては買えなかったものがさ、信じられない値段で売ってるんだもん!
(中澤有美子)そうですね(笑)。
(安住紳一郎)そして、実際にハガキに貼ってみた。15円切手を2枚、20円切手を1枚。国際児童年とか札幌オリンピックのボブスレーとかね。フィギュアスケートとか。かつては貼れなかったものを貼ってみた。
(中澤有美子)使ってみた。
(安住紳一郎)そしたら、かつてはコレクションをしていた時は許されなかった行為でしょ?
(中澤有美子)そうよね。
(安住紳一郎)だって、ものすごく贅沢だったから。貼れなかったんだもん。手に入らなかったんだから。それをもう、ビタビタビタビタ貼れるわけだ!
(中澤有美子)(爆笑)
(安住紳一郎)いくらでも貼れるんだよ!もう蛇口からオレンジジュース出してるみたいな感覚だよね。ものすごい興奮。もう、脳内からドーパミンがドバドバ出てるんですよ。でもやっぱりね、こうね、改めてその年代物の切手の持つ品?美しさ。ちょっとそのインクの乗り方とかね。ちょっとデザインの古さとか。それがなんか雑貨のようなかわいさがあるんだね。
(中澤有美子)うーん、そうか。そうですね。
(安住紳一郎)そうしてこう、切手を扱う時の興奮。あのね、目打ちしたところがピリピリっとね。そしてこう、水につけるもよし、唾液をつけるもよし。なんかこうちょっとね、カミソリを扱っているような感じのちょっとその、人間的な、道具を使う喜びっていうのかな?そういうのがあるんですね。
(中澤有美子)そうですね。アナログな感じね。はい。
(安住紳一郎)記念切手、たしかに受難の時代ではあるけれども、収集家の末席を汚した過去を持つ私にいまできること。そう、いまこそ記念切手をドバドバ使うことだ!と、私は結論づけました。
(中澤有美子)そうかもしれませんね。
(安住紳一郎)そして、ここまで聞いてお気づきの方、いらっしゃるかもしれませんけども。ちょうど、私たち、手前どもの番組は3年前から番組でメッセージを紹介した人に、特製の絵葉書で返礼をするという取り組みを始めましたね。いまをときめく、人気の作家先生に季節替わりで描いてもらったイラスト作品が、大変好評を、手前味噌ながらいただいているわけでありますが。当然、絵葉書なので、それをみなさまに送るためには50円切手を貼る必要があるわけですね。
(中澤有美子)はい。
(安住紳一郎)最初は、コンビニエンスストア、あるいは赤坂郵便局で買いました50円普通切手を貼っていたんですけども。あのね、ちょっと白の色で鳥の絵が描いてあって。最近はちょっと切手熱が冷めてるんで、それが何の鳥かはわからないんですけども(笑)。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)カイツブリかなんか、よくわかんないですけども。まあ、あるんですけどね。それを貼っていたんですけども。待て待て待て待て!と。ここで、原価割れしているスター切手の登場じゃないか!ということで、私が千葉のスタンプショップ。またちょっとね、千葉のはずれの方にありまして。
(中澤有美子)らしいですね(笑)。
(安住紳一郎)そこに2回ほど通いまして、買い付けて来た額面割れした受難のスター切手をドバドバ貼ることにいたしました。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)そしてあの、切手好きの習わしとして、ハガキの内容、伝えたい思いを文章ではなく、切手のデザインなどに思いを込めるというのが郵趣家、フィラテリーマニアのいちばんの上級なたしなみと言われてますよね。
(中澤有美子)なにマニアですか?
(安住紳一郎)フィラテリーって、郵趣っていう。フィラテリーっていうんですよ。世界でいちばん高貴だと言われてるんですよ。キングオブホビーとも、ホビーオブキングとも言いますけども。はい。趣味の中の王様。王家の趣味って言われる。イギリス王室が実は切手の収集では飛び抜けたコレクターなんですよ。ちなみにロシアのテニス選手シャラポワもね、切手の収集家として有名ですけども。
(中澤有美子)そうなんだ、はい。
(安住紳一郎)このフィラテリーマニアの嗜みといたしましては、ハガキの内容や伝えたい思いを文章ではなく、切手のデザインなどに思いを込めるというのがですね、これはもう、最上級の嗜みなんですよ。みなさんも経験あると思うんですよ。結婚式の案内状などにハート型の切手がついてたりするとね、ちょっと雰囲気盛り上がるでしょ?
(中澤有美子)そうですね。ええ。
(安住紳一郎)で、『熊本に行ってきたんですよ』なんて絵葉書を熊本から出す時、熊本城の切手が貼ってあるとね、『あら?ずいぶん時間かけたのね』っていうことになるわけでしょ?
(中澤有美子)そうですね。やるな!っていう。はい。
(安住紳一郎)それで私たちも、みなさんからのメッセージに沿う形で、スター切手を選んで貼るという作業を実はしているんです。ところがです!もう始めて3年たつんですよ?1日15通くらい出しているんで、1ヶ月で60、1年で720ですよ。もう3年近くになりますから、2000通近く出してるんですけども。気づく人がほとんどいない!
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)最初の頃はね、古い切手で10円切手を5枚とか、41円切手と5円切手と3円切手と1円切手。なんか、『経費削減なんですか?』なんて言われたりしてね。『エアロトのせいで借金がたまってるんですか?』なんて。
(中澤有美子)そうそうそう(笑)。
(安住紳一郎)あるいは、『変な切手ばっかりで気持ち悪いですね』とか。『古いですね』みたいな。でも、ようやく2年目くらいになりますと、『先日お返事のハガキいただいたんですけども、私の生まれた年の切手が偶然3枚貼ってあり、偶然にびっくりしました』みたいなね、お便りがあったりして。偶然じゃないっての!こっちが全部、ねえ。生年月日、年齢から類推して貼ってあるんだから!みたいな。全く気づかない。こっちがびっくりだよ!みたいな。
(中澤有美子)でも逆に、そこまでされたと思うと、気持ち悪いと思われるかも(笑)。
(安住紳一郎)これはフィラテリーとしては上級の嗜みよ?
(中澤有美子)そうですか。そっか。
(安住紳一郎)あまりね、おしゃれな取り組みなんで、そのうちBRUTUSとかね、サライとかが取材に来るんじゃないか?と思って。
(中澤有美子)そうですね。ええ。
(安住紳一郎)『第四次切手ブームの火付け役 日曜天国』なんて特集されるんじゃないかな?なんて思って。ちょっとそれは恥ずかしいかな?なんて言ってたのに、全く気づいてもらえなくて本当に恥ずかしい!
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)たとえばね、リスナーの方からメッセージいただいて。ケガの話でね、ちょっとメッセージをいただいた方には、国際赤十字献血年とかね。その切手を貼って。
(中澤有美子)日本整形外科学会とかね。
(安住紳一郎)・・・全く気づかない。キャンプの話を送ってくださった。ああ、これはボーイスカウト50年・ガールスカウト50年・世界ジャンボリー、これだろう。3枚貼り。パンパンパン!・・・気づかない。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)気づくよね?普通ね。
(中澤有美子)スルー。ねえ。
(安住紳一郎)奥さん怖いっていう人にはね、婦人参政権25年。それから、八郎潟干拓記念。なんか溝を埋めてほしいみたいな。
(中澤有美子)(爆笑)
(安住紳一郎)なかなか気づかない。
(中澤有美子)気づかない(笑)。
(安住紳一郎)こういう取り組みをやってるんですけども。3年たちましたけども、みなさんが気づかないので今日はあえて発表しました。
(中澤有美子)(爆笑)。ついに言っちゃいました。
(安住紳一郎)そして私たちのいちばんのいまの懸案事項はですね、千葉のスタンプショップでまとめて買ってくるんですけども。どうしてもこう、使い勝手のいい記念切手と、なかなか出番が回ってこない記念切手があるんですよね。
(中澤有美子)そうですね。
(安住紳一郎)はっきり言いますと、国宝シリーズの出番がなかなかない!なかなかメッセージで国宝のことを書いてくる人がいないもんですからね。
(中澤有美子)そうですね(笑)。
(安住紳一郎)なので、そのうちメッセージテーマで『国宝の思い出』とか。
(中澤有美子)(爆笑)。『私と国宝』。
(安住紳一郎)『私と国立公園』とか出てくると、『あ、切手が余りはじめたんだな』と察してください。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)第四次切手ブーム、来るんじゃないかな?と期待しています。是非みなさん、気づいて、そして褒めて伸ばしてほしい。どうぞよろしくお願いいたします。
[追記]その後、2014年1月の放送の中で、日曜天国スタッフが現在行っている記念切手入手方法について話していました。
(安住紳一郎)最近、ハマっていることです。(リスナーのメールを読む)『いただいたハガキと切手、とても嬉しく何度も見返しています』。ありがとうございます。
(中澤有美子)ありがとうございます。
(安住紳一郎)そうなんですよ。切手もちゃんと選んで貼ってますからね。大変なんですから。その切手の整理に私、忙殺されますからね。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)放送終了後、5時間ぐらい黙々とその切手を整理をしていたことがあります。最近はその切手の入手方法もなかなか凝ってまいりまして。私たちは結構、みなさまにお出しするハガキに貼る切手も凝っておりまして。みなさま方から寄せられましたメッセージに沿ったものや、みなさまの近況に則した切手を貼るという、郵趣家としての上質な嗜みを、みなさまにも喜んでいただくべく、そういう作業をしているんですけども。
(中澤有美子)ええ。
(安住紳一郎)なかなか、過去に発売された記念切手。いまは廉価で発売されておりますので、そういうことになりまして、潤沢に使うことができるんですけども。なかなかやっぱり、流通が一定していませんので、都内の金券ショップやホビーショップなどの記念切手では、もうすでに購入済みのものが多いんですね。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)で、私たちはいま、衝撃の事実ですけども。オークション。しかも、本格的なオークションで記念切手を落札しておりますからね。
(中澤有美子)(笑)。そこまで来ちゃいましたね。
(安住紳一郎)そこまで。もう完全にプロがオークションというか、出品したり、落札したりするという。いわゆる中古車の売買会場みたいなところがあるんですけども。本当の、プロが集まる切手の。そこにもう参加して、25万円とかで落札しておりますからね。
(中澤有美子)(爆笑)
(安住紳一郎)ものすごい量、落札してきますから。また、いずれゆっくりお話する時期が来るんじゃないかな?と思うんですけども。びっくりしますから。ええ。そしてだいたい、本格的な業者は額面の0.81くらいの額面で入札をしてきて。やっぱりプロなんで、利益が出ないとわかった時点で札を下げるんですけども。その利益が出なくなった1毛差とか2毛差ぐらいの時に、日曜天国がバーン!って札を上げるという。
(中澤有美子)へー。
(安住紳一郎)たまに間違えて落としちゃうみたいな。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)大変!みたいなことになってますけども(笑)。
(中澤有美子)ねー。
(安住紳一郎)はい。楽しくやってますよ!話が長くなりましたけども・・・
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