2010年10月6日水曜日

これまでの医学生理学賞を振り返る(2)

ピロリ・MRIは臨床だ。本当はこれが一番大事。だからiPS細胞には本当に頑張って貰いたい。最低でもテイラーメイド治療効果予想の体外診断キットくらいには商業化されてほしい早急に。体内に入れるには時期尚早でも体外in vivoなら良いではないか。速く早くである。

さて臨床とは直接交わらないが、この10年で小生が最も感動した受賞テーマは「
におい受容体および嗅覚系組織の発見」である。これには打ちのめされた。発見者のバックらの周辺では最近も論文取消等々生臭い話題が尽きないようだが、ヒトのような「高等に進化した」(これも括弧付きね)生物においても、いまなお1000個以上の嗅覚レセプターを作るゲノム遺伝子が存在しているという事実に驚いたということである。単なるにおいだけではない思った。これはより有利な生存のためのパートナー選択あるいはお好みのフェロモンに関連する道具立てなのだと思う。とにかく面白い。

あとの受賞はRNAiにしてもneurotransmitterにしてもパピローマ・AIDSにしてもES・Knockoutにしてもまあそんなものかなあという感想だ。「におい受容体および嗅覚系組織の発見」は利根川さんの「抗体の多様性生成の遺伝学的原理の解明」と同じ土俵なのだが利根川さんの発見と同じくらい衝撃的な数十年に一度の研究成果だと思う。利根川さんの研究の凄さは今ではよく理解されないかもしれない。簡単に言えば「生まれたあとでもゲノムは改変されますよ」という事象を初めて提言したこと。「不磨の大典と考えられていたヒトゲノムも個人間で随分違うようですよ」とサジェストしたこと。小さなことでは「スプライシングという事象があるのですよ」とエビデンス(電子顕微鏡写真だが)を見せてくれたこと。まあいろいろあるが、免疫をゲノムレベルで理解しようとした先駆けの研究だから、小生には全てが示唆に富む素晴らしい成果だったわけだ。

この10年はこれくらいにしょう。

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