2012年3月2日金曜日

寝返りをしたら腹痛が・・・・・・

月に3回くらい当直をするが、相変わらず多いのだな急患が。正直しんどいです。年齢には勝てないなあ、当直から早く引退したいものだ。月に3回なら文句言うなと言われる先生方も含めて、この国のこの当直体制というのをなんとかしたいものですな。

さて、一週間前の急患はちと劇的だった。20歳女子で下腹部痛である。夜の10時ころ来院したが、いつから痛むのかと問うと「今日の昼からです」としっかり答える。理学的には左の下腹部を痛がる。デファンスはないし、リバウンドもないが、かなり広範な圧痛を認める。食生活や排便は良好。既往歴は手術歴を含めてない。生理もきちんとしている(まあ妊娠はなさそうだ)。しっかりしているのだが、しかしこの彼女特徴的なのは泣くのである。「痛い、痛い」と泣くのである。20歳超えて涙ぼろぼろ流しながら泣く患者さんを余りみたことがない。余程痛いのであろう。でもなあ。

痛みの性状をもう一度よく聞いてみた。いつまでは痛くなかったのか、いつから痛み始めたのか。今がスケール10として初めはどうだったのか?そしたら「昼前に寝ていて(夜勤明けだそうだ)、寝返りを打った直後から痛み始めたのだとか。それまでは、全く痛みも腹部症状もないのだそうだ。15分もしないうちに今と同じくらいの痛みになった。」とのこと。寝返りだと。

エコーをしてみた。すると右下腹部に腫大したSOLがある。押すと痛がる。左ではないのだが、これは小生がみてもわかる卵巣嚢腫である。茎捻転を起こしているのだね。

いままで何度も茎捻転を診ているが、「寝返り」が契機になった例は知らない。患者には悪いが実にわかりやすい発症機序である。


患者殿には急いで大学病院の婦人科に救急車で行ってもらった。当方の外来には40分くらいしか居なかったが、翌朝の緊急手術の報告で、卵巣を一部残せたとの報告を受けた。小生も急いで対応したが、大学も急いで対応してくれて良かったと思う。卵巣が残せたなんて、ラッキーである。

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