2007年12月1日土曜日

c-Myc抜きで再生幹細胞

最近めざましい活躍を見せている京大山中グループがOct3/4, Sox2, Klf4 and c-Mycからc-Myc抜きで再生幹細胞を作成することに成功したとの報告が11月30日付けのNature Biotechologyに報告された。

Generation of induced pluripotent stem cells without Myc from mouse and human fibroblasts

Published online: 30 November 2007

先月のCellの報告で山中グループは成人皮膚細胞にOct3/4, Sox2, Klf4 and c-Mycを導入(レトロウイルスにて)しiPS(induced pluripotent stem)作成を成功させた。Cellのデータでは拍動する心筋細胞のmovie videoが印象的であった。

同日ScienceのWisconsinグループはc-Mycを避けたかったのであろう(iPSの腫瘍化につながるから)、OCT3/4, SOX2, NANOG and LIN28の組み合わせで同様のiPSを作成したが、あいにくこちらはヒト胎生繊維芽細胞での多幹細胞化に止まっている。ここでのポイントはLIN28がIGF2を介して内在性c-Mycを活性化することらしい。Wisconsinグループのものが成人でうまくいくかどうかはわからない。

さて、今回の山中グループの報告ではOct3/4, Sox2, Klf4のみでマウスでもヒトでもadult skinで上手くいくという。内在性c-Mycの活性化はやはり認められるとのこと。レトロウイルス導入とことなり適度なレベルでの発現ということか?いずれにせよ至適培養条件をみつけたことがポイントであるという。

つぎなる最大の難関はレトロウイルス導入という手法の回避という点に絞られたが、これは難問である。


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