2010年1月20日水曜日

平成21年年3月15日より献血者全員に糖尿病関連検査を開始

  • 日本赤十字社では、平成21年年3月15日より献血者全員に糖尿病関連検査を開始という報道であるが、ここで導入される検査項目がHbA1cでなくグリコアルブミンであるというのが興味を引く。(ボクは知らなかったので、まとめておきたい)

グリコアルブミン検査導入の背景
 献血協力者へのサービスとしての生化学検査では、これまで ALT(GPT)、AST(GOT)、γ-GTP、総蛋白、アルブミン、アルブミン/グロブリン比、コレステロールの各検査値が協力者に提供されてきた。 肝機能を評価する検査が3つ含まれている一方で、糖尿病関連の検査は含まれていなかった。これは、従来、国内では肝炎の発病が多くその早期発見が重要であり、糖尿病は現在ほど多くはなかったため。  しかし今回、このうちの AST が廃止されて、新たに糖尿病の検査としてグリコアルブミンが追加される。この変更の背景には、国内で肝炎の新規発症が減ってきた一方で、糖尿病が急増していることがあげられる。

なぜ、血糖値や HbA1Cではなく、グリコアルブミンなのか

  •  糖尿病関連の血液検査としては、血糖値のほかに HbA1C、グリコアルブミンなどの検査がある。
  •  血糖値が対象にならないことは変動幅が大きすぎるということだ。
  •  HbA1Cは採血時点の血糖値に左右されずに過去2カ月間の血糖値の平均値と相関する検査値なので、このような心配はない。
  • しかし、検査のために検体を1本追加せねばならず、測定に専用機器が必要となりコストが高くなる(これは知らなかった)。 グリコアルブミン検査は、採血時から過去1カ月(とくに直近の2週間)の血糖値の平均と相関する検査値であり、血糖値のような偽陽性・偽陰性の問題が生じにくいというメリットは HbA1C検査と同様。また、他の生化学検査と同じ一つの検体で済み、測定コストも安価なため、献血のような膨大な対象に行うスクリーニングとして優れている。
  • さらに近年では、糖尿病予備群やメタボリックシンドロームに特徴的な検査値異常である、食後のみの短時間の高血糖もグリコアルブミン検査では比較的よくとらえられることがわかってきており、そういった方に対して糖尿病発症予防のための注意を喚起するのにも有用性が高いと考えられる。

アルブミンの半減期はどれくらいであったか?・・・これは17日といわれている。直近の2週間の血糖値というのはここからくる。
さて本当に安価なのか?


  • 「ヘモグロビンA1C」、「グリコアルブミン」および「1.5-アンヒドログルシトール」の検査は、同一月内に1回に限り主な項目の実施料を算定できます。妊娠中の患者、1型糖尿病患者、経口血糖降下薬の投与を開始して6月以内の患者、インスリン治療を開始して6月以内の患者等については、いずれか1項目を月1回に限り別に算定できます。
保険点数は
  1. HbA1Cが 50点
  2. グリコアルブミンが 55点
  3. 1.5-アンヒドログルシトール(これはもっと短期間の血糖変動を体現)が 80点
でありあまりかわらんではないか!  まあ日赤ならではのスケールメリットがあるのだろう。また採血管が一本でいいというのは朗報であるな。

日赤がグリコアルブミンを取り入れたということは病院・診療所への影響(非糖尿病医への影響)が大きいと思う。糖尿病の治療体系は今HbA1cを元に作られているが、今後変わっていくこともありうる。かつてのボクのように「いつのまにかグリコアルブミンの時代」になっていることに気が付く。。そんな経験をするヒトもいるかも。

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