2010年1月31日日曜日

7才の画伯:キーロン・ウイリアムソン


今話題のイギリスの画家キーロン・ウイリアムソンはわずかに7才である。この人の画風は確かにいい。ターナー風のようで、ターナーほど暗くない。いろいろなページを見たが、一番よくまとまっているHPをノートしておく。

参考ページはこちら→→

あるいは

こちらの方がいいかも→→

2010年1月29日金曜日

2009年夏のベスト230:ビートルズ

YahooJapanが集計した2009年のビートルズの人気曲ベストである。

だいたい200曲以上もあるレパートリーを対象に人気投票を行うことが可能であるのが素晴らしい。さすがにビートルズである。応募総数は26万票だということ。ボクのマブだちに言わせると、この手の投票は何年かに一回あって時代とともに人気はさまようらしい。上位3曲がなぜか上手く印字できないので省略するが、なにが隠されているかはファンならわかることでしょう。しかし順位までは予想が付くかな?

これはこれで面白いが、ボクの順番とはちがうわな。それは当たり前でしょう。

もっと人気があったはずの曲、もっと評価が高いとうれしいなという曲を5曲あげると・・・
  1. ドライヴ・マイ・カー(51位
  2. 恋を抱きしめよう(73位
  3. ベイビー・ユーアー・ア・リッチ・マン(170位
  4. エヴリ・リトル・シング(158位
  5. ザ・ナイト・ビフォア(94位
このあたりは一番ビートルズらしい佳曲中の佳曲だと思うのですがね。皆さん忘れてしまってしまったかな。

順位が低いのは予想できるし、それはそれでいいのだがボクは好きな曲もありまして・・・・・

  1. フライング(199位)・・・唯一「唄声」のない、つまりインスト。子供の頃好きだったよ、この味。今も好き。
  2. レボリューション 9(141位)・・順位は低くて当たり前の前衛曲。だけど好き。時代の気分が一番残る。
  3. 家に帰れば(201位)・・・・こんなに低くなっちゃって、というのが正直なところ。昔は良い曲だと言われていたが。
  4. ぼくが泣く(191位)・・・こんなに低くなっちゃって、というのが正直なところ。昔は良い曲だと言われていたが。
  5. オンリー・ア・ノーザン・ソング(182位)・・・ジョージのインド味のなかでは最も好きな曲。
ついでにボクのなかでは大きな比重を占めないのに、投票では評価が高い曲を5曲あげると・・・
  1. ストロベリー・フィールズ・フォーエバー
  2. ノルウェーの森
  3. ハッピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン
  4. ヘルター・スケルター
  5. レット・イット・ビー
である。

みんなも好きだし、ボクも大好きな曲と言えば残りのすべてさ・・・・というわけ。しかしあえてボクが「より好きな曲」をこの投票の上位から順番に挙げていくと・・・・
  1. ヘイ・ジュード(3位)
  2. ア・デイ・イン・ザ・ライフ(6位)
  3. イエスタデイ(8位)
  4. ヒア・カムズ・ザ・サン(12位)
  5. オール・マイ・ラヴィング(13位)
  6. ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア(16位)
  7. カム・トゥゲザー(19位)
  8. ハロー・グッドバイ(24位)
  9. ペニー・レイン(26位)
  10. サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(28位
  11. ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ (31位
  12. 恋におちたら(33位)・・・・・・・・・・・・・・・・・名曲でんなぁ
  13. アンド・アイ・ラヴ・ハー(40位)・・・・・・・・・・・なんで40位なの?
  14. ドント・レット・ミー・ダウン(49位)
  15. ドライヴ・マイ・カー(51位)・・・・・・・・・・・やっと登場したよ!
  16. キャント・バイ・ミー・ラヴ(52位)・・・・・・・・・・・なんで52位なの?
  17. レディ・マドンナ(56位)
  18. アイヴ・ガッタ・フィーリング(
62位)
  19. レイン(63位)
これくらいにしておこう・・・・・・・


4位 ヘルプ!
5041票
5位 ストロベリー・フィールズ・フォーエバー
5014票
6位 ア・デイ・イン・ザ・ライフ


4949票
7位 ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード
4935票
8位 イエスタデイ


4708票
9位 サムシング
4660票
10位 ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス
4445票

11位 アクロス・ザ・ユニバース 4238票
12位 ヒア・カムズ・ザ・サン 3953票
13位 オール・マイ・ラヴィング 3683票
14位 ゲット・バック 3680票
15位 プリーズ・プリーズ・ミー 3305票
16位 ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア 3278票
17位 ア・ハード・デイズ・ナイト 3025票
18位 愛こそはすべて 2869票
19位 カム・トゥゲザー 2857票
20位 アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア 2753票

21位 ひとりぼっちのあいつ 2578票
22位 ツイスト・アンド・シャウト 2545票
23位 アイ・アム・ザ・ウォルラス 2391票
24位 ハロー・グッドバイ 2200票
25位 ノルウェーの森 2097票
26位 ペニー・レイン 2021票
27位 ミッシェル 1950票
28位 サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド 1927票
29位 シー・ラヴズ・ユー 1843票
30位 ブラックバード 1756票

31位 ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ 1745票
32位 エリナー・リグビー 1742票
33位 恋におちたら 1665票
34位 抱きしめたい 1605票
35位 オー!ダーリン 1576票
36位 オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ 1523票
37位 トゥモロー・ネバー・ノウズ 1502票
38位 ゴールデン・スランバー 1486票
39位 涙の乗車券 1441票
40位 アンド・アイ・ラヴ・ハー 1430票

41位 ラヴ・ミー・ドゥ 1424票
42位 ハッピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン 1420票
43位 アイ・ウィル 1333票
44位 ガール 1331票
45位 フール・オン・ザ・ヒル 1305票
46位 バック・イン・ザ・U.S.S.R. 1304票
47位 ヘルター・スケルター 1297票
48位 ノー・リプライ 1287票
49位 ドント・レット・ミー・ダウン 1266票
50位 アンド・ユア・バード・キャン・シング 1202票

51位 ドライヴ・マイ・カー 1096票

52位 キャント・バイ・ミー・ラヴ 1072票

53位 イエロー・サブマリン 1040票

54位 ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー 1024票

55位 ヘイ・ブルドッグ 1022票

56位 レディ・マドンナ 1009票

57位 ミスター・ムーンライト 990票

58位 ジ・エンド 981票

59位 トゥ・オブ・アス 977票 

60位 P.S. アイ・ラヴ・ユー 965票

61位 マジカル・ミステリー・ツアー 952票

62位 アイヴ・ガッタ・フィーリング 948票

63位 レイン 932票

64位 恋する二人 920票

65位 ビコーズ 914票
66位 デイ・トリッパー 909票
67位 ユア・マザー・シュッド・ノウ 886票
68位 プリーズ・ミスター・ポストマン 869票
68位 アイ・フィール・ファイン 869票

70位 エイト・デイズ・ア・ウィーク 845票


71位 フォー・ノー・ワン 787票

72位 タックスマン 781票

73位 恋を抱きしめよう 767票
74位 レボリューション 734票
75位 夢の人 727票
76位 ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ 716票

77位 悲しみはぶっとばせ 710票

78位 ペイパーバック・ライター 686票

79位 セクシー・セディ 659票
80位 アイム・オンリー・スリーピング 646票

81位 ディア・プルーデンス 644票

82位 オクトパス・ガーデン 641票

83位 アスク・ミー・ホワイ 637票
84位 ロック・アンド・ロール・ミュージック 622票
85位 バースデイ 598票

86位 恋のアドバイス 588票

87位 ホエン・アイム・シックスティ・フォー 572票
88位 マーサ・マイ・ディア 568票
89位 ヤー・ブルース 566票
90位 シーズ・リーヴィング・ホーム 564票

91位 ジス・ボーイ 563票
91位 アイル・ビー・バック 563票
93位 キャリー・ザット・ウェイト 555票
94位 ザ・ナイト・ビフォア 554票
95位 イット・ウォント・ビー・ロング 540票
96位 ユー・ウォント・シー・ミー 534票
97位 アイ・ウォント・ユー 500票
98位 アンナ 497票
99位 ティル・ゼア・ウォズ・ユー 487票
100位 サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(リプライズ)478票


101位 すてきなダンス 477票
101位 グッド・ナイト 477票
103位 ベイビー・イッツ・ユー 476票
104位 シー・セッド・シー・セッド 475票
105位 ユー・キャント・ドゥ・ザット 474票
106位 ワン・アフター・909 471票
107位 シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドー 468票
108位 ミズリー 454票
109位 マザー・ネイチャーズ・サン 447票
110位 アイル・フォロー・ザ・サン 446票

111位 マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー 445票
112位 ゼアズ・ア・プレイス 439票
112位 ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ 439票
114位 フロム・ミー・トゥ・ユー 418票
115位 ゲッティング・ベター 417票
115位 エヴリボディーズ・ゴット・サムシング・トゥ・ハイド・エクセプト・ミー・アンド・マイ・モンキー 417票
117位 レボリューション  1410票
118位 ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット 409票
119位 イエス・イット・イズ 398票
120位 エニイ・タイム・アット・オール 397票

121位 ジュリア 393票
122位 ロール・オーバー・ベートーヴェン 376票
123位 アイ・ミー・マイン 372票 
124位 アイ・ニード・ユー 353票
125位 グラス・オニオン 344票
126位 ラヴリー・リタ 342票
127位 恋をするなら 340票 
127位 イッツ・オンリー・ラヴ 340票
127位 アイム・ソー・タイアード 340票
130位 マネー 336票

131位 蜜の味 335票
132位 テル・ミー・ホワイ 331票
133位 サボイ・トラッフル 319票
134位 ディグ・ア・ポニー 308票
135位 サン・キング 300票
136位 オールド・ブラウン・シュー 295票
137位 オール・アイヴ・ゴット・トゥ・ドゥ 294票
138位 パーティーはそのままに 288票
139位 グッド・デイ・サンシャイン 287票
139位 ポリシーン・パン 287票

141位 今日の誓い 283票
141位 レボリューション 9 283票
143位 ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト 277票
144位 ベイビーズ・イン・ブラック 274票
144位 ロッキー・ラックーン 274票 
146位 ユー・リアリー・ゴッタ・ホールド・オン・ミー 272票
147位 アイム・ア・ルーザー 270票
148位 ミーン・ミスター・マスタード 265票
149位 クライ・ベイビー・クライ 264票
150位 フォー・ユー・ブルー 261票

151位 ハー・マジェスティ 256票
152位 アイム・ダウン 255票
153位 ジョンとヨーコのバラード 252票
154位 ユー・ノウ・マイ・ネーム 250票
154位 アイ・コール・ユア・ネーム 250票
156位 ロング・トール・サリー 246票
156位 ナット・ア・セカンド・タイム 246票
158位 エヴリ・リトル・シング 243票
159位 チェインズ 239票 
160位 アナザー・ガール 238票

161位 イッツ・オール・トゥー・マッチ 237票
162位 オール・トゥゲザー・ナウ 236票
163位 ボーイズ 234票
164位 ディジー・ミス・リジー 232票
165位 デヴィル・イン・ハー・ハート 229票
166位 グッド・モーニング・グッド・モーニング 219票
167位 ドント・バザー・ミー 210票
168位 ウェイト 208票
169位 ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー 203票
170位 ベイビー・ユーアー・ア・リッチ・マン 199票

171位 浮気娘 197票
172位 バッド・ボーイ 195票
173位 ディグ・イット 190票
174位 ホールド・ミー・タイト 185票
175位 ハニー・パイ 180票
176位 フィクシング・ア・ホール 176票
177位 シーズ・ア・ウーマン 174票
178位 ドクター・ロバート 173票
179位 君はいずこへ 172票
180位 マギー・メイ 168票

181位 アイル・ゲット・ユー 162票
182位 オンリー・ア・ノーザン・ソング 161票
183位 アイ・ウォント・トゥ・テル・ユー 160票
184位 アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン 155票
185位 愛のことば 152票
185位 スロウ・ダウン 152票 
187位 コンティニューイング・ストーリー・オブ・バンガロウ・ビル 150票
188位 テル・ミー・ホワット・ユー・シー 146票
189位 ラヴ・ユー・トゥ 142票
189位 嘘つき女 142票

191位 ぼくが泣く 139票
192位 サンキュー・ガール 136票
193位 アクト・ナチュラリー 127票
194位 a)カンサス・シティーb)ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ 126票
195位 ブルー・ジェイ・ウェイ 119票
195位 ホワイ・ドント・ウィ・ドゥ・イット・イン・ザ・ロード 119票
197位 ロング・ロング・ロング 118票
198位 ワーズ・オブ・ラヴ 116票
199位 フライング 114票 
200位 ピッギーズ 112票

201位 家に帰れば 111票
202位 抱きしめたい(ドイツ語版) 110票
203位 ジ・インナー・ライト 106票
204位 ユー・ライク・ミー・トゥー・マッチ 104票
205位 ワイルド・ハニー・パイ 100票
206位 ドント・パス・ミー・バイ 99票
207位 ホワット・ユーアー・ドゥーイング 96票
208位 リトル・チャイルド 93票
209位 消えた恋 90票
210位 シー・ラヴズ・ユー(ドイツ語版) 89票

211位 みんないい娘 83票
212位 マッチボックス 67票
213位 ハニー・ドント48票

iPadとキンドルと日本

3月にはiPadが登場するようだ。これは以前iSlateとして話題になっていた形態によく似ており、ボクとしては買ってみようかと思わせるものがある。取りあえずPBの一冊くらいiPadで読んでみようかと思う。ネットとの接合具合や、当方からのデータ送付などの感覚をつかんでおきたい。日本版は当面期待できないが、この日本語が不自由な期間に触っておくことが大事なような気がする。初期不良はなんのそのである。

これはiPodやiPhone以上にそそるものがあるが、その理由はキンドルの記事にも書いたが、自分の書いた本が自費出版などという情けない形態を取らずとも、世の中に出ていく可能性がこのシステムにはあるということと、うまくすれば「執筆料」が期待出来ることである。中間搾取するものの何もない世界。版元、卸、町の本屋さん。一切なし。素晴らしい!!

2010年1月27日水曜日

ドビュシー&ラベル:弦楽四重奏曲

ドビュシー&ラベル:弦楽四重奏曲

ボクがドビッシー・ラベル特にラベルに入れ込んでいることは、たびたびブログに音楽情報を書き込むことからおわかりであろうが、ラベル・ドビッシーは好きだなあ。その中でももっとも古くから聞き込んでいる曲目がこの弦楽四重奏曲である。これはもう人生とともにあるといった趣すらある。飽きないですね。いつも2曲一緒なので、僕にとっては全部で8楽章の四重奏曲といってもよい。というか、どちらがドビッシーでどちらがラベルかあまり意識せずに今日まで来ましたといったところである。どちらの作曲家も好きなのであるが、しかしそれでもややラベルの方が好きであるし、聴く回数もラベルが多い。と今日まで思っていたが、人生ここまで生きてきて初めて気がついたのだが、ボクはこの四重奏曲についてはドビッシーの方が好きだ。え〜〜〜という感じ。この曲を聴くときは必ず2曲とも聴いてしまう。最初の一楽章が(つまりドビッシーの方)はとりわけ好きであり、気張って言わせてもらえば、この曲を持って20世紀は始まった、あるいは古典とは明らかに違う現代の音楽が始まったというような思いを持つのである。古典もいいが、やはりボクは現代に生きているし、この気分は斬新なのである。

さて、レベル好きだといっても、これだけ好きでも全部の曲を知っているわけでもない。この年になっても新たな発見があるのだ。5年くらい前には「古風なメヌエット」を発見した。20年くらい前にはダン・タイソンの空前絶後の名演でラ・ヴァルスを発見した。このラ・ヴァルスはピアノから5mくらいのところで聴いたこともあり、もうそれまで経験したことのない初めての種類の感動を覚えた。2年前には「のだめカンタービレ」というテレビドラマで「道化師の朝」を発見した。これはすごくうれしかった。ボクの発見というのはいままで聴いても通り過ぎっていった曲(興味がわかない曲)がある日突然「意味を持ってくる」というか「いきなり脳髄の一番奥底に痛撃を与える」といった種類の経験のことをいうのだ。

このような経験は多ければ多いほど次にくる発見が楽しみになる。まあ数年に一回しかこないがね・・・・。

さてこれまでボクはこの弦四をラ・サールであるいはジュリアードで聴いていた。というかほとんど基準はラ・サールである。であらたな冒険を始めることにした。昨日アルバン・ベルクSQ(strings quartetのことね)を購入したらこれがおもしろかったのだ。へ〜〜という感じ。そこで「演奏による発見」も楽しいかなと・・・・。ボクはクラシックは好きだけど、うんちくお宅ではない。誰の歴史的名演なんて、実はあまり興味ない。そこまでわからんのです、違いが。悲しいことにそこまで造詣は深くないのだ。クライバーのベートーベン5番を去年初めて聞かされて、これは言われるだけのことはあるなとは思ったけど、それくらいである。若い頃はクナとかシュリとかバルビローリとかヨッフムとかいろいろ追い求めたが、今はどーでもいい。安ければよい。音は(あまり)こだわらない。そこにあるものを買う。いろいろ追い求めるほどのこだわりはないが、今そこにある、手に入るものなら買おうかと。今手に入れなければ、死ぬまでもう縁がないかも、なんて思っちゃうんですな、今日この頃。同じ曲を同じヒトを何枚も買うことは無かったが、ラベルに関してだけは、こだわってみようかな。それも弦四だけね。

で昨日調べたものが以下のデータ。今手に入りそうなラベルの弦四である。



  1. エマーソン弦楽四重奏団 1990年 ドイツグラモフォン/ポリドール
http://www.vector.co.jp/soft/data/art/se090506.html

少しこの弦四の背景を紹介したいが、自分で書くより先達の参照を・・・

この弦楽四重奏曲はラベル最初の室内楽で、1903年28才のときに書き上げています。初演は1904年3月5日、スコラ・カントルムにおける国民音楽協会の演奏会だそうです。(エ マーソン四重奏団)”amon cher maitre Gabriel Faure”(敬愛するガブリエル・フォーレへ)という献辞が記されています。

この曲は、私の大好きな弦楽四重奏曲の一つです。だいぶ前から知っていてLPを持っていたのですが、だいぶ前に、スペインの監督ビクトル・エリセ(「みつばちのささやき」で名高い寡作家)の映画「エル・スール」で実に効果的に使われているのを見て感心しました。それがこの第3楽章だったのです。この映画 はクラシックでは他に、グラナドスのスペイン舞曲第5番「アンダルシア」、第2番「オリエンタル」やシューベルトの弦楽五重奏曲ハ長調 の第2楽章アダージォが使われていますが、メインの曲はラベルです。主人公の少女の心の微妙な揺れを象徴しているようです。「エル・スール」は私の好きな映画のベストスリーのひとつで、詩情のかたまりといって良い美しい映像は忘れられません。主人公の女の子の成長を見守るだけでも感動しますが、スペイン内戦の歴史をご存じの方には更に深い味わいがあるでしょう。私が人に勧める映画の筆頭がこれです。私のラベルの弦楽四重奏曲への思いいれは「エル・スール」への思いいれと重なっています。


映画の棚エル・スール


http://uncletell.cool.ne.jp/infoseek/yawa040715.htm


2. ドビュッシーとラベルの弦楽四重奏曲

 ドビュッシーの曲(ト短調作品10)は1893年(31歳)、ラベルの曲 (ヘ長調)は1903年(28歳)に作曲されている。いづれも若い時代の曲 である。ドビュッシーの名を高めた〈牧神の午後への前奏曲〉は、この曲の後 に作られている。ドビュッシーもラベルも、弦楽四重奏曲は若い時のこの一作 しか作っていない。  ところで、ドビュッシーとラベルの弦楽四重奏曲というと、先ず音楽評論家 の大木正興さんの著作の中の言葉が、印象的に頭をよぎるのである。  すなわち、弦楽四重奏曲という曲種は、それまで多かれ少なかれベートーベ ンの強い影響下というか傘の下に置かれるのを余儀なくされていたが、その引力圏から、ここで初めて飛び出したというのである。大木正興さんはまた、それまで誰もが決して弦楽四重奏で意図もせず実現もしなかったことがドビュッ シーによって出現したのである、とも言っている。いわばこういう方法があっ たのかと、周囲を唖然とさせたという感じもしたのだろう。  確かにドイツ系のハイドン・モーツアルト・ベートーベンのカルテットの系譜の延長線上では想像出来ないような曲想、作曲者ドビュッシーのこの大胆な試みは、大いにエポックメーキンなことではあったのである。  二つの作品、まさにフランス独特のエスプリとデリカシーとが全開になった実に精緻で美しい作品、近代フランス和声のセンスと古典的形式感が見事な美しさで混じり合った最高の成果を出している作品、特にラベルの作品については、現代的センスに裏打ちされた叙情的なエロチズムを発散していて、その独特な色彩を放つ生のエネルギーと夜更けの微光のような繊細さはほかに例を見ない、とは、音楽評論家の吉松隆さん。全うまいことをいうものである。  先の大木正興さんは、ドビュッシーの曲を、”四挺の弦によって描かれ霧のヴェールのような肌触りには、作曲者の若い甘美な心情が宿っている”と、またラベルのこの曲は、感覚は新鮮、無類の生気と安定感、ほんとうにすばらしいと評している。  ほとんどの盤が、ドビュッシーとラベルのカルテットをカップリングしている。読者は、どちらの方の曲により好感を持つだろうか。正直なところ、ラベルの曲と答える人が圧倒的に多いのではなかろうか。ドビュッシーの曲も確か に新時代を築いた名曲であるが、ラベルの曲と比べればどこか生硬さを感じる。  ドビュシーの曲の10年後、ラベルの作品が出来上がった時、ドビュッシーは絶賛し、それ以上手を加えぬよう忠告したが、出版された楽譜にはかなりの改訂があったという。                      UNCLE TELL

  3.ブダペスト弦楽四重奏団

ザハリッヒなスタイルで、今世紀の室内楽をリードしたブダペストSQ。今やこの方式もさすがに古めかしく聴こえるのは時の流れ。フランス印象派の両曲においても、息苦しいほどに精密かつ精力的な演奏を展開しているが、ある種の官能性は追求されない。ソニー・ミュージックレコーズ 発売日:1992年3月1日


  4. イザイ弦楽四重奏団 1993年04月24日発売
POCL-5090ポリドール標準価格 2,039円

   5. ガルネリ弦楽四重奏団 発売日:1992年08月21日 販売元:BMGJAPAN、定価:1529円

  6. アルバン・ベルク四重奏団
[HQCDカタログ・シリーズ]

ドビュッシーもラヴェルも1曲しか残さなかった弦楽四重奏曲であり、近代フランスを代表する名曲を音楽史上最高峰のカルテットABQが緻密に演奏した名盤。2008/12/10
               http://www.neowing.co.jp/detailview.html?KEY=TOCE-90056 - point_desc

  7. カルミナ四重奏団

   http://shop.columbia.jp/shop/g/gD3679/
COCO-70518¥1,050(税込)
レコード芸術推薦/グラミー賞ノミネート/グラモション賞ノミネート ALBUM 2003/03/26 
クレスト1000シリーズ
ドビュッシー/ラヴェル:弦楽四重奏曲 
世界を瞠目させた驚異のアンサンブル。英グラモフォン賞、米グラミー賞ノミネート作品。

弦楽四重奏の新たな可能性を追求するこの革新的なアンサンブルの手にかかると、どんな作品もまるで洗い立ての名画のように本来の輝度と純度を取り戻す。
カルミナ四重奏団の中にある冒険者と完全主義者との相克は、演奏に異常なまでに高いのテンションを与え、聴くものにも知的・感覚的な受容力を求める。
シマノフスキに続く受賞こそ逃したものの、英グラモフォン賞にノミネートされ、さらに米グラミー賞にもノミネートされた。

  8. 東京カルテットのラヴェル&ドビュッシー/弦楽四重奏曲 蘭CBS 1002 

   販売価格 5,250円 http://tenant.depart.livedoor.com/t/baerenplatte/item5912070.html
   以下の四枚も参考は上のページから・・・これは中古市場の価格である。

  
9. ターリヒ四重奏団
 :フランス
コンディション:
レーベル:シルバーレーベル 6,300円

  10. 
パルナン四重奏団
:フランス
コンディション:半円ニッパーレーベル
優秀録音盤!10,500円

  11. メロス四重奏団
プレス国:ドイツ
コンディション:A/A
レーベル:ブルーラインレーベル
1979年録音15,250円

  12. 
レーヴェングート四重奏団
:ドイツ
コンディション:A/A
レーベル:チューリップレーベル(ALLE)
優秀録音盤・list092015,750円


2010年1月24日日曜日

新聞の最後の抵抗始まる

ニューヨークタイムズのオンライン版、2011年から記事有料化をスタート

ニュー ヨークタイムズのオンライン版であるNYTimes.comは、2011年から記事への課金モデルをスタートするということです。1か月間に無料で読める 記事数の上限を定め、それを超えると、課金される仕組みです。紙の新聞の購読者は全ての記事に無料でアクセスできます。ニューヨークタイムズでは、このモ デルの採用により、広告収入の他に有力な資金源ができるものとして、期待を寄せています。

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ということだが、ついに新聞がネット課金を始めた。これは最後の賭のようなものであろう。物心ついたときからニュースが無料であることが当たり前の若者には、受けいられる話ではない。ボクは課金されるシステムになってもお金を払ってもいいと思う。がしかし世の中の大勢はそうではないであろうから、これを機に西欧の紙媒体の新聞はこの世から「事実上」消えることになるであろう。いわゆる西欧のquality paperが最終段階に入ったということだと判断する。さて日本の新聞に生き延びる路はあるのであろうか?要は広告媒体としての全国紙にこれからも企業が価値を認め続けるかという問題である。新聞に変わるものがあるかというと、テレビ・ラジオ以外はこれはいずれも実態があるようなないようなネットである。ラジオはすでに魅力ある広告媒体とは言えないが、テレビはどうか?テレビはボクには断末魔的様相であり、死に体にしか見えない。

今後世の中の人々の判断基準となる情報はどこから伝わってくるのであろうか?テレビはしばらくは無くならないと思うが、でもすでに多くのヒトはテレビの情報を第一義的に信じているわけではなさそうだ。個人的には新聞頑張れといいたいが、もう無理だしな。

なんだかとても不安定な、気の置けない世の中になりそうで、いやだな。

キンドルであなたも作家になれる!

キンドルが気になるこの頃

前にキンドルのメモを残したのはいつだったか?

検索すると昨年6月にメモした。2009年6月17日水曜日にメモした 「本を読むこと」2009年における新しい形態   アマゾンCEO、「Google Book Search」に不満を表明・・・であった。さて、医学生物学研究よりキンドルの方が気になる今日この頃である。

電子書籍としてアマゾンのキンドルはアメリカでは少しづづ地歩を固めつつあるようだ。今日の報道でそのキンドルについて面白い記事が載っていた。アマゾンは書いてくれる著作者に印税を70%払う方針を打ち出したという。これは魅力的である。一流で名をなした作家について、彼らがキンドルになびくかどうかはわからないが、名も無き多くの著作家たちにとってこれは革命的システムとなろう。なんせアマゾンは「long tail」の王国である。long tailと いうのは「無名の大多数」が「無名の大多数」を支えるシステムのことだ。アマゾンの革新的なところは情報と物件在庫システムと決済にネットを持ち込んで一 挙にこの難題を解決してしまったことだ。ここの所を見落とすと次にやってくるキンドル革命の本質が見えない。キンドルの本質がボクには今日ようやく見えて きた。これは無名の作家と無名の読者をつなぐ人類初のシステムであり、ここが大事なことであるが・・・無名の作家が「食っていける」システムである可能性 を大いに内包しているということだ。

ボ クが本を出したいとする。既存の出版システムに載っかるとこれは大変だ。文藝春秋に塩野七海が書いていたが、最近は塩野のような大家にして初版部数の削減 が通告される時代なのだそうだ。塩野七海が本を出せば、必ず一定数は売れるに決まっているのに・・である。(あるいはあの塩野ブームにもついに退潮傾向が 現れ始めたと言うことなのか?)始めに戻るが、ボクは本を出したいとする・・・ではなくてボクは本を出すつもりであり、材料は山のように書き込んでいる、 ため込んでいる。こんなボクが本を出版するのに良いタイミングは、実はキンドルの日本登場の日ではないかと思った。想像するにキンドル出版のハードルは実 に低いはずだ。(だってすべてon lineの上で済んでしまうのだから)70%著作者に支払っても、なんせlong tailである、充分元は取れるはずである。

20年前に絶版になった本が、いつの間にか復刻している世の中であり、その大きなdriving forceは アマゾンの古書市場動向であり、今ひとつは「復刊ドットコム」である。最近ではボクの書いたネット書評がもとで、ある新書が復刻された経験もある。出版界は今や ネットなしでは立ちゆかない。日本の出版社にキンドルの本質が見えているだろうか?ちと疑問である。ほっておくと「アマゾン」が日本の最大の出版大手とい う時代がくるかもしれない。問題は既存の大家の動向である(本当はどうでもいいのだけど、トレンドが作られるのはこれら名をなした人々の動きである)。まあ大 家は紙媒体にいてもらっても良いと思う。紙媒体が無くなるのは寂しいからな。問題は中堅以下の作家である。実はこの人達が面白いのである(ボクも仲間に入 りたい)。キンドルによって彼らの活躍の場所が与えられ、なおかつ立派な収入源になるといいな。「食っていける作家」を作るためのキンドル可能性はもっと 語られても良い。

2010年1月23日土曜日

例のインスリン中止のばあさんのその後(2)

全然問題ない、問題なく移行している。インスリン要らないんだね。と高をくくっていられるのも入院中だからかな。昨日糖尿病専門医のT先生にお会いし、よんどころない理由で先生の診ておられた患者のインスリンを止めました、もうすぐ退院しますがあとはよろしくとお伝えした。まことに勝手ながら、相談しませんでしたが、ごめんしてね。と笑いながら、ごまかした。だってさ、相談したら「止めてはいかん!」と言われそうではないか。そしたらですな「よく、止めてくれました。」止めてみようかと思っていたんだわさ。とのことであった。退院したらきっとまたぐしょぐしょになるかもしれないけど、わかりました、私が診ましょうというてくださった。いいお医者さんである。

最近の論文について

最近論文をメモすることが減った。大事なことを忘れないように備忘しておくためにこのブログを書いているのだから、これはゆゆしきことだ。なにも論文渉猟を止めたわけではない。以前と同じように眺めて暮らしてはいるのだ。ここのところだと、Nat Genetics一月号の糖尿病の多型論文(著者の数は一体何人なんだ??数え切れない。とにかく尋常ではない数。そして例によって日本の研究者はゼロである)やそのカウンターパートといってはなんだけど同時期に出たのでいきおい比較したくなる日本人とどこの国だったか、ベルギーだったかの論文は目を引いた。あるいは心電図のPR間隔についての遺伝学的研究(多型か?)もどーっと出たね。サイエンスのパンダに続いてネーチャーでもジャイアントパンダのゲノム解析が出た。どれくらいのインパクトがあるのだろう、この仕事。疑問である。年末には植物のアブシジン酸という物質について怒濤のごとくネーチャーに論文が出まくった。全く興味が湧かなかったが。わざわざメモする程の興味を引く仕事に出会わない。とても残念である。とてーも残念だ。

興味ふかい癌関連の研究成果に乏しい季節の様な気がする。冬枯れなんだろうと思う。どこかで華々しい研究がなされているのだろうか?一つには大御所Vogelsteinがおとなしいのが残念である。彼が何を考えて次に何を明らかにしてくれるのか楽しみなんだけど。他にも面白い話があったら教えて欲しいよ。

2010年1月22日金曜日

糖尿病の診断基準最新:米国2010














HbA1Cが6.5%を超えていたら、即「糖尿病」でいいのかというと、これでいいのだ。とりあえず米国の推奨はこうなっとる。or or or であるから。

2010年1月21日木曜日

邪悪なものの鎮め方

一時期の養老孟司ほどではないけど内田 樹が本を出すスピードは尋常ではない。しかし内田さんが本を書くのはここ10年くらいなので、たまりにたまったものを今はき出しているんだと思えば余り不自然ではない・・・とボクは思うぞ。このあたりが斎藤孝などの面白くも何ともない本をばさばさと書く人たちとは違うと思う。出版社が「この時期、この旬のシーズンを逃すな!」とばかり書かせまくる、そんなあざといパターンをここ数年山のように・・・(しかし横目で)見てきた。おそらく内田は違う。自分の方から書きまくっている。書きたくて書きたくてしょうがない、子供みたいだね。

内田さんの興味の中で一番面白いテーマ、ボクの心を揺さぶるテーマは「鎮魂」である。西部開拓史における無名のカーボーイ達。戦争で死んでいった無言の戦士達。しっかり鎮魂しないと化けて出るぞー、という懸案事項についての考察である。集合的無知の面白さ。神話と習俗の無視できないヒント。特に人種に関わらずある種共通して引き継がれてきた神話的記憶に塗り込まれた人類学的智恵の世界は無類の面白さである。墓の無い民族はない。どこの部族も重たい石で蓋をする。死んだ人間が再び地中から出てこれないようにである。これが、それぞれ横の連絡もない民族において独自に錬り出された戦略であるところが人間・人類の面白さである。こんなことが、そんなことが内田ワールドの真骨頂である。しかもだ。今の日本のホームレスの人々のこともしっかり視野にある。

「邪悪なものの鎮め方」というのもボクにはほとんど内容が読めてしまう。というか内田ファンなら皆そうだろう。でも読みたくなる。やはり読んでみたくなります。そうやって「日本辺境論」も読んだしな。「日本辺境論」はことさら新しい話ではないが、やはり面白かった。しかしさ、ひどい日本語であったことよ。やはり書きすぎているのかもしれんね、内田さん。

2010年1月20日水曜日

例のインスリン中止のばあさんのその後(1)

例のばあさんインスリンをいきなり止めてから3日経つ。血糖の異常なんてないのさ、いまのところ(実はある程度は予想していた。インスリン注射の量が少なかったからな・・・)4検で特にヤバイのが就寝前のはず(インスリン注射時間から一番遠い)であるが、これすら落ち着いている。130〜くらいである。

今朝いろいろHbA1cにまつわっていろいろ書いたのは、当然遊びではない。このばあさん中期的にどうみていこうか悩んで調べまくったのだ。いずれは糖尿病専門医に戻すとして、今しばらくはボクが腹をくくって診なくてはいけない。グリコアルブミンでいってみようかと思う。今日が一月の20日であるのがちと痛い。月をまたがると保険で査定を食わないのだが、今月は査定覚悟でやりますかな。

平成21年年3月15日より献血者全員に糖尿病関連検査を開始

  • 日本赤十字社では、平成21年年3月15日より献血者全員に糖尿病関連検査を開始という報道であるが、ここで導入される検査項目がHbA1cでなくグリコアルブミンであるというのが興味を引く。(ボクは知らなかったので、まとめておきたい)

グリコアルブミン検査導入の背景
 献血協力者へのサービスとしての生化学検査では、これまで ALT(GPT)、AST(GOT)、γ-GTP、総蛋白、アルブミン、アルブミン/グロブリン比、コレステロールの各検査値が協力者に提供されてきた。 肝機能を評価する検査が3つ含まれている一方で、糖尿病関連の検査は含まれていなかった。これは、従来、国内では肝炎の発病が多くその早期発見が重要であり、糖尿病は現在ほど多くはなかったため。  しかし今回、このうちの AST が廃止されて、新たに糖尿病の検査としてグリコアルブミンが追加される。この変更の背景には、国内で肝炎の新規発症が減ってきた一方で、糖尿病が急増していることがあげられる。

なぜ、血糖値や HbA1Cではなく、グリコアルブミンなのか

  •  糖尿病関連の血液検査としては、血糖値のほかに HbA1C、グリコアルブミンなどの検査がある。
  •  血糖値が対象にならないことは変動幅が大きすぎるということだ。
  •  HbA1Cは採血時点の血糖値に左右されずに過去2カ月間の血糖値の平均値と相関する検査値なので、このような心配はない。
  • しかし、検査のために検体を1本追加せねばならず、測定に専用機器が必要となりコストが高くなる(これは知らなかった)。 グリコアルブミン検査は、採血時から過去1カ月(とくに直近の2週間)の血糖値の平均と相関する検査値であり、血糖値のような偽陽性・偽陰性の問題が生じにくいというメリットは HbA1C検査と同様。また、他の生化学検査と同じ一つの検体で済み、測定コストも安価なため、献血のような膨大な対象に行うスクリーニングとして優れている。
  • さらに近年では、糖尿病予備群やメタボリックシンドロームに特徴的な検査値異常である、食後のみの短時間の高血糖もグリコアルブミン検査では比較的よくとらえられることがわかってきており、そういった方に対して糖尿病発症予防のための注意を喚起するのにも有用性が高いと考えられる。

アルブミンの半減期はどれくらいであったか?・・・これは17日といわれている。直近の2週間の血糖値というのはここからくる。
さて本当に安価なのか?


  • 「ヘモグロビンA1C」、「グリコアルブミン」および「1.5-アンヒドログルシトール」の検査は、同一月内に1回に限り主な項目の実施料を算定できます。妊娠中の患者、1型糖尿病患者、経口血糖降下薬の投与を開始して6月以内の患者、インスリン治療を開始して6月以内の患者等については、いずれか1項目を月1回に限り別に算定できます。
保険点数は
  1. HbA1Cが 50点
  2. グリコアルブミンが 55点
  3. 1.5-アンヒドログルシトール(これはもっと短期間の血糖変動を体現)が 80点
でありあまりかわらんではないか!  まあ日赤ならではのスケールメリットがあるのだろう。また採血管が一本でいいというのは朗報であるな。

日赤がグリコアルブミンを取り入れたということは病院・診療所への影響(非糖尿病医への影響)が大きいと思う。糖尿病の治療体系は今HbA1cを元に作られているが、今後変わっていくこともありうる。かつてのボクのように「いつのまにかグリコアルブミンの時代」になっていることに気が付く。。そんな経験をするヒトもいるかも。

HbA1c:glycationとglycosylationとミカエリス・メンテン

HbA1cというのはボクにとってはいつの間にか現れたにくいヤツ・・・であった。中年外科医にとっては大抵そうであろうが、学生の頃は習ったことが無く、忙しい臨床修行中は糖尿のことなんて等閑視。いつしか外来にでる身分くらいになって、あれこんなのがあるのか。そんな感じである。面白いなと思ったのは「過去2〜3ヶ月の平均血糖値を体現する」という性質。まず思ったのは「そんなのありえ〜ん」という単純素朴な疑問であった。そんな都合の良い話あるものか。なんか嘘があると思った。

まずヘモグロビンである。なぜヘモグロビンなのか?調べるとこれは赤血球の寿命が120日(4ヶ月)であることがキーポイントのようである。からだの中で寿命のあることがわかっている蛋白を見つけることがポイントだったてことだ。核がない赤血球だから、最初に作られた日(誕生日)以降は老化する、消耗するしかないわけだ。ターンオーバーがない。酵素的補修がきかない。壊れたまま最後まで行く。ヘモグロビンも作られた日からカウントダウンされる。

さてこのヘモグロビンであるが、これに対する修飾はあるのか?実はあるのだ。この修飾の一つがglycattionである。「糖化」というらしい。糖がくっつくことを言う。実はこれは異端のパッセージである。生物にはもうひとつglycosylationという糖付加システムがある。これは器質特異的な酵素が一つ一つ用意されていて、たとえば赤血球の血液型抗原を付加している。フコースが付く。N-アセチルグルコサミンが付くというふうに。こちらはオーセンティックというか、学問の対象によりなりやすい。体系化されているしね。一方glycationはなんともよくわからんが、じわ〜っといつのまにか付いているイメージだ。高校化学でいうメイラード反応そのものだ。大事なのは非酵素的反応であるということ。相手を選ばない、選ばれない。野卑この上ない品のない反応なのだ。そのなかでグルコースがヘモグロビン蛋白に付加されるらしいが、この付加されたグルコースを測るとHbA1cの値が出てくる。%であらわす。ボクの疑問は、どのタイミングで糖化されるかということにつきるのだろう。合成される段階だけなら・・・これは理屈があう。これにて解決だ。20日〜30日前にケトアシドーシスを起こしたからあんときは平均600mg/dl血糖があった。その10日間に作られた赤血球が現在流血中に20%流れている。ケトアシドーシス時に合成された赤血球は極端にglycationされていて、その分画のHbA1cは40%もあるのだ。雑ぱくな計算だが(5% x 0.8 )+ (40% x 0.2) = 4+8=12%が今日のHbA1cとして出てくる。これがHbA1cの理屈である。合成時の糖化が未来永劫変わらないとすれば、このHbA1cシステムのお話しはとてもわかりやすい。

ところがそんな簡単なものではないのである。実は・・・。

ビートルズあれこれ

今日は休みだが、朝の行事は大抵済ませたのでネットで新聞を眺めていたら、下のような記事を見つけた。漫画家の浦沢直樹のコメントである。ボクのビートルズに対する感覚とよく似ているかもしれない。後半部分はそうだ。前半はちょっと違うがね。ただ浦沢にして「テル・ミー・ホワット・ユー・シー」が気になるのだから、子供の頃相当聞き込んでいたのだろうなとは思う。






・・・・以前ビートルズは自分にとってそれほど重要ではなかった。誰もが聴いているから。それよりも、時代の最先端の新曲を聴くほうが重要だった。しかし90年代 半ば、あくまでも私的感覚だが、新曲が出つくしてしまった感じがした。すべて焼き直しで本当の意味での新譜は出ないと。そうなるともう古い曲も新曲もな い。すべての曲が一線に並んだ。すると、どうだろう、夜空の星の中で一番古い何億光年も前の光が一番強い光を放つようにビートルズの曲が強烈に光りはじめ た。「テル・ミー・ホワット・ユー・シー」なんて地味な曲までギラギラ光り出した。この状態はおそらく未来永劫変わることがないんだろうな。・・・・


2010年1月19日火曜日

アップルからiSlateなるものが売り出される?


アップルから次なるアイテムとしてiSlateなるものが売りだされるという噂が・・・

上のイメージ画像は結構すごいね。。。

2010年1月17日日曜日

インスリンを止めてくれと言われてもなぁ・・・


(1)アクトス (15) 1T 1x M チアゾリジン       一日45mgまで    現在15mg 

    インスリン感受性増強
    浮腫に注意  (水分貯留の傾向有り) 体重が増加しやすい

    インスリン抵抗性の改善

(2)セイブル(50)3T 3x 食前 αグルコシダーゼ阻害薬   一日225mgまで  現在150mg

    ガス多し(放屁) 
    糖吸収の抑制
     
(3)メデット(250)3T 3x 食後 ビグアナイド 一日750mgまで 現在上限

    肝臓における糖新生の抑制
    ヨード造影剤使用の際は2日前からストップ

(4)ランタス インスリン 持効型  6U 朝一回

76才のおばあさん。現在上の4種類で糖尿病を治療されている。ボクのところに来たのはご多分にもれず「大腿骨骨折」である。さて、退院するにあたり、自宅退院したいわけだが、家族の要望があって「インスリンの注射」を中止できないかという。家族の「勝手な」要望なのであるが、存外無視できない状況でもある。血糖のコントロールは良いのであるが、ボクに言わせれば、(1)(2)(3)と来てしょうがないから(4)が加わっているわけで、入院しているからコントロールが良いので、これが家に帰るとまた血糖のレベルは上がるのではないかと。

まあ明日からインスリン無しを試みてみる。日に血糖4検にしてみる。2週間ほど時間があるが、さてどうなることやら。


2010年1月16日土曜日

消化器専門医試験が好きな消化管ポリポーシス

消化器専門医試験が好きな消化管ポリポーシスとは脳腫瘍や消化器癌を伴い、皮膚病変を伴う、遺伝であったり、そうでなかったり、なんだかややこしいポリープ病変を伴った消化器疾患のことである。特徴をといえば、普通の医師が外来初診で診ることはほとんどない病気であるにもかかわらず、医学部卒業試験や医師国家試験や各種消化器専門医試験の3つの試験では必須とされていることである。その時は覚えるがどれがタルコットでどれがポイツジェガースであったかなど直ぐに忘れてしまうことも特徴であり、覚えておくことにどれだけ意味があるのかわからない疾患群である。医学生としても医師としても消化器専門医にとってもむなしい疾患群である。とはいえ、ボクはこれを覚えることにした。

さて、次のプロファイルだとどんなポリポーシス像を描けるであろうか?

65才の男性。最近下痢がひどく下肢のむくみも目立つ。「ご飯はおいしくないし、髪は抜けるしさんざんですわ」といわれる。GF・CFで診断がついたので、ついでにカプセル内視鏡もやったぞ。外来で「トランサミン」を飲ませ、ときどきステロイドを渡し対症的に診ていたら一年もしないうちに症状が消失した。そこでカメラを行ったが、胃の病変は程度は軽くなったが残っている。さて、今後はどうするか患者と一緒に考えているが、患者の今の関心事はすっかりはげ上がった頭皮である。

これもポリポーシスであるが、ボクが出会うとすれば最も可能性が高いはずである。さて、何・何・・・・??

2010年1月15日金曜日

ボグリボースを毎食前に飲むのはなぜ?

糖尿病治療によく使われる飲み薬は 5種類。
  1. 「α-グルコシダーゼ阻害薬」
  2. 「スルホニル尿素薬(スルフォニル尿素薬)」
  3. 「速効型インスリン分泌促進薬」
  4. 「インスリン抵抗性改善薬」
  5. 「ビグアナイド薬」

ボグリボースは、α-グルコシダーゼ阻害薬系の薬です。食後過血糖改善薬、糖質吸収阻害薬、ともいいます。

α-グルコシダーゼ阻害薬の作用は、小腸での糖質の分解と吸収を遅らせる作用により、食後の急激な血糖の上昇を抑える働きがあります。

スルホニル尿素薬にくらべると低血糖を起こしにくいという特徴があります。この薬だけの服用であれば、低血糖を起こさないので薬物治療を始めるときに選択されることが多い薬です。食事前の血糖値はそれほど高くないが、食後にあがりやすいなど、比較的に症状が軽い方に適しています。

糖尿病:アマリールの仲間や祖先たち

スルホニル尿素(SU)薬の種類(日本)


  • 第1世代
    トルブタミド(商品名;ヘキストラスチノン、ジアベン、ヂアベトース1号、ブタマイド)
    グリクロピラミド(商品名;デアメリンS)
    アセトヘキサド(商品名;ジメリン)
    クロルプロパミド(商品名;アベマイド)

  • 第2世代
    グリブゾール(商品名;グルデアーゼ)
    グリクラシド(商品名;グリミクロンHA、クラウナート、グルタミール、ダイアグリコ、ファルリンド、ベネラクサー、ルイメニア)
    グリベンクラミド(商品名;オイグルコン、ダオニール、オペアミン、クラミトン、ダムゼール、パミルコン)

  • 第3世代
    グリメピリド(商品名;アマリール

    第1世代との相違は血糖降下作用の力の差で、第2世代はトルブタミドの100〜500倍も強力です。

  • 膵臓ベータ細胞がインスリンを産生しなければ血糖は下がりません。薬の失効が問題になりますが、本当はベータ細胞のダウンのようです。薬が効かないからと言っても2種類以上のスルホニル尿素薬の併用は治療上無意味なのです。

    6例目のモンドール病

    ボクはモンドール病は珍しい病気だと思っていたが、こんなにありふれた病気だったんだね実は。6例目のMondorである。

    今日の外来最後に飛び込んできたのは31才女性。問診票に答えが書いてあった。「わきの下に痛みのある筋が・・・」患者さんを部屋に入れる前から部屋付きナースにはモンドール病かもしれんねといっっていたが、入室後に診せて貰った。写真を撮らせてもらったが、これは教科書に載せてもイイくらい説得力のあるモンドール病であった。

    上下に引っ張ると腋窩を支える吊り橋のように、あるいは高圧電線のように筋が浮かび上がる。
    もちろん圧痛はある。途中で地下に潜る、どんどん検索を進めていくと左乳腺のC領域に突入し、乳首のすぐそばまであるのだ。末梢は左肘関節直上10cmのところまで。全長25cmの結構立派な血栓性静脈炎である。

    抗炎症薬を出したが、彼女おそらく飲まないだろう。念のため明日エコーを撮るが(乳腺の検索も兼ねて)おそ
    らく何もないだろう。二週間後に診せてくださいといっておしまい。

    それにしても多いなMondor病。ボクに興味があるから集まるのかな。不思議なのは今日の人も「左」なのだ。圧倒的に左優位な病気だ、ボクにとっては。

    オムニ考

    いろいろなところでオムニを見る。見るようになった。ボクなどオムニと聴くとぱっと思いつくのは韓国語でありおふくろさん、ニュアンスを考慮すると「かあちゃん」というべきなんでしょうかね。母ならオモニでありこれが訛ってオムニですって。昔はオムニといえばomniであり科学雑誌として有名だった。高値の華であったなオムニ。

    そのころはオムニの意味など考えたこともなかったが、MRIの造影剤が‘オムニスキャン’だったことから「はた・・」と考えこんでしまった。 ‘オムニスキャン’と名前を付けた「その心は」いったいなんだったのか?

    オムニってなに
    ??

    これ「全体」とか「すべての」とか言う意味のようである。omnibusの接頭辞でもある。だから‘オムニスキャン’なら「全部撮しつくす」という心意気が込められているんだろう。

    じゃ「ボースデル」の名前の由縁は・・・?これ英語だとbothdelという。

    ボースデル

    ボースデル(明 治乳業、協和発酵、主成分塩化マンガン四水和物)は、MRI(磁気共鳴画像診断装置、体内の画像を撮影するための装置)によって、胆管や膵管を撮影するた めに用いる造影剤です。ボースデルの成分であるマンガンイオンは、磁石になりやすい性質があるので、MRIでの画像を描画しやすくする性質があります。

    ボースデルの名前の由来
ボースデルは胆管と膵管の造影剤であることから、胆管と膵管の両方(both)を描写する(delineation)という意味をこめて、ボースデルBothdelと命名したそうです。

    ということであり。ちょっと脱力する。まああのね、そこのひと、楽に楽にらく〜〜〜に。といいたくなりますな。


    てなことを調べるのにも10分くらいはかかる。でもこうやって調べて書き込むと・・・覚えるのだ。オムニスキャンとボースデル。ボクは後者をよくボグリボースと間違えるので・・・。

    2010年1月14日木曜日

    気道熱傷のばあさん

    救急隊からPHSに直電話があり(最近はこのパターンが多い)「火事場から焼き出されたおばあさんが「ちょっと煙をすった」と言われるので念のため診てもらえますか・・?」とのこと「いいすよ」と脳天気に返事をしてしまう。

    一見なんてことないように見えるばあさんだが、異様に「煤と有機ガスの臭い」が強い。「どうですか」と問うと「息をするたびに喉が痛くて・・・」と言われる。覗くと何もない。喉や鼻腔は煤けていない。さて、こまったぞ。とそこに外来婦長が現れしきりにサインをボクに送る。「頼むから入院させないで欲しい」と目が訴えている。実際にベッドがなくて入院は困難であることがわかった。(それなら救急車を受けるなよ・・・と言われるだろうな、まあまあ)血ガスは全く悪くない。

    でもでも、騙されてはいけないのだそうだ・・・と後から知った。ボクの論理では一酸化炭素その他が当病院では調べられないので、自然に高次病院へ依頼しなくてはいけない。少なくとも気道熱傷がある可能性は全く否定できないよな、このばあさん。というわけで、某病院救急外来へお願いした。快く引き受けてくれた。いつもながら感謝、感謝の日々である。

    ところで必死のアイコンタクト看護婦には別の論理、というかトラウマがあったのだった。つまり気道熱傷で泣いた看護婦さんがたくさんいるらしい、この病院。入院時はけろっとしていて、医者が引き上げた深夜帯に急変・死亡していった人たちが、多くはないのだろうが、それでもトラウマになるくらいはいたのだそうだ。年長者の言うことは聞くものだ。


    ある呼吸器内科の方のブログから転記;

    ●気道熱傷を疑うポイント
    ・密室での火災
    ・咳、痰、くしゃみ、息切れ、嗄声
    ・黒い痰、焦げた鼻毛
    ・咽頭浮腫、顔面や頚部の熱傷
    ・その他の部位の重症熱傷
    ・ラ音(Crackle、Wheeze)
    ・意識障害

    SpO2がどんなに良くても、必ず10Lリザーバーマスクで酸素投与を行う。

    カルボキシヘモグロビンや、メトヘモグロビンがあると、SpO2は
    実際の値よりも過大評価をしてしまうため、あまり信用しないほうがよい。


    ●対処 ABC
    1.挿管
    ・口腔、咽頭内に熱傷や浮腫があるとき
    ・頚部全周の熱傷やstridorがあるとき
    ・昏睡状態のとき
                 → 挿管
    ※全身熱傷の場合、大量輸液を行うことで、気道浮腫を起こすことも。
     気道熱傷がなくても、早期の気管挿管が必要

    2.高容量酸素投与(COPD患者さんでも迷わずに!)
    3.Β2刺激薬使用。
    4.20G×2本ライン確保
    5.血ガスでCO-Hb、Met-Hbチェック
    6.胸部レントゲン
    7.心電図(不整脈や心筋虚血が起こりうる)

    オムニスキャンとボースデル

    造影剤(MRI)

    • プリモビスト(ガドリニウム製剤):経静脈投与
      (バイエル薬品株式会社)
    • マグネビスト(ガドリニウム製剤):経静脈投与
      (バイエル薬品株式会社)
    • リゾビスト(超常磁性酸化鉄製剤):経静脈投与
      (バイエル薬品株式会社)
    • オムニスキャン(ガドリニウム製剤):経静脈投与
      (第一三共株式会社)
    • フェリセルツ(クエン酸鉄アンモニウム製剤):経口投与
      (大塚製薬株式会社)
    • ボースデル(塩化マンガン四水和物):経口投与
      (協和醗酵工業株式会社)
    • マグネスコープ(ガドリニウム製剤):経静脈投与
      (テルモ株式会社)
    我が社では、径静脈的にはオムニスキャン、径口的にはボースデルを使用している。オムニスキャンは脳のSOL、ボースデルはMRCPに使っている。

    オムニスキャン:本剤0.2mL/kgを静脈内注射する。腎臓を対象とする場合は、本剤0.1mL/kgを静脈内注射する。一本で20mlの立派な硬質プラスチックの筒に入っている。14200円もする。


    一般名 ガドジアミド水和物注射液
    英名 Omniscan

    剤形 注射液
    薬価 14201.00

    規格 32.3%20mL1瓶
    メーカー 第一三共




    ボースデル:
    通常、本剤服用後、造影効果は約20分後まで持続するが、胃内通過時間は個人によって大きく異なることがあるので注意する。なお、追加投与による有効性は確立していない(使用経験がない)。塩化マンガン四水和物36mg(マンガンとして10mg)を経口投与する。1266円と安い。

    一般名 塩化マンガン四水和物液
    英名 Bothdel

    剤形
    薬価 1265.80

    規格 10mg250mL1袋
    メーカー 明治乳業

    2010年1月13日水曜日

    忙しい日々である

    正月が終わると入院患者のペースが尋常ではなくなってきた。他のお医者さんのペースをあいにく存じ上げないので、一人でふーふーいっているだけかもしれないが、この10日で10人。休みの日を除くと日に二人のペースである。ボクの外来では予定入院なんてのは余りないから、殆どが急患である。大腿骨骨折、正月明けは多いよな。イレウスや大腸癌、総胆管結石、ヘルニアかんとんなど結構きつい。入院患者を増やしたくないので、できるだけ早く退院させるようにしていたのだが、さすがに渋滞してきている。整形外科はどうしても早期退院が無理だからな。消化器を手早く回していくと、病棟の古参は整形外科ばかり。

    皇室の愛子ちゃん・・・ボクはとても好きな人であるが、彼女の近況を今朝の新聞で読むと動物や虫の世話を「忙しい、ああ忙しい」といいながら嬉々として機嫌良くこなしているそうだ。機嫌の良い働き手なんだね、愛子さんも。正直、どれくらい忙しければ忙しいと世間ではいうのか、ボクは知らない。でもボクには相当忙しく感じられる今日この頃である。それでも本は読むし、音楽は聴くし、子供の勉強の相手もすれば、休みの日は料理もするぞ。それが出来なくなったら、いかんと思うておる。

    2010年1月3日日曜日

    2010年最初の論文はシークエンス技術:サイエンス元旦号

    Originally published in Science Express on 5 November 2009
    Science 1 January 2010:
    Vol. 327. no. 5961, pp. 78 - 81


    Reports

    Human Genome Sequencing Using Unchained Base Reads on Self-Assembling DNA Nanoarrays

    Radoje Drmanac,1,* Andrew B. Sparks,1, Matthew J. Callow,1, Aaron L. Halpern,1, Norman L. Burns,1, Bahram G. Kermani,1, Paolo Carnevali,1, Igor Nazarenko,1, Geoffrey B. Nilsen,1, George Yeung,1, Fredrik Dahl,1, Andres Fernandez,1, Bryan Staker,1, Krishna P. Pant,1, Jonathan Baccash,1 Adam P. Borcherding,1 Anushka Brownley,1 Ryan Cedeno,1 Linsu Chen,1 Dan Chernikoff,1 Alex Cheung,1 Razvan Chirita, 1 Benjamin Curson,1 Jessica C. Ebert,1 Coleen R. Hacker,1 Robert Hartlage,1 Brian Hauser,1 Steve Huang,1 Yuan Jiang,1 Vitali Karpinchyk,1 Mark Koenig,1 Calvin Kong,1 Tom Landers,1 Catherine Le,1 Jia Liu,1 Celeste E. McBride,1 Matt Morenzoni,1 Robert E. Morey,1, Karl Mutch,1 Helena Perazich,1 Kimberly Perry,1 Brock A. Peters,1 Joe Peterson,1 Charit L. Pethiyagoda,1 Kaliprasad Pothuraju,1 Claudia Richter,1 Abraham M. Rosenbaum,2 Shaunak Roy,1 Jay Shafto,1 Uladzislau Sharanhovich,1 Karen W. Shannon,1,|| Conrad G. Sheppy,1 Michel Sun,1 Joseph V. Thakuria,2 Anne Tran,1 Dylan Vu,1 Alexander Wait Zaranek,2 Xiaodi Wu,3 Snezana Drmanac,1 Arnold R. Oliphant,1 William C. Banyai,1 Bruce Martin,1 Dennis G. Ballinger,1,* George M. Church,2 Clifford A. Reid1

    Genome sequencing of large numbers of individuals promises to advance the understanding, treatment, and prevention of human diseases, among other applications. We describe a genome sequencing platform that achieves efficient imaging and low reagent consumption with combinatorial probe anchor ligation chemistry to independently assay each base from patterned nanoarrays of self-assembling DNA nanoballs. We sequenced three human genomes with this platform, generating an average of 45- to 87-fold coverage per genome and identifying 3.2 to 4.5 million sequence variants per genome. Validation of one genome data set demonstrates a sequence accuracy of about 1 false variant per 100 kilobases. The high accuracy, affordable cost of $4400 for sequencing consumables, and scalability of this platform enable complete human genome sequencing for the detection of rare variants in large-scale genetic studies.

    今年のサイエンス第一号は出版日が元旦である。上の論文は実はオンラインで昨年11月に出ていたものだが、最先端レベルでは(論文に出たという意味であり、未発表技術はもっと先を行っていることだろうが・・・)2010年スタート時点でシークエンス技術はここまでいっている。

    1. ヒト1人のゲノム解析にかかる費用は4400ドル(=409354円、2010年1月3日本日のレート)である。
    2. 一回の解析でゲノムDNA(30億塩基)の45倍から87倍(これは材料による)の塩基情報が得られる (これは正確なシークエンス情報を得るには充分な解析量といっていいのではないだろうか?)
    3. シークエンスエラーは10万塩基に一つ
    この論文は深く読む必要はなさそうである。イルミナのテクノロジーとどのあたりが違うのか興味ある。イルミナがフラットガラスなら、これは「DNA-nanoball」というわかるような、わからんようなテクノロジーを使うらしい。とにかく最近のテクノロジーの特徴は、反応系がヒトの目には見えない少量スケールで行われることであり(試薬を節約できる)、色素による4塩基の弁別はこの20年変わらんとしても、それを読むのは顕微鏡レベルの拡大CDCであり、昔と違うのは「クローン化」しないで一挙に読むことであろう。それも半端な「一挙」ではない。おそらくこの「DNA-nanoball」テクノロジーでも数千万〜数億遺伝子配列を同時に読んでいくのだろう。

    2010年1月2日土曜日

    一年の初めにあたって:記憶力とブログメモの効能

    近年本当に記憶力の衰えたボクにとって、このブログにメモを残しておくことは生存の必須条件になっている。新しい医療情報に触れ続け、知力の補完を図ることはこの商売にとって欠かすことができない。一生勉強を続けなくては取り残される。少しでも気を抜くと凡庸なただの医者になり果てるに違いない。しかしながら年をとり記憶力が問題になってくると辛いのだ、これが。

    日常の臨床の平凡な繰り返しだけでも、経験の積み重ねは大きいし、判断への自信や要領の良さが鍛え上げられる続けることは実感として了解できるが、一方それだけではいずれ壁にぶつかることも予感する。こわいのだな、その壁がやってくることが。しかしそれでも臨床はできる。まったく問題なくできる。皆それでやっている。だがそれでは全く面白くない。ボクのような性格ではいずれ飽きてしまう。それがこわいのだ。

知力を補完することが必須であるといっておきながら、しかしまったく学会に行かなくなってしまった。しばらくは学会なんか行くものか、と心に決めて商売替えをしたのだから、これはこれで初志貫徹なのだ。かつてのボクには余りに学会やミーティングが多すぎたのだ。これは反動なのだ。学会に行かないボクにとって知力の補完は可能なのだろうか?できるのだ。おそらく問題なく出来るのだろうと(今のところは)たかをくくっている。

    そのかわりといってはなんだが、テキストのたぐいを読みまくった。月刊誌ではない。医学部の学生が読む教科書レベルから始めた。専門領域以外の知識はこの30年間分基本にあたったことがない。これは同年齢の医者なら皆同じであろう。必要がないから、なんとかなっているから、そんな時間はないから、そんな余計なことを考えたことなどないから・・・いろいろ思うことはある。ボクが商売替えを図ったとき考えたことは、きっと余裕ができるだろうということ。臨床だけ考えていればいい状況というのは、実に暇である。これは時間的なことではない。時間的には結構忙しい。休みの日もほぼ病棟には顔を出しているしね。これができる環境はしかしなかなか楽しい。認知のばあさんのベッドに行って、会話のような会話でないようなコミュニケーションを取る。とにかく触る。触りまくる。変態だと思わないで欲しい。触るくらいしか出来ることはないのだから。しかしこれがなかなか有効である。入院以来一言も口を開くことのなかったばあさんが、1週間目にこちらの髪の毛を触ってきたりする。2週間目に「せんせー」と初めて口をきいてくれたりする。これはうれしい。このような気分になれることを「暇になった」という。これだけ余裕ができれば、勉強を基礎からやり直してもいいな、できるなと思った。

    ボクは外科・消化器外科が本分であるが、商売替えをするにあたり、まず救急医療や整形外科を読み返してみた。これが実に面白い。ボクは学生の頃本当に授業に出ていない。整形外科なんて記憶がほとんどない。学生のボクにとって整形外科の授業は退屈の一言だった。興味がないと全く気力が続かないのが悪い癖である。医者になって、骨折や脱臼はその時その時のいわばon the job trainingで身につけていった。膝の診察法なんてまったく身についていない。必要な機会にあまり出会わなかったからな。もう一度学生に戻ったらそれこそ死ぬ気で整形の授業にでるだろう・・・というのは全くの嘘であり、おそらく整形に関しては授業には興味が持てないだろう。救急の整形外来に一年行かしてやるといわれたら、これは喜んで行く。これは今のボクにも必要なスキルだろうから。

神経内科もテキストを読みかえした。これは面白い。もともと好きだったしね。いやなにも今更「多発性硬化症」や「Dejerine-Sottas症候群」に出くわすかもしれないと予感し勉強したいと思っているわけではない。脳血管イベントは本当に多いし、緊急性も伴っている。消化器疾患で入院している方々が再イベントを起こすことも多いしね。これに適格に対応出来ないようでは医者ではないからな。学生の頃のK教授が常に言っていたではないか「病歴とハンマーだけで診断はほとんどつくのが神経内科である。ただ神経内科の治療はちょっとつらい。」と。実際ハンマーは苦手だが、「嗅いで見る動く車の三つの外、顔聴く下の迷う副舌」を3分くらいでざっと調べ、あと四肢の感覚障害と運動障害を残りの2分くらいで見れば、ヤバイ病態で専門医を呼ぶべきか、様子を見て良いかどうかは大体わかる。この専門医を呼ぶべきかどうか・・・だけなのだ、ボクに必要なスキルは。

    循環器内科や糖尿病も大きなテーマであるが、これは難物だ。初めから専門医がフォローしていることも多いしね。ボクが初診で見ることはあまりないが、正常を外れている可能性がある患者予備軍は、まず「運動」と「食事」を指導してみる。食事についてはその場で栄養士のFさんに助けを求める。Fさんはフットワークが極めてよろしいし、きれいで人柄も良いので大抵の患者さんは喜ぶ。他には高脂血症やボクの外来では痛風も多いし、これは薬もいるが、それ以前の生活の改善がなければ話にならない。食事指導を頼むことは実に多いなあ。頼みやすいのである、この病院では。

    これやそれや、覚えなければいけないことは山のようにある。そこでブログであるが、これが助かるのである。それ以前にネットの存在が大きいのだけど。ボクは自分のブログを読み返すことが本当に多い。手術前のワーファリンの調整やINRのことなど。最初に記録したころは、こんなに凝固系のおかしな患者が世の中に多いとは思わなかった。腸炎の患者が入るとかならず自分のブログをみる。キャンピロやサルモネラの潜伏期間。腸炎なぞでは以前はやらなかった肛門指診をこの手の病態では必ず行うようにしたのも去年からだ。二つのメリットがある。一つは肛門病変があるかどうかを確認できること。痔や直腸腫瘍のほか宿便性直腸潰瘍なんていう病態もある。病歴で下血があるといえば、自分の目でその下血を見ることができる。黒いか赤いか、タール便かどうか。それ以上に大事なのは、便培を自分の目で確認して出せること。ノロを入院させるわけにはいかないから、速やかに可能性を排除するにはジギタル→培養(さらにはノロの迅速キット診断)が一番である。手袋についた便汁を確実に採取して培養スティックに取るわけだ。

    ブログ・ノートがないと覚えられなかった様々な薬。薬の名前が呆け老人であるボクには辛い。グラマリールと理不尽な怒り認知、ひどい三叉神経津や帯状疱疹へのガバペン、老人の震えも実際利き腕だったりするとご飯が食べられないわけだが、これにランドセン、喉の違和感や不快な発作性の発汗に対するグランダキシン等々。喘息や喘息様気管支炎に対する様々な薬剤は、あらゆる医師は現状を再確認すべきだと思う。現代医療におけるステロイドの立ち位置。ピークフローという指標。喘息で使ってはいけない日常薬(この中にはある種のステロイドやNSAIDsがある)などなど。多くは使ったところで大過はないと予想するが、しかし裁判では確実に負けますよと言われるとね。副作用への過剰な配慮はボクのようなロートル医師には馬鹿馬鹿しくも辛いが、若い医者のこれまた過剰なまでの過敏にはおののいてしまう。いらいらしながらも世情に従っているのは、これは代替薬が立派にあることが多いからであり、よりましな薬があるのなら、それを使わなくてはいけない。地雷を踏みそうになりながら、上手に避けて行くには自分なりの記憶の上書きが必要なのだ。知らない薬を覚えることも大変だが、もっと大変なのはなまじっか知っている薬の新たな知識の上書きである。これは相当努力しないとなじめない。高血圧や不整脈の治療薬体系を覚えることはおそらくボクにはもう無理である。しかし、出されている薬(前医からの引き継ぎ薬)にある程度の責任は持たなくてはいけない。ここでジェネリック名が混入してくることの煩雑さは耐えきれないほどであるが、ここでは立ち入らない。アイデアが一つ浮かんだ。今年は薬剤部をもっと鍛え上げよう。上手におだててうまく情報が医師に伝わるようなシステムを作り上げましょう。

    ブログで勉強するときに新たに出会う病気がいくつもある。ボクが診たい、経験したいと思って書き留めた病気に出会う経験をいくつもした。乳腺のMondor病もその一つであるし、急性喉頭蓋炎もそうだった。去年の6月頃「一過性直腸痛Proctalgia fugax」という病気のことを書き留めたが、年末12月30日の最後の外来で、まさにこの病気としか思えない32才の女性が現れた。20才と26才の時に発作が起こっている。今回は2日ほど強烈な痛みが肛門に発作性にくるという。ジギタルではかなり強い肛門トーヌスであり、痔核や腫瘍性病変はなさそうである。仙骨面に特に強い痛みがあるが、高野先生のいう硬結はボクの指が短いせいか、触診できなかった。26才の時にはCFから泌尿器から婦人科から総動員で原因を捜したが結局病名がわからないうちに発作が自然におさまったという。「痛みが続くようなら年明けに再度検査をしましょう。病名がわからなかったというのは無理もないかもしれない。あなたのお話しを聞いていると病名が一つ浮かんできて、もしその病気ならあるいは神経ブロックというのが効果あるかもしれません。疑いが強い場合は専門で診る先生がいるので紹介しましょう。」とお話しした。

    記憶力の低下は恐ろしい。なんとか生き延びたいし、なにより楽しい臨床生活を送りたい。きついことやいやなことなどは(もちろん数限りなくあるが)書いてもしょうがないし、そんなことを書いてもあとで読む気がしない。趣味に合わない。このブログを書いている唯一の理由は、自分の知識の再構成のためであり、記憶の補完であり、今日これだけ書いただけでもいろいろな病気や薬の名前を思い出すことができた。リハビリで頑張っている認知・骨折のじいさん、ばあさんと実はおなじことをやっているわけだ。今年も続けようと思う。それと今年は久しぶりに学会に出てみるか。そろそろいいだろう。